インタビュー「若年性更年期障害」第1回/ヘルスプレスより

まさか20〜30代で「更年期障害」の症状が! まずは卵巣機能低下や自律神経失調症を疑え

2016/12/01 17:30
jakunenkounenki
Photo by John McGuire from flickr

 韓国映画『猟奇的な彼女』の続編にあたる『更年奇的な彼女』が日本でも公開された。主人公は26歳で更年期障害と診断されるが、その原因は大学生時代のトラウマにあった。彼女は同棲中の恋人にサプライズでプロポーズを試みるが、公衆の面前で結婚を断られてしまい――。 

 更年期障害といえば40代後半から50代の病気と思われがちだが、20〜30代で同様の症状が現れる「若年性更年期障害」の患者も増えている。その症状と原因、治療、予防について、ポートサイド女性総合クリニック「ビバリータ」院長・清水なほみ医師に訊いた。

・若年性更年期障害は卵巣機能の低下

――若年性更年期障害は40歳未満に更年期障害の症状に苦しむ女性とされています。多くは20〜30代であるものの、ある研究論文によると、イギリスではわずか13歳、初潮開始からわずか半年後に若年性更年期障害の症状に苦しむ少女も見つかったと報告されています。その症状について教えてください。

  私の見解によりますと「若年性更年期障害」という病気はありません。更年期障害が現れるはずの年齢よりも早く女性ホルモンが低下して、同様の症状が出ることを指しているのであれば、「卵巣機能低下」や「早発卵巣機能不全」です。 

――先生の見解はわかりました。ただ、読者はまだその認識に達していないので、今回は「若年性更年期障害」という言葉を便宜的に使わせてください。 

 それでは「卵巣機能低下」の症状をお伝えします。本来であれば閉経を迎えるはずのない時期に卵巣の働きがなくなることが原因となります。最もわかりやすい自覚症状は生理不順。卵巣機能不全の原因は、子宮ではなく卵巣や脳に原因があるからです。 

 早発卵巣機能不全の主な症状は、40歳未満で完全に閉経してしまい、ほてり、発汗、肩こり、めまい、頭痛、抑うつ、イライラなどの更年期障害と同じ症状が出ます。そのほかにも、疲れやすい、冷えやすい、ニキビなどの症状が出ることもありますが、月経が不規則になるという以外は目立った症状がない場合もあります。 

 早発卵巣機能低下の患者さんの例を挙げると、白血病のために10代で抗がん剤の治療をしたことや、放射線を腹部に照射する治療による影響で、卵巣の働きが本来の年齢より早く落ちてしまったという方もいます。 

 また30代で脳腫瘍を発症した患者さんは、抗がん剤治療を行っているうちに生理が止まり41歳で閉経を迎えています。このケースの患者さんは、卵巣が委縮して閉経の状態になっていたため、50歳までホルモン補充を行いました。 

 卵巣機能不全になると、女性ホルモンの乱れから月経にかかわる様々な症状が現れます。月経の出血が1週間以上続く「過長月経」、月経周期が39日以上90日未満という長期間に渡る「稀発月経」などが見られます。 

 月経周期が多少は乱れていても、25~40日周期の範囲内で定期的に月経があって排卵が起きていれば基本的に問題はありません。しかし、排卵が乱れるなど月経周期のサイクルの乱れが悪化すると、90日以上月経が来ない「無月経」や、生理がきても排卵されていない「無排卵」が見られ、不妊症になってしまう可能性があります。 

 このホルモンバランスの乱れにより、イライラや疲労感、のぼせ、動悸、頭痛、めまいなどの更年期障害に似た症状に悩まされる場合もあります。そのため卵巣機能低下が更年期障害と勘違いされやすいのです。

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