【醜聞!世界のイケメン富豪家】

H&M創業一族、イケメン次男は道楽息子!? 金持ちニートから映画界のパトロンに転身か

2016/11/27 19:00

■映画制作会社を突然に設立
 で、そのH&M一族のイケメン、トム君はなにをやっているのかといえば、これがハタチすぎまで、しばらくなにひとつ経歴のない真っ白な青年であったのだ。ニートというか、資産家だから高等遊民とでもいうのか。

 そんな彼が興味を持ったのが映画であった。20代も後半に差しかかったある日、彼は唐突にイギリスの誇る名門、メット・フィルムスクールに留学をする。映画製作においてはイギリス最大の専門学校で、教師たちは現役の映画人たちがズラリ。ちなみに日本からの留学も受け入れており、お値段は14カ月で2万8,500ポンド(約400万円)なり。

 こちらを無事ご卒業されたのが2014年のこと。この頃にはトム君、H&Mの株主となっており「若き大富豪たち」「独身億万長者ザ・ベスト」「この男なら結婚してやってもいいわランキング」みたいなサイトにて、一躍に有名人となってしまう。

 その知名度と膨大な財力を活用したのか、彼はスウェーデンに帰ってから別の会社を設立する。「アスペンフィルム」という小さな映画製作会社だ。社長兼プロデューサーとして活動し、短編をはじめとしていくつもの映画祭を主催している。

 まだまだ財力に評価が追いつかない様子ではあるが、ルネサンスや古代ローマの例に漏れず、芸術家を育てるのはいつの世もパトロン、日本風にいえばタニマチである。ヒマなボンボンが、これはと見初めた人に投資をし、食わせてやり、やがて花開く……開くかどうかはわからないが、ボンにはぜひ映画界のため尽力していただきたいものだ。

 だが、しかし……これら全ての資金源となっているH&Mの商品は、どこで誰が、生産しているのだろうか。

■生産国では事故による死者も続出

 製造拠点の1つとなっているのが、世界最貧国バングラデシュだ。安い労働力や、ジュートなど繊維素材の栽培が盛んなバングラデシュは「世界の縫製工場」と呼ばれるようになってきた。先進国の衣料メーカーが、こぞって進出したのだ。

 ファスト・ファッションはなぜ安いのか。それは末端の労働者たちの人件費が安いからだ。バングラデシュの縫製業界で働くのは、多くが若い女性や子どもたちである。安い給料と劣悪な環境で酷使された上に、工場はメンテもなにもさっぱりで、稼働時間ばかりが増えて火災が頻発。何度も多数の死者を出した。そして13年には巨大縫製ビルが崩壊し、1,100人もの犠牲者を出した。

 H&Mは、同じような事故を防止する安全基準づくりのために資金提供を労働者権利組合から求められたが、これを拒否している。また、労働環境の改善も約束しておきながら、遅れていると国際NGOに指摘されている。

 貧民層からの搾取の上に成り立つイケメンのリッチな生活。世の中は決して平等ではないという教訓を、彼らは教えてくれるのである。
(室橋裕和)

最終更新:2019/05/21 16:46
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概して次男のボンクラぶりは世界共通……
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