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ASKAのタクシー映像公開は法的に問題あり! テレビ局の責任は?

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『SUPER BEST II』/ポニーキャニオン

「ドラマのこのシーンってありえるの?」「バラエティーのあのやり方ってコンプライアンス的にどうなの?」……テレビを見ていて感じた疑問を弁護士に聞いてみる、テレビ好きのための法律相談所。

〈今回の番組〉
ASKAタクシー社内映像(11月28日放送各局)

■タクシー会社は映像提供を認め、謝罪

 11月28日に覚せい剤取締法違反(使用)の疑いで逮捕されたASKA容疑者が、逮捕直前に乗車していたタクシーの車内映像(ドライブレコーダーの映像)をテレビの情報番組などで公開され、ネット上で物議を醸した。30日になって、タクシー会社チェッカーキャブが、同社のサイト上で映像提供を認め、謝罪したが、そもそもこの映像を提供することに、法的な問題はないのだろうか? また、放送したテレビ局側は罪に問われないのか? アディーレ法律事務所の鳴海裕子弁護士に聞いた。

 まず、ドライブレコーダーの映像をテレビ局に提供したタクシー会社について、鳴海弁護士は、「肖像権の侵害にあたる可能性がある」と指摘する。

「個人の私生活上の自由として、人は、みだりに自己の容貌ないし姿態を撮影され、これを公表されない人格的利益(いわゆる肖像権)を有するとされています。これは一般人も有名人も原則として異なりません。これらの侵害行為は民法上の不法行為に該当し、損害賠償請求が可能となります。

 基本的にドライブレコーダーは、防犯や事故状況の証拠保全等のために用いられるもので、公共の福祉に資するものといえるため、乗客を問わず撮影すること自体の違法性はないのです。しかしながら、この用途を越えて、むやみやたらに映像を公開すれば、当然ながら受忍限度を超えた利用方法ということになり、肖像権の侵害に該当します。

 今回は、ASKA容疑者の乗車していたタクシー内で事件や事故が起きたわけではなく、また、ASKA容疑者は逃げも隠れもせずに警察の任意同行に応じる等していることから、車内の映像を公開することに必要性や正当性があるとは言い難く、この映像を公開してしまったタクシー会社はASKA容疑者の肖像権を侵害するものとして、不法行為責任を負う可能性があると思います」

■プライバシー権侵害にもあたる可能性

 なお、「肖像権」と「プライバシー権」は異なるもので、肖像権はあくまでその容貌ないし姿態についての権利、プライバシー権は私生活上の事柄全般をみだりに公開されない法的保障・権利を指す(プライバシー権について東京地裁昭和39年9月28日判決)。

 鳴海弁護士によると、今回は、ASKA容疑者の容姿だけでなく、車内の会話音声や乗車地点から自宅までの走行全般が記録された映像であるため、プライバシー権侵害にも該当する可能性があるという。

 では他方、この映像を放送したテレビ局もタクシー会社と同様に違法かというと、それはまた少し状況が異なるようだ。

「報道機関には報道の自由があり、これは強く保護される傾向にあります。これを制限してしまえば、国民の知る権利を奪ってしまいかねない危険な状態となるためです。今回はASKA容疑者の覚せい剤使用の逮捕と関連して報道されているため、その放送に一定の合理的理由があると考えられ、違法とまではいえない可能性があります」(鳴海弁護士)

 今回の件についてネットでは、タクシー会社への批判はもちろんのこと、「逮捕されたからといって、なんでもありなのか」「そこまで放送していいのか」「放送するテレビ局も罪深い」といったテレビ局への批判も強くなっている。タクシー会社は謝罪したが、テレビ局も何らかの対応をしなければ、テレビへの不信感はますます高まりそうだ。

特に意味ある映像でもなかったよね

しぃちゃん

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