[ジャニーズツッコミ道場]

『カインとアベル』“昼ドラ”路線で視聴率上昇に思う、フジテレビに残された可能性

2016/11/16 15:30
kaintoabel1115
『カインとアベル』(フジテレビ系)公式サイトより

 今回ツッコませていただくのは、Hey!Say!JUMP・山田涼介主演の月9『カインとアベル』を取り巻く諸々の不思議な目線。

 企画や共演者がなかなか決まらず、難航したとうわさされていたのも納得なほど、初回や第2話は「見切り発車」を思わせる中途半端さが目立つ作品だったが、第3話の終わりくらいになって、ようやくストーリーが動きだしたようにも見えた。

 「フジテレビ」「月9」「ジャニーズ主演ドラマ」という叩かれやすい要素てんこ盛りのコンテンツのために、毎回毎回バッシング記事ばかりが各所で取り上げられていた。だが、そんななか、ネットの匿名掲示板には「大きな声じゃ言えないけど、この主題歌は結構好き」「実はひそかに良い曲だと思う」といった個人的な感想がチラホラ見られた。匿名掲示板ですら肯定的意見は「ひそかに」「小さな声で」しか言えない四面楚歌の状況にあったのだ。

 しかし、第4話後半あたりから「優秀な兄」のはずの桐谷健太がぶっ壊れてきて、ドロドロ昼ドラ路線になってくると、「面白くなってきた」という声が増えてくる。視聴率も第3話の6.9%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)という大惨状から第4話では7.0%、第5話では7.6%と、わずかながら上昇線を描き始めた。

 視聴率とともにTwitterにも「面白くなってきた」「ヤバい、月9面白い」などのつぶやきが増え、11月14日放送時にはトレンドに『カインとアベル』関連のワードがいくつもランクイン。やはり桐谷は「優秀な兄」でいるよりも「俺は選ばれた人間だ!」「俺は誰かに助けてもらう人間なんじゃなくて、誰かを助ける人間なんだよ」などと笑いを押し殺しつつ得意げに大声で言っている方が似合うし、わかりやすい展開になると、視聴者の食いつきもグンとよくなる。

 おそらくこの調子だと、第6話以降はさらに視聴率を上げそうだが、とはいえ最終的に平均視聴率1ケタでは「低迷」「爆死」と言われるのは免れられないだろう。

 しかし、もし最終回で初回の数字を超えることができたとしたら、それは1つの成功だと思って良いのではないか。そして、数字はいまひとつ伸びなくとも「昼ドラ路線」で一部視聴者にそれなりにウケるのであれば、それがフジテレビの今後の1つの鉱脈になる可能性もある。

 今年4月期のユースケ・サンタマリア主演『火の粉』(同、東海テレビ制作)は、視聴率は苦戦したものの、いまだに「バウムクーヘンこわすぎ」などと時折思い出してはゾッとしたりニヤニヤしたりするくらいの印象を刻み付けた。つまり、ときどきネットで言われている「フジのドラマ=東海テレビが全面制作すればいい」案は、ある意味間違いではないのかもしれない。

 もしフジテレビがかつての栄光を完全に捨て、開き直って「昼ドラ」を懲りず飽きずに長期にわたってやり続けたとしたら……いつしか「有事に他局がみんなニュースを流しているなか、のんきにアニメ番組を流し続ける独自路線のテレビ東京」への世間の反応にも似た、生温かな好感を得られるかもしれない。

 そんなことは望んでいないかもしれないが、少なくとも世間は、いまより好意的になるのではないだろうか。

 ところで、もう1つ不思議なのは、最近、嵐とHey!Say!JUMPの落とし込み記事を、何の新情報もなく、取材もせず、同サイト内記事のほぼ焼き直しに近い内容で連日掲載し続ける某ニュースサイトだ。一部では「〇〇から金もらってるのか」なんて妄想(?)も出ているほど露骨な落とし込みぶりである。

 ジャニーズ事務所と昵懇で、事務所の宣伝記事だけを掲載するスポーツ紙や女性週刊誌が「気持ち悪い」とよくバッシングされるのはわかる。だが、「悪口を言う」ためだけにテレビを見て(あるいは実際に見てもいないで)、まるで「日課」のように落とし込み記事を出し続ける不思議なサイトもまた、同様に非常にグロテスクだと思う。
(田幸和歌子)

最終更新:2016/11/17 14:50

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