性風俗の仕事、人から必要とされていると実感できるから8年も続けられた/『さびしすぎてレズ風俗に行きましたレポ』の人気キャストに会ってきた

▼前篇:利用客の大半は異性愛者女性。彼女らはなぜレズ風俗を利用するのか

 今年話題となったコミックエッセイ『さびしすぎてレズ風俗に行きましたレポ』(イースト・プレス)。生きづらさを抱えた著者・永田カビさんが自身の内面と向き合い、それまで蓋をしていた性的な部分を解き放つため風俗店を利用した……“レズ風俗”というワードはとてもセンセーショナルだが、それ以上に彼女が長らく抱えていた苦悩や、その決断をするまでの葛藤、そして初体験を終えたあとの変化が大きな共感を呼んだ。

 同書のヒットと比例して注目度が高まったのが、女性が女性に性サービスを行う風俗店「レズっ娘クラブ」と姉妹店の「ティアラ」だ。messyでもそのオーナーである御坊(おぼう)さんが登場している。

▼『さびしすぎてレズ風俗に行きましたレポ』で一躍有名になった女性向け風俗店「レズっ娘クラブ」の苦節10年史 オーナー・御坊氏インタビュー【前編】
▼レズビアン以外も利用できます! 心と体のコミュニケーションを買う女性向け風俗店「レズっ娘クラブ」オーナー・御坊氏インタビュー【後編】

 姉妹店「ティアラ」のHPでキャスト紹介ページを見ると、“ゆう”さんのプロフィール欄に同書のカバーが掲載されている。彼女こそ、同書に登場する“ゆか”さんのモデルであり、同店では最年長にして、在籍年数が最も長いベテランでもある。

 2016年晩秋、冷たい雨がふるなか大阪某所にある待機室に帰ってきたゆうさんは、上着を脱ぎながら「まずブログを書いていいですか?」と筆者に訊ねた。彼女のブログは、利用客へのラブレターに等しい。これから会う客に一緒に過ごす時間が楽しみだと呼びかけ、会ったばかりの客にその時間がいかに自分にとって素敵だったかを語りかける。だからこの日も、仕事終えてひと息つくより前に、さっそくブログをしたため始めた。

ゆうさん(以下、ゆう)「この仕事を、こんなに長く続けるとは思っていなかったですね」

 ブログを書き終えスマホをテーブルに置いてから、ゆうさんは話しはじめた。

ゆう「いまから8年も前になるんですが、私、レズっ娘クラブに履歴書を送って落とされてるんですよ。その理由は……」

 金髪やったからや! と横から御坊さんが代わりに答えて笑う。

ゆう「そう、金髪はダメだったらしいんですけど私は、えっウソやん、もう1回送ったろと思って、同じ写真で再度応募したんです(笑)。そしたら採用してもらえた……はいいんですが、最初はまったくお客さまがつかず、ぜんぜん稼げませんでした」

◎ブログで利用客に向け発信を

ゆう「もう辞めようって何度も思いましたよ。でも、辞める前に一回がんばったろ、と思って、ブログを熱心に書くようにしたんです。いまは顔出しは一切しないんですが、当時は顔の一部がわかるような写真をアップしたり、下着姿の写真を載せたり……そしたら少しずつお客さまがつき始めました」

 そのなかから常連になる女性も出てきた。やがて、ゆうさんのブログに答えるようにして、女性客らが同店のHPに“レビュー”を書きはじめる。レビューとはキャストの接客について評価を記入するシステムだが、そこに感謝の言葉を込めることもできる。形を変えた交換日記のようなものだった。このレビューは、初めて同店を利用する人がキャストを選ぶときの参考にもなる。

ゆう「お客さまはキャストのことをすごく想ってくれるので、帰りの電車でもうブログを見にきてくださるんですよ。次に会ったとき『すぐに書いてくれたんだね』とうれしそうにいってくれるから、仕事が終わってめっちゃしんどくても、できるだけ早く書こうって思えます。こうしたちょっとしたことで、私にとってあなたは特別なんです、ってことが伝えられるなら、どんどん実践していこう……と思えるようになってから仕事が順調になりました」

予約が入る頻繁が上がるにつれ、仕事が面白くなっていったと、ゆうさんはふり返る。

ゆう「『必要とされてるやん、私!』と実感できるようになって、やる気が増しましたね。おかげさまで、いまは毎日のように予約が入っています。どん底に貧乏で、財布のなかに小銭しかなくて親に『500円貸して』といってたころがウソみたい……親は『何いうてんの、アンタ!』ってめっちゃ怒って1万円貸してくれましたけど(笑)」

 しかしオーナーの御坊さんによると、キャストのほとんどがほかに仕事を持ちながら、レズ風俗の仕事を兼業しているという。ゆうさんも、そのひとりだ。

ゆう「私の場合は、本業に使うためにここで稼いでいる面があるので、多少の貯金はするにしても、ブランド物を買ったり贅沢をしたりってことはないんです。このお仕事のためにきれいにしておこうとは思いますが、美容院に行くくらいかな」

 たしかに装いにお金をかけている様子はないが、ゆうさんの魅力はなんといっても豊かな表情にある。豪快なビッグスマイルが、特にチャーミングだ。レズ風俗というと特殊な仕事に聞こえるかもしれないが、筆者の目の前にいるのはエキセントリックでもなんでもなく、ただ魅力的なひとりの女性だった。

◎「卒業しないでね」っていわれるけど

 ゆうさんは同店では最年長ということもあり、オーナーの御坊さんから頼られることもある。同店がオープンして10年、そのうち8年の歴史を共有している。たとえば、御坊さんに「あの子ってタチやったよね?」と訊かれれば、「タチもできますが、ちょっと弱いですね。M気質が強いから」とキャスト同士だからこそ知っている性的嗜好をアドバイスすることもある。

ゆう「さっきもお話しましたが、こんなに長くこのお仕事を続けるとは思っていなかった。最近は卒業時期についても考えるようになりましたね。一応、10年でひと区切りつけようと思っています」

 すかさず御坊さんが「いやいや、15年!」とツッコむのを笑って受け止める。

ゆう「お客さまからもよく『卒業しないでね』っていわれるんですよ。冗談で『50歳まで続けるで〜』とはいうんですが(笑)。なかには『卒業したら、つき合おうね』『結婚しようね』という方もいます。私も『ハワイで挙式しよなー』と冗談で返すんけど、愛されてるなって思いますね。ありがたいことです」

▼後篇につづく

■ 三浦ゆえ
フリー編集&ライター。富山県出身。複数の出版社に勤務し、2009年にフリーに転身。女性の性と生をテーマに取材、執筆活動を行うほか、『女医が教える本当に気持ちのいいセックス』シリーズをはじめ、『失職女子。~私がリストラされてから、生活保護を受給するまで~』『私、いつまで産めますか?~卵子のプロと考えるウミドキと凍結保存~』(WAVE出版)などの編集協力を担当。著書に『セックスペディアー平成女子性欲事典ー』(文藝春秋)がある。



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