お笑い芸人・ヒロシさんインタビュー(前編)

ネガティブ芸人ヒロシがすすめる「クリぼっち」の過ごし方

2016/12/23 15:00
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終始うつむき加減で話すヒロシさん

 ご存じ、お笑い芸人のヒロシさんが、今年12月、自身が考えたネガティブワード60語を収めた『ネガティブに生きる。~ヒロシの自虐的幸福論』(大和書房)を発表した。「パワースポットでモメました。」「明日やろう! やらないよね。」「明けても、めでたくない」など、どこか共感を誘う珠玉のひと言が詰まっている。

 ヒロシさんといえば、世の中的には「ヒロシです。」でおなじみの“一発屋”と思われがちだが、実は、2015年の日めくり『まいにち、ネガティブ』(自由国民社)が10万部を超える大ヒットを記録し、今回の新刊は自身8冊目の著作だ。さらに、東京・中野坂上では「カフェ&カラオケ喫茶ヒロシのお店」を経営するなど、マルチな才能をひっそりと発揮している。

 そこで今回、ひとりぼっちのクリスマスやお正月を乗り切るには? 世の中の不条理にどう立ち向かえばいいのか? などなど、ヒロシさんにうかがった。

■不倫したら、テレビ出れるのかなぁ

――『ネガティブに生きる。』は、どんな思いで書かれたのでしょうか?

ヒロシさん(以下、ヒロシ) 世の中には、僕みたいにネガティブで冴えない人がたくさんいると思います。我慢するのは、いつもポジティブではなく、ネガティブ。けれど、ネガティブな人がいるからポジティブな人が存在できる。ほんの少しでもネガティブが見直されれば、と思って書きました。

 約1カ月と、かなりタイトなスケジュールで書いたので、パラパラッと見たらわかると思うんですけれども、4分の1が蛭子能収さんとの対談。インタビューページは、通常4~5ページぐらいのものでしょうが、50ページ以上あるので驚かないでください。

 僕はダメ人間のくせに、嘘をつくのが嫌いな面倒くさい性格です。大抵のタレントさんは、こういった本を出版される時、ゴーストライターを使い、自分では書かないそうなんです。でも、僕は自分の文章でなくなるのがたまらなくいやで、自分で書いています。8冊目なので、ベストセラーになるわけがないことは、もうわかっています。けれど、ネガティブな僕にも、どこかポジティブな部分もあって、ひょっとしたら今回は……という、わずかな望みにかけています。

――ヒロシさんがネガティブな性格になったのは、いつ頃からですか?

ヒロシ 生まれ持ったものなんでしょうね。学校では地味な生徒で、小さい頃から平等ということに、すごく疑問を持っていました。平等って、なんだろう? 平等なんて、全然ないじゃないか。僕は大人から嫌われる子でした。まず学校の先生からの扱いが違う。テンションが高い人はすごく扱いがよくて、僕のように暗い人間は、何もしなくても鬼のように怒られてましたね。

 極端になったのは、大学ぐらいかな。僕にも、純粋な時があったので、女性と付き合ったら、結婚に近いような感覚で相手を信じ切っていたわけです。でも、ことごとく女性が浮気するわけですよ。まず疑問に思うのは、付き合うといっても、結果、ただの口約束じゃねぇか、と。浮気しても、法律的には何もない。僕が責めると、逆切れしてこっちの立場が弱くなる。それで、別れる。なんで悪いやつが優位に立つんだってね。おかしいですよね。

――では、今年は不倫の話題がものすごく多かったですが、どんな思いでニュースを見ていたんですか?

ヒロシ 不倫したら、テレビ出れるのかなぁと思って。1~2週間は出れますよね。しばらく叩かれて、仕事になったりしますよね。なんなら浮気をしてテレビに出ている人の方が、僕よりも楽屋が良かったりするはずですよ。悪いことをしたはずなのに、なぜ扱いがいいんだっていう……。

――どう転んでも、ネガティブな話につなげていきますね(笑)。

ヒロシ ネガティブな人は、ネガティブな人として生きるしかないんですよ。無理やり変えようとしてもいいと思うけれど、どうなんですかね。

 僕は、決して六本木のパーティには行かないわけですよ。売れまくっていた時に、ある有名人の誕生会に呼ばれました。六本木にあるおしゃれなお店が会場でした。中へ入ったら、テレビで見たことのあるタレントさんたちが、お酒を片手にソファーに座って、談笑していました。極度の人見知りである僕は、キューッと胃が痛くなる。萎縮しまくって、何をするでもなく、ひとりで黙って座っているだけ。ものすごく、つらかった。そこで何も考えずにはしゃげるポジティブな人間だったら、いいですよ。でも、僕は絶対に苦痛と感じてしまう。大勢の中にいると、華やかですが、とても寂しいです。

ネガティブに生きる。~ヒロシの自虐的幸福論
クリぼっちなんて怖くない
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