元キャバクラ経営者が見た夜の世界の裏側3

1カ月で閉店するキャバクラの真相 タケノコのように続々生まれて消える店の裏側

motokyabakura3
Photo by Jonathan Mueller from Flickr

 10月から放送中のAKB主演のドラマ『キャバすか学園』(日本テレビ系)は、学園の再建のため、不良たちがキャバクラ『水族館』を立ち上げるというストーリーだが、第1話では店を立ち上げようとしたさくら(宮脇咲良)たちの前に“伝説のキャバクラプロデューサー”西園寺(筧利夫)が現れ、彼女たちをプロデュースするという展開だった。

 それを見て「こういう奴、よくいますよ」と笑うのは、水商売の女性たちにドレスやスーツを売る外商の傍らキャバクラを経営したこともある、業界歴40年のM氏だ。

■キャッチやオーナーには口がうまくて妙な魅力がある

「もちろん、店を出すには強力なバックがいなくちゃいけませんけどね。それに、西園寺みたいな流しのプロデューサーに任せるなんてことはほとんどなく、専門のプランナーに任せるのが主流です。後は、女の子を集めるわけですが、つてを頼って集めることもあるし、キャッチに任せる場合もあります。でもまあ、キャッチに任せると、女の子も売り上げをバックしなきゃいけませんからね(通常売り上げの5%をキャバ嬢がキャッチに支払うという)。その申告を女の子がごまかしたりしてもめることがよくありましてね、キャバ経営のノウハウがあるなら、自分たちでスカウトしたり、面接して集める店も多いようです。その方が後のトラブルが少ないですからね」

 M氏が西園寺とダブるというのは、キャッチや店を立ち上げるオーナー。もちろん見た目はさまざまだが、共通しているのは「口がうまくて妙な魅力がある」ことだという。

「なんだかねぇ、惹きつけられる魅力を持っているんですよ。この業界に長くいる私でも、第一印象で『こいつは信用できるかな』と思ってしまうくらいですから。だからつけ回し(キャストをどのテーブルに着かせ、また移動させるかを指示するフロアマネジャー)やマネジャーなんかもついていって開店の準備を始めるんです。きっとうまくいくぞって思ってしまうんですよね。実際、きちんと開店まではこぎつけるわけですから」

■開店から1カ月で売り上げを持って消えるオーナー

 M氏もそうした新規開店の店で何度もドレスなどの商品を販売してきたそうだが、妙な違和感を覚えることがあるという。オーナーがほとんど顔を見せないのだ。そして、開店から1カ月ほどたったとき……。

「いきなりオーナーが売り上げを持って消えるんです。店やキャスト、スタッフはそのままね。店? 当然閉店ですよ。維持していくお金がなければ光熱費も払えないし、酒もおしぼりなんかの備品も、何もかも仕入れられませんからね」

 もとからオープン時の売り上げを狙った計画なのだという。しかも、オープンのためにかかる費用はバックについた人間が出資する場合もあるし、設備などの費用も施工してすぐに払うことは少なく、支払い契約を結んで何年かかけて償却していく。酒などの備品は現金即払いや週単位の締め支払いで払うことが多いが、店で出す値段から考えれば費用はそれほどでもない。

「キャバクラで一番かかる経費は光熱費や人件費です。キャストの人数にもよりますが、そうした維持費だけで1,000万円以上かかる店もありますからね。だから、その支払いが発生する1カ月あたりで売り上げを持って飛ぶんですよ。そうなったとき、困るのは残されたキャストやスタッフ、関わった業者です。給料ももらえない、店には金なんかない、それなのに施工業者をはじめとした業者から金を請求されるんですからね。私も何度か引っかかりましたが、外商なのでまだあきらめはつきます。でも、残された子たちは本当に悲惨なもんですよ」

■消えたオーナーは何度も名前を変えて夜の世界を渡り歩く

 M氏はそうしてタケノコのように短期間でメキメキと売り上げを伸ばし、パっと消えていく店を何度も見てきたという。しかし、驚いたことにほとぼりが冷めた頃に、その消えたオーナー“らしき”人物を別の店で見かけるというのだ。

「あまり多くの人間に顔を見せないというのがポイントなんですよね。私もドレスを販売するに際し何度か顔を合わせますが、その後で接触するのは雇われたマネジャーや名ばかりの社長だけ。そうするとだんだん顔を忘れちゃうし、オーナーの顔を知らないって言っていたキャストの子もいましたからね。顔を知っている人間が少ないから、同じことを繰り返せるんです。そうやって何度も名前を変えて、夜の世界を渡り歩いていく奴を何人か見てきました」

 『キャバすか学園』を見ていて「私に任せてくれれば、もっといい衣装を用意するのに」と笑うM氏。しかし、西園寺の動向が気になって、内容が頭に入ってこないのだとか。

「ドラマだし、ハッピーエンドになるのはわかっているんですけどね(笑)。だけどねぇ、センター(松井珠理奈)って子が店の売り上げアップのために同伴を繰り返すとか、キャストとスタッフが一生懸命やっているのを見ていると、そのオーナーに騙された子たちを思い出しちゃうんですよ。余計な心配だとわかっているけど、もう職業病ですよね」

 ドラマも4話にさしかかり、店の存続がどうなるかという中盤の山場を迎えている。少なくとも、M氏が語るような夜の世界の汚れた“リアル”をドラマにまで持ち込んでほしくないものだが……。

まさに「憎まれっ子世にはばかる」

しぃちゃん

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