「真剣40代男女しゃべり場 生き方、働き方忘年会議」イベントレポート

SMAP解散と現代社会における40代の関係とは? 男は生きづらく、女は楽になる!?

2016/12/29 17:00

■40歳になったら、ものすごく楽になった

 河崎氏は「男性陣と、そもそも意見が違うなと思う」と前置きしたうえで、次のように語る。

「私はド左翼の家庭で育ったのですが、基本的に周りは自立した女ばかりだったので、『40歳になると楽だ』って、ずっと聞かされてきたんです。20代30代って、自意識と他人から要求されるものとの間でつらい思いをしたりとか、自分が一体どういう人間になればいいのか迷ったり、悩んだりが多いんだけれども、40歳になったら、そういうものからすごく自由になるから、そこからなんでもできるよって、ずっと言われていた。

 当時は理解できなくて、楽だっていうのは更年期の話かと思ったんですね(笑)。で、実際自分が40歳になると、開き直りかもしれないんですが、他人からどう見られるか、他人の視線で自分の位置を決めることをしなくなるんです。自分の仕事のあり方であるとか、何と名乗るか、そういったものが自分の意思で決められるようになった。だから、ものすごく楽になった。その時は万能感しかなかったですね。もう何をしてやろうか、何も怖いものがない。このまま90歳まで行くんじゃないかというぐらい、今イイ感じです」(河崎氏)

 20代初期に結婚と出産を経験した河崎氏は、長女が大学に入学したのが40歳の時。そこが大きなターニングポイントで、「何か吹っ切れちゃったんですよね」という。

「一人育て上げたぞ、大学まで入れたぞっていう。まだ、下の子もいるんですが、もう“やりきった感”で、文句あるかコラ! くらいの感じです」(同)

 一方で、男性側の視点に立つと、40代は生きづらさを抱えざるを得ないような環境が取り巻いていると田中氏。

「今、建築業界などで、男性の働き口が少なくなっている。ここ10年ぐらいで考えると40代の男性の給料がすごく下がっている。にもかかわらず“一家の大黒柱=男性”って言われる。だからとってもつらい。現実は変化しているのにイメージは変わらないので、そこが問題だと思うんです。本当は、現実に合わせてイメージを変えていかなきゃいけないのに。専業主婦とサラリーマンの家庭で育っているのがマジョリティだと思うので、それを自分ができないのが情けないと感じてしまう」(田中氏)

■日本の男性像を変えたSMAP

 また、話題は平均年齢40歳オーバーにして絶大な人気を誇り、惜しまれながら12月31日で解散する国民的アイドルに及んだ。「SMAP存続の署名40万人だよ。長時間労働の是正を求める署名は4万人なのに」と、おおた氏。常見氏は、「SMAPがSMAPを降りたことで、僕ら男性にとっては『降りていいんだ』というメッセージになりましたね」と語る。

 これについて、「40オトコたちが、この話題に乗ってきた。キムタクとか工藤静香を、すごい叩いたじゃない? あれは裏切りだと」(河崎氏)、「アイドルをずっと維持するのは大変。アイドルって何歳ですかって話ですよね」(おおた氏)と、解散騒動を振り返る。

 なかでも、田中氏はSMAPの功績について次のように分析する。

「SMAPって日本の男性像を変えていると思う。ビストロスマップで料理をするコーナーがあったり、アイドルなのにお笑い芸人を交えないでコントをやるとか、つまり“おもしろい”とか“やさしい”、“料理”をアイドルがやっている。男がやってかっこいいものだと示した、その功績は大きい」

 「年齢なんて関係ない」と言ってみたところで、肉体の衰えには抗えない。だからといって、希望がないわけではない。4名の論者独自の視点には、加齢によってもたらされる社会からの期待、自身の転機をどう“さばく”かについてのヒントがちりばめられていたように思う。会場に集まった40代からは共感を、そして下に続く世代には希望をもたらすセッションだった。
(末吉陽子)

最終更新:2016/12/29 17:00
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