流行ハイブランドを着用→UP→転売→身バレ逃亡 から不死鳥のように「restart…」するコーデUP系インスタの底なし承認欲求

2017/02/04 20:00

 いつも寝る前にインスタをチェックしている。主にチェックするアカウントは『コーデUP系』と『ていねいな暮らし&子育て』系だ。このせいで正直、万年寝不足である。先週紹介したのは、インスタとメルカリにおける『子育て系』の“妊娠菌ビジネス”ムーブメントだったが、今週は『コーデUP系』キラキラアカウントたちの悲哀を綴りたい。

 そもそも『コーデUP系』アカウントとは何か。その名の通り、その日の自分のファッションを撮影してUPし、コーディネートを紹介するアカウントだ。全身鏡に姿をうつして自撮りするパターンと、第三者に撮影してもらうパターンがある。

 インスタ以前、『コーデUP系』が生息していたのは主にアメブロであった。だがインスタの盛り上がりとともに、アメブロでコーデをUPしていた女性たちが次々とインスタに参入。次第にアメブロの更新も途絶えていき、現在では開店休業状態もしくは閉鎖となっている。

 今では彼女らのインスタアカウントは多数のフォロワーを抱え、もはやただの恥ずかしいアイテムとなったダニ●ルウェリ●トンをはじめとしたブランドのプロモーションに使われるようになったほか、ファッション誌にも登場するなど、明らかにアメブロ時代よりも彼女らの注目度は上がった。それに呼応するかのように彼女らの写真テクも上がり、コーデ系を検索すれば、ファッション誌の1ページのごとくな完成度の写真が山のように出てくる。なんだかお洒落な壁の前で横を向いていたり、または歩いていたりと、カメラ目線ではないことが特徴だ。人気が上がると被写体とカメラの距離はだんだん縮まり、時折自撮りなどUPし始める。彼女らも、注目されることに喜びを感じていることは間違いないようだ。たまに家の中で靴を履いてUPしている人もいるが、これは一体どういうことなのか教えて欲しい。

 筆者が好んでウォッチする『コーデUP系』アカウントはまず、セリーヌを好んで持つ女性。ほか、チャーチのスタッズつきサイドゴア、マディソンブルーのビッグシャツ(襟を抜いて着るのが鉄則)、Acneのストール、6のアイテムなど、次々に巻き起こるやや高めのファッションアイテムブームに必ず乗っかるアカウントだ。もちろん、ユニクロやZARAも大好きなのが共通項である。先日、二子玉川のマクドナルドで遅いお昼を食べていたところ、隣の席に、Acneのストールを首に巻き(タグが見えるように巻いているところに彼女の意思を感じた)、チャーチのスタッズつきサイドゴア、セリーヌのバッグというまさにインスタ映えするアイテムを身につけまくった女性が座った。彼女も『コーデUP系』インスタグラマーなのではないか……? つい隣で必死にインスタ検索をしたがアカウントは特定できなかった。

 コーデではなく、買い物した直後に撮影したのか、ショッパーの写真をアップするアカウントもグッとくる。「newin♡」など書かれているとなお良い。このポストの翌日には「どの色にするか迷いましたが、この子をお迎えしました」と、アイテムを擬人化する謎の言い回しとともにコーデをUPするという流れが定番だ。なぜか『コーデUP系』のインスタグラマーはアイテムを擬人化しがちである。

 また、朝に車の中で撮影したと思われる、カルティエなどの高級腕時計やエルメス等ハイブランドのブレスをつけた手元、これまたハイブランドのバッグ、そしてハイブランドの靴が写り込むという、さりげないようでいて超人技なアングルの写真をアップ(スタバのコーヒーを持っていることが多い)しているアカウントもたまらない。

 流行りものに乗っかりまくり、ハイブランドをどれだけ持っているかを競うがごとくの写真の数々を見ていると、果たして彼女たちは本当にお洒落なのだろうか? という疑問に行き着く。お洒落を競っているのではなく、財力を競っているように見えてくるからだ。コーデUP系アカウントの中には、写真や、それとともにUPされる文章などから、夫と子供がいて、車を持ち、頻繁に旅行をして……など、だいたいの生活レベルを匂わせてくる女性もいるのだが、筆者のような心の歪んだ人間にとっては、財力にフォロワー数に、と、お洒落自慢ではなく単なる女性同士のマウンティングのように見えてくる。

ヤフオク出品と逃亡

 そんな思いでコーデ写真を真夜中にぼんやりと眺めていると、『コーデUP系』アカウントの一部は、かなり無理をしているのではないかという疑惑も湧いてくる。先日、取材で出会った人が「身なりの良い若い人は貯金がないことが多い」と語っていたが、そういう疑惑である。そこに給料の全額を突っ込んでいるどころか、借金までしている可能性も出てくる。買い物狂いは決して、アゲ嬢みたいな外見の人間ばかりではないのだ。小さなお子さんがいる女性もこうしたコーデUP系に参入していることがあり、疑惑は深まる一方。

 そもそも、ハイブランドを持つのが日常であるならば、あえてそんな写真はUPしないのではないか……? そう感じていたのは筆者だけではなかったようだ。ある日、同じくコーデ系ウォッチャーの友人から情報が入った。あるコーデUP系アカウントの女性が、UPしたコーデに使用したアイテムを「試着のみ」としてヤフオクに出品しているというのである。急いでチェックしたところ垢消し逃亡していた。しまった、間に合わなかった! と、その日は地団駄を踏んだがそんなに悲しむこともなかった。インスタでは、人気のコーデUP系アカウントが突如垢消しすることがある。そして忘れた頃……でもなく、そんなに時間をおかず「restart…」などと再出発する。彼女もあっという間に再出発を果たした。「restart…」系にはたいてい、身バレしたとか、裏の顔が暴かれたとか、何かあることを学んだ。

 昨年、好んでウォッチしていたあるコーデUP系アカウントが突如消えた。彼女ももしや……?? かなり必死に探したところ(本当に自分も何をやっているのか)、「restart…」しているアカウントに行き着いた。そして捜索のさなか、彼女もコーデ写真撮影時に着用していたアイテムを「試着のみ」などと売りさばきまくっていたことを知った。お~~い、お前もか! てか試着のみじゃないだろう。何回かそのアイテム着用してるの見たぞ。もしやコーデ撮影したら、別の汚れても良い服装にいそいそと着替えて出かけていたのだろうか? タグも大事にとっていたのか? それともタグをつけたまま着用していたのか? どっちにしてもセコいこと、この上ない。

 全部が全部、こうしたアカウントばかりではないだろうが、これは氷山の一角かもしれないという思いも消えない。コーデUP系のインスタバブルは、彼女らのようなバブルに踊らされる人間も生んでしまった。

(インスタ&メルカリウォッチャ〜京子)

最終更新:2017/02/04 20:00
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