【連載】ヤリマン女の性生活報告

「ヤッたからって恋人とは限らない」メンヘラの“ヤリマンアイドル”にとって、セックスする意味とは?

2016/11/12 19:45
白玉あも
白玉あも

 “誰とでもセックスするヤリマン”と聞くと、我々は、受け身の人間性を想像してしまいがちである。確かに、一昔前に“サセ子”“公衆便所”と呼ばれていたようなヤリマン女性たちのイメージは、男の欲望に無条件に従う(どこか頭の弱い)女というものである。つまり、完全に他者の価値観、他者の欲望の中で生きているような女性像だ。

 しかし、昨年から“ヤリマン”を冠したトークライブを主催している筆者が会うような近年のヤリマン女性たちの多くは、驚くほど自己中心的で、自らの欲望を最優先する「捕食者」のメンタリティーなのだ。果たして、“ヤリマン”を自称する女性は、女性読者の目にはどう映るのだろうか?

第3回 ヤリマンアイドル白玉あも(前編)

■「セックス=恋人」じゃないって思った

 前回、前々回と紹介したヤリマンが「陽のヤリマン」なら今回紹介するのは「陰のヤリマン」。果てしなく暗い北の大地が育んだ、世にも不思議な“ヤリマンアイドル”白玉あも(33歳)である。

 ヤリマンアイドルは、歌を歌うわけでも、CDを出すわけでもない。アイドルがイベントで歌を歌うように、エロ系のトークライブに出てエロ話をし、アイドルがファンと触れ合ってチェキを撮るように、客に直接“顔面騎乗をしながら”チェキを撮る。

 北海道の最東部、人口3万人の根室市。年の離れた3人兄姉の末っ子として生まれ、小学生の頃には両親が離婚、母親とのいびつなふたり暮らしが始まる。情緒不安定な女の子、いわゆる「メンヘラ」だった。現在もたまにしているという自傷行為、リストカットを始めたのは中学生の頃。

「“死にたい”という気持ちもなかったし、理科室に、ちょうどよさそうな刃物があって、単純に切ってみたいと思っちゃった。感覚的におかしいんでしょうね、自分を傷付けてみたいって……。その時は1回で止まったんだけど、高校生くらいからは、急に机をドーンってやったり、教室で発狂したり してました。今となっては“親がいなかったのが寂しかったんだろうな”ってわかるんだけど、当時はなんで自分がそうなっちゃうかわかんなくて」

 そんな多感な15歳の頃にした初めてのセックスが、その後のセックス観を決定づけた。

「中3の時、同じく母子家庭の、すごく仲のいい同級生がいて、その彼が熱で学校を休んだんですね。それで学校から届け物を持っていったんですけど、彼の部屋でちょっとしゃべってたら『隣に来て』って言われて、一緒に蒲団に入ったらモゾモゾしだして、そこでセックス。

 “これで私も大人の女になったんだ”ってうれしかったし、ヤッたんだから“もう私と付き合うことになるだろう”って思った。その彼は、私が毎日一緒に学校行ってた女友達と付き合ってたんですよ。その子には悪いんだけど“最近うまくいってない”って聞いてたし“いいかな”って。どっかで“私の方が勝っちゃった”って感覚だったと思う」

 しかし、初セックスの相手とは、思うような関係にはならなかった。

「しばらくは仲良くしていたんですが、ある放課後、彼に呼ばれて行ってみたら、女友達がたくさん集まっていて、その前で“俺、オマエと別に付き合ってねえから”って言われた。私も内心傷付いたけど、“セックスをしても付き合えないんだ”って、そこから『セックス=恋人』じゃないって思った。だから、奥さんや彼女がいる人とも平気でヤるようになっちゃったんだと思う」

■援助交際で稼いだお金を、親にたかられる

 高校生になると携帯電話を持ち、多くのセックスを重ねてゆく。

 知らない大人と伝言ダイヤルやツーショットダイヤルで会って援助交際。札幌に遠征したこともある。先にお金が振り込まれると夜行バスで向かい、カラオケや食事に行き、ラブホでセックスしてお金をもらう。1回3万円から5万円ほど稼いだお金は、食費に充てていたという。

「離婚後、ママはご飯も作らなくなったし、洗濯もしないし、パパからの養育費は毎月入ってたんですけど、それは私に使ってくれなくなった。最初はそば屋でもバイトしてたんですけど、給料入ったら全部ママが持ってっちゃうんですよ。それで“バイトなんかしてらんない”って援交始めたんです」

 しかし、そのお金にまで母親の手がつく。

「後々通帳を調べられてバレて、“なんでこんなにいろんな人から振り込みがあるの!? アンタなにやってんの!?”って言われたんですけど、私が援交やめたらママも困るし、最終的には“この子は稼いでる”ってわかったので“車ぶつけたから×万円貸してくれない?”って私にたかってくるようになったんですよね……高校生の娘に3万円とか借りて、それでパチンコ行くんですよ。キチガイですよね……」

 ほとんどひとりで投げ出された状態で、援助交際で暮らしていた根室の高校生。そんなところに、セックスの快感などあるはずもない。

「気持ちいいって感覚は特になかったけど、こういうことしてる時って男の人、優しいなって思ったし、“ヤラせれば家に泊まりに来てくれる”って感覚がありました。長く関係が続いていたのは、地元のお祭りの運営サークルの人。そこには大人もいっぱいいて、飲み会にも呼んでもらってたんですよね。だから、そこの人とはだいたいヤッてます。

 一番多かったのは20歳過ぎの若い人で、あとはおじさんたち。奥さんもいる30歳過ぎのおじさんが車の中でイタズラしてきたり、家に呼んでベロベロに酒飲ませてヤッたり、別荘で乱交したり……」

 しかし、その中の誰ひとりとして恋愛関係はないというのだ。そのような異様な境遇で、“セックスを断る”という選択肢はなかったのだろうか?

「ないです。なんで断らなきゃいけないのかわかんなかったし、断った時にガッカリされるのが怖いっていうか。明日から連絡なくなるんじゃないかとか、“もう要らない”とか言われそうな気がして……。性的な役割でも必要とされているのはうれしかったです。ヤればまた遊んでくれるし、居場所は作れる」

 しかしその代償として、今も拭えない罪悪感が、彼女のセックスにはつきまとっている。

「セックスの後、嫌な気持ちになることが多いのは、奥さんや彼女がいるところで、なんにもないふりをするのがキツかったから。みんな、私とヤることは秘密なわけじゃないですか。だからセックスは“言っちゃいけないこと”って感じでした。もしも私のセックスを堂々と言えてたら、ちょっと人生変わってたかもしれないと思う」

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