女ひとり、家を買いたいと思ったらまず何を考えるべき? 人生どうなっても損をしないための基礎知識

 今まで多くの「家を買った」女性に取材して見えてきたのは、家に関して何が最適な選択であるかは、人や状況により千差万別だということ。家をとりまく社会的状況も刻一刻と変わっています。もちろんすでに家を買った方のリアルな声は、貴重。買ってしばらく経ったからこそ、見えてくることもあるでしょう。

 一方で、「今、家を買いたい」とリアルに考えている人は、どう行動し、何を悩んでいるのでしょうか。そこで、この連載の新しい展開として、今家を買いたいと考えている方にモニターとして参加していただき、その心の動きや選択、現在の住宅購入事情をリポートします。

 その新企画では、住宅コンサルティングの老舗、株式会社さくら事務所のコンサルタントがアドバイザーに! 購入時のお金のこと、家やマンションのつくりのこと、マンションの管理のこと、資産としての活用方法まで専門家に個別アドバイスをいただきます。

 現在モニター募集中ですので、ご興味のある方は、下記説明ページよりお申し込みください。あくまで購入のためのリサーチを追う企画ですので、最終的に購入に至る必要はありません。お気軽にどうぞ!

 今回は、株式会社さくら事務所の創業者であり、現会長の長嶋修さんに、女性が家を買うとき最初に知っておいた方がいいことをうかがいました。

◎さくら事務所・長嶋修さんに聞く!

【長嶋修さんプロフィール】
不動産デベロッパーで支店長を務めた後、1999年に業界初の個人向け不動産コンサルティング会社である、「不動産の達人 株式会社さくら事務所」を設立。現会長。また、住宅の安全性を測るホームインスペクション(住宅診断)の分野では、そのパイオニアとして、「NPO法人 日本ホームインスペクターズ協会」を設立するなどして、普及・発展に務めている。『マイホームはこうして選びなさい』(ダイヤモンド社)他、著書多数。

――ずばり、女性がひとりで家を買うことについて、どう思われますか。

長嶋「損得で言いますと大きくふたつの観点があり、ひとつは家賃とローンとの比較、そしてもうひとつは住宅の資産価値とローン残高との比較です。家賃とローンを比較すれば、家賃を払うのはもったいない。住宅ローンは今、金利も低いですし、払っていけば最終的にはローンがなくなり、家賃もなくなる。ですが、価値の落ちる住宅を買うのであれば、得だとも言い切れません。たとえば3,000万円のマンションを買って、将来1,000万、あるいは500万になったら、いざ売るときに損をします」

――前者の将来的に家賃がなくなるメリットは誰もが望むところ。後者に関して言えば、資産価値を考えると、ローンの残高よりも売値が安くなれば、売るときに損をするということですね。

長嶋「そうです。シングル女性の場合は、ライフスタイルの変動が大きい。結婚や転職があったときに身軽に動けないと、困りますよね。たとえば結婚して、パートナーと住むには手狭などの理由でほかに住居を求めるのであれば、購入した物件は売却するか賃貸に出すことになりますが、そのときに価値が下がっていて売れない、貸せないでは困ります。逆にいえば、資産価値の落ちない家を買えば、ライフスタイルが変化しても売ったり貸したりすれば、損しません」

――たとえば5年後に家が同じ価格で売れば、その5年間に払うはずだった賃貸家賃分、得をすることもあります。今は稀かもしれませんが、売値が買値を上回る可能性もあるでしょう。とはいえ、価値が落ちない住宅を選ぶのも難しいもの。選び方のポイントを教えて下さい。

長嶋「それがなかなか難しい。シンガポール国立大学の研究では、日本の住宅価格が2040年には平均で45%下がるとのこと。住宅価格なので、土地と建物に限定した話ですが目安にもなります。世界の先進国は皆同じような状況で、人口が頭打ちになって少子高齢化すると、若い人たちの社会保障などの負担率が高まるので、住宅価格も下がらざるを得ないのです」

――では、基本的に住宅の価格は下がるということですか?

長嶋「激しくケースバイケースになってくるんです。住宅の価格が45%下がるというのは、日本全国の平均の話。今後は価格の格差が開くでしょう。今、300くらいの自治体でコンパクトシティ化の政策が進んでいます」

◎一にも二にも三にもロケーション

 コンパクトシティとは、生活に必要な街の機能を中心地に集め、効率的で持続可能な都市を目指した都市政策のこと。市街地の範囲を思い切り縮めてしまって、その範囲だけは自治体が人口密度を維持すると宣言をするのです。

 具体的には、人々を中心地に集めるために、中心部の狭い範囲に街の機能を集約します。そうなると、ある程度人口が密集した都市部に住まないと、各種行政サービスが受けられなくなるのです。人々が利便性を求めて狭い地域に密集すれば、結果的に限られた地域の住宅の資産価値はキープされることになります。

――価値が落ちない家を買うには、コンパクトシティの内側、人口密集地に家を買う必要があるということですね。

長嶋「不動産って、一にも二にも三にもロケーションなんです。基本は駅前か駅周辺。駅から離れていても、若年層が流入するなどの状況が作られて、人口密度が維持できるところ、というのが前提ですね。買い手が求める“駅からの距離”が最近は年々短くなっていまして、5年くらい前は徒歩10分が許容範囲だったのですが、最近は7分なんです。だからマンションデベロッパー側も、用地を仕入れる際に徒歩7分を超えるとかなり慎重になってしまいます。今は最低7分くらいがポイントでしょうか」

――それは、購入できる地域がかなり限定されますね。そういう物件は高そうですし、日本全体の地価が下がるのであれば、少々不便を押しても将来、郊外の家を買えばよいのかなとも思ってしまいます。

長嶋「住む場所を極端に限定しなければ、これから不動産価格や賃料は、全体としては下がっていく傾向にあるので、価値が落ちるのを待って郊外の物件を終(つい)の住処にするのもアリかもしれません。今は相続対策で作ったマンションが空き家だらけになってしまって、新築の賃貸住宅が全然埋まらない現象があるくらいですから、住む場所にこだわらないんだったらそういう選択肢もあるでしょう。この街に住みたいとか、どうしてもこのマンションが欲しいとか、自分が家を買うことで、生きがいや仕事のがんばりに繋がる、などといったことがあれば、思い切って購入するとよいですね。何度も言いますが、価値の落ちない家ならリスクもないのですから」

◎自分に合った選択をするには?

――でも、住みたい場所、家、きっと家を買いたいと思っている人には、イメージがあると思います。たとえばコンパクトシティ化すると、それ以外の地域は過疎になったり、行政サービスが得られなくなったりするわけですよね? もちろん過疎の地域で幸せに生きる方法もあるとは思いますが、だったらそれを真剣に探って、納得して、郊外の家を買うという考えもあると思いますし。

長嶋「家は、資産ではありますが、他の金融商品とは違って、相場感だけでは語れない部分もあります。不動産は一物一価なので、個性のある売り主と個性のある買い主が話し合って価格を決めるものです。それを平均して『今の相場です』と言っているだけで。実は3,000万で売りに出ているものを10件並べたら、売り手のAさんは一銭も引かないと思っていて、Bさんは来月になったら50万下げようと思っているかもしれません。つまりは、状況や考え方は、売り手によってバラバラなんです。それは、買う人も同じですよね。ということで、個別の買い主にあった選択をし、個別の売り主に合った交渉をすることが大切だと思います」

――なるほど、「家を買いたい」企画でモニターさんひとりひとりに合った誌上コンサルティングをする意義は大きそうですね!

 次回は引き続きさくら事務所会長の長嶋修さんに、価値ある物件の見分け方について、お話をうかがいます。

(蜂谷智子)

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