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防犯カメラの「万引き犯」画像公開、店側が脅迫罪に問われる可能性も

2017/02/11 15:00

■盗品を自力で回収する行為は法的には許されていない

 しかし、刑法の規定からすると、本件については、人の犯罪行為に関する事実と言える可能性が高いので、公益目的であったと言える場合は、処罰されない可能性があるという。この眼鏡店の社長はテレビ朝日の取材に対し、画像を公開した理由を、「ちゃんと解決しないと、今後にも尾を引くかなと思ったから」と述べている。したがって、このケースも最終的には処罰されない可能性はある。

 また、店は、画像と共に「商品を返却または弁償しないと、モザイクを外す」という内容の文章を掲載しているが、「この行為は、『害悪の告知』に当たるので、脅迫罪ともなりえますし、また、返却行為を強要している部分も含めると、強要罪となりえます」と日田弁護士は話す。

「そもそも、もともとの所有者であろうと、すでにその所有者の元から離れてしまった盗品を、法的手続きを経ないで自力で回収する行為は、法的には許されていませんので、警察を通して事件を処理するしかありません」

 では、もし、この店にこの男性客が商品を返却に来たら、窃盗罪に問われないのだろうか?

「刑法上の窃盗罪(刑法235条)は、物を取って、事実上の自分の支配の下に入れてしまえば、例えば、ポケットやカバンに入れて、店から出るような行為があった場合、その時点で犯罪が成立しますので、後で返却しても、刑法上は一度、成立した罪が消えることはありません。ただ、返却したことによって、被害届が取り下げられて、店側も処罰を望まないという気持ちを警察や検察に伝えることで、不起訴となり、最終的に処罰されない可能性はあります」

 万引きの被害を受けて困っている、犯罪を見過ごせない、という店側の心理は理解できないものではないが、今回の行動は、法の下では逆に店側が罪に問われる可能性もある。とにかく、この画像の人物が速やかに商品を返却さえすれば、おそらく事は丸く収まるのではないだろうか。

アディーレ法律事務所

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最終更新:2019/05/21 20:06
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