ファイナンシャルプランナー・梅田雅美さんインタビュー

貯金も保険もない「おひとり様」になるつもり? 病気や不安を軽くする「入るべき保険」とは

2016/11/14 15:00

■貯蓄性のある終身保険がおすすめのワケ

――やはり保険の見直しはした方がいいのでしょうか?

梅田 治療方法も日々進歩しており、医療保険は常にアップデートされています。そのため、掛け捨ての場合、ずっと同じものに加入しているのははっきり言って損することが多いので、定期的に見直すことが重要です。保険会社の代理店等に行って最新のものを教えてもらうことをおすすめします。常に医療事情に合っていて給付が受け取れる保険に入っておくことが大事です。一度加入したからと安心してはダメです。よりたくさんの給付金や充実した保障を手に入れるためには、見直しは必須です。

 例えば、これから医療事情が変わって、入院に手厚い保険から通院を重視した保険に変わっていく可能性も考えられます。将来そうした内容に切り替える時、それまでに支払った保険料は少ない方がいいですよね。そのため、支払い方法を一生涯にして、月々の保険料を低額に抑えておくのも良いでしょう。

――では、女性が入るとしたら、どのような種類の保険が望ましいでしょうか?

梅田 医療保険にプラスして、長生きのリスクや万一に備えて貯蓄性のある終身保険がおすすめです。就職したら計画的に資産形成もできるので早めに入っておいた方が良いと思います。若ければ保険料も安いですし、生命保険料控除を活用すれば、節税にもなります。

 また、年齢に関係なく、突然亡くなることもあるわけです。その際、お葬式の費用などをご両親の老後資金から出すことになりかねないので、社会人の良識として他人に迷惑をかけないように保険に入っておくのは必要なことです。

――「女性特約」が付いた医療保険もよく聞きますが、これはどのような内容なのでしょうか?

梅田 「女性特約」は、女性特有の病気や妊娠・出産時に発生した治療に対して保障が付くケースが多いです。また、がんになったら給付金が2倍支払われるといった保険もあります。ただ保険会社によって保障の範囲にかなり差があるので、そこはよく比較検討されたほうがいいと思います。

――また、新ジャンルの医療保険というのはありますか?

梅田 最近、不妊治療をカバーする保険ができたのですが、それは今入っておけば、将来不妊治療をする際に給付されるというものです。現在治療をしている人も入れますが、給付が出ない免責期間があります。そうすると、その期間に治療が終わってしまうことも考えられます。ただ、不妊治療の保障ができたのは画期的なことなので、今後の商品も含めて注目したいですね。

 また、もう一つ、“予防治療のための保険”が出てきました。どんな病気も早期発見と早期治療が大切ですが、この保険は病気の初期段階でしっかり治療をすることを目的に、たとえば糖尿病や慢性腎不全などの慢性的な病気で通院や投薬をしている場合、入院の有無に関係なく、一時金が支払われます。早期治療を積極的に行い、重症化しないように予防するための保険という扱いです。長生きすることで慢性的な病気にかかる可能性も高くなるので、高齢化社会の日本にとっては、これから需要が高まる保険かと思います。

――ちなみに、将来も独身のままで身よりもない天涯孤独の「おひとり様」になる可能性もあるかもしれません。そんな時、貯金もなく保険にも入っていないとしたら、医療費や亡くなった後のことは、誰がどのように対処してくれるのでしょうか?

梅田 まずは親戚を探しますね。親戚さえもいないとしたら、火葬や納骨などは自治体に託されることになります。また、身の回りの物を整理するにも結構な費用がかかりますが、賃貸の場合は家の所有者、大家さんが負担します。

 あと、余談ですが最近問題になっているのが、ネットで投資や通販の定期購入をしている場合、借金を残したまま亡くなるケースが増えているそうです。ある程度の年齢になったら、心も体もしっかりしているうちに、マナーとしてメモ程度でもいいのでエンディングノートを書いておくと良いと思います。自分がどういうことにお金を使っていて、どんな保険に入っているか、どの銀行で貯金しているかなどを記しておきましょう。

(末吉陽子)

最終更新:2016/11/18 23:47
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