女のためのテレビ深読み週報

吉田沙保里ら女性アスリートを「恋愛ベタ」と見下すテレビが“浅はかすぎる”理由

2016/11/10 21:00
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吉田沙保里オフィシャルブログより

羨望、嫉妬、嫌悪、共感、慈愛――私たちの心のどこかを刺激する人気芸能人たち。ライター・仁科友里が、そんな芸能人の発言にくすぐられる“女心の深層”を暴きます。

<今回の芸能人>
「あんた、わからへんやんか」明石家さんま
『踊る!さんま御殿!!』(日本テレビ系、11月8日)

 インターネットの普及で、テレビを見る人の割合が減っているといわれて久しい。視聴者離れを食い止めようとテレビ局も腐心しているだろうが、その一方で、テレビ局は依然として古い女性観を持ち続けているように見える。それが顕著になるのは、女性アスリートがバラエティ番組に出るときではないだろうか。

 司会や女性出演者が、女性アスリートを“見下す”ように感じられることがある。例えば、北京オリンピックで銅メダルに輝いた、レスリングの浜口京子。彼女が『踊る!さんま御殿!!』(日本テレビ系)に出演した時に、片思い中であり、相手との距離が埋まらない話を明かすと、司会の明石家さんまや、共演の熊切あさ美などの女性共演者が「かわいい」と反応した。恋をしている彼女への応援と取れるかもしれないが、女優やモデルなどのきれいどころや、フィギュアスケート、シンクロナイズドスイミングのように芸術性を問う競技の女性アスリートが片思いをしていると言っても、さんまや女性出演者は「かわいい」と合いの手を入れることはない。ちなみに男性アスリートがバラエティ番組に出ても、恋愛の話を振られることはあまりない。これらから考えられるのは、さんまや女性出演者は、格闘技系の女性アスリートは“恋愛がヘタ”と決めつけているということだ。

 女性アスリートに対する“見下し”は、格闘技系だけ向けられるものではない。元サッカー女子日本代表の澤穂希が結婚した際、報道陣は「彼の胃袋を離さない得意な料理は?」と質問していた。結婚会見の際、マスコミから得意料理の質問が出ることはよくあり、例えば、歌舞伎俳優・片岡愛之助は、「紀香さんの好きな手料理は?」と質問されていた。しかし、結婚会見での質問はこのような聞き方が一般的で、「胃袋を離さない」というような極端な表現は非常に稀である。ほかにも「恋愛は自分からぐいぐい行くタイプ?」という質問があったが、私はインタビュアーの「ものすごい秘策がなければ結婚にたどりつけない」「相手からアプローチされるわけがない」という意識を感じずにいられない。

 “霊長類最強女子”と名付けられたリオデジャネイロオリンピック銀メダリスト・吉田沙保里も、レスリングという競技ゆえ、見下されカテゴリに属している。11月7日放送の『踊る!さんま御殿!!』に出演した際、吉田は「今、特定の人はいない」と話していたのに、なぜかさんまは「吉田は恋愛をしたことがない」ことにしたようだ。

強く、潔く。 夢を実現するために私が続けていること
さんまが「男の総意」として語ることはだいたい浅はか
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