【独身でも孤立しない暮らし方を考える】第1回

独身でも孤立しない暮らし方 住人同士が協力して暮らす「コレクティブハウス」の魅力とは?

■各人が少しずつ役割を担う

共用のコモンスペース
共用のコモンスペース

 コレクティブハウス聖蹟の居住スペースは、ワンルームから1LDK、2K、2LDKとさまざまで、各住戸にキッチンや浴室があるが、水回りを共有するシェアタイプもある。 共用スペースは、リビングとキッチンと食堂、ミーティングルームなどを兼ねた「コモンスペース」のほか、屋上に菜園と物干しスペース、テラス、電動のこぎりなどを備えた工作室、ランドリー室、外部の友人も泊まれるゲストルームもある。また、廊下には住人が持ち寄った本を置く図書スペースがあり、ソファ、電子ピアノなども置かれている。

 「共有できるスペースやモノが多いので、多様でありながらエコロジカルでもあります」と矢田さん。大きな家電や家具は、個人で持つよりも共有したほうが便利な場合も多い。コレクティブハウスには、人間関係だけでなく、エコロジカルな面でもメリットがあるのだ。

 気になる賃料は、各住戸の家賃のほかにコモンスペースなど共用部分の賃料、水道光熱費を含む組合費(運営費用)大人1人あたり9,900円で、入居時には前家賃と敷金も支払う。ワンルームで家賃7.9万円からと安くはないが、高額でもない。

 そして、コレクティブハウスの最も大きな特徴は、住人が「何らかの役割」を担っていることだ。

「自分たちの暮らしは、自分たちで運営していくのが基本ですから、料理や掃除、庭や屋上菜園の手入れ、バーベキューなどのイベント開催を、それぞれが担当します。夫婦で住んでいても、役割は一人ひとりが担います」(同)

 交代で夕食を作る「コモンミール」も大切な活動のひとつだ。居住者が交代で、食材の買い出し、調理、後片付けまでを担当する。

「今は、順番が回ってくるのは。月に1~2回程度。買い物のレシートはキッチンに置いてあるので、材料もすぐにわかるようになっています。食べるのはコモンスペースでも自室でもいいし、食べなくてもいいんです」(同)

 月に1回の定例会では、さまざまな話し合いを行っている。

「定例会では、いろいろな話が出ますし、単純に多数決で決めず、話し合うので時間はかかりますが、大事な時間ですね。ただ、結論が出るまでに時間がかかることを苦痛に思う人もいるでしょう。こうしたことは、人によってはデメリットと感じるかもしれません」(同)

 居住者同士は暮らしを通して信頼関係を作っているが、それだけでなく、地域との交流も考えている。地域の雑貨市に出店したり、流しそうめんや餅つき、地元の酒店とのコラボによる試飲会などを開催したりと、多彩な内容だ。これらは、居住者組合として取り組むものもあれば、有志が実施するものもあり、全てが一律というわけではない。

■「終の棲家(ついのすみか)」となり得るか

屋上菜園
屋上菜園

 コレクティブハウジング社がコーディネートするコレクティブハウスは、年齢や家族構成、性別などに制限はなく、70代以上の住人も珍しくない。 どこに住んでいても人は老い、人間関係は煩わしいものだが、コレクティブハウスではそれを踏まえた上で「ゆるい関係」を構築していることがうかがえる。では、コレクティブハウスは高齢者の「終の棲家」にもなるのだろうか?

「居住者の中には『コレクティブハウスでの役割を果たせなくなった時が、退去の時』とおっしゃる方もいます。福祉施設ではないので、基本的に介護はできないのですが、在宅ケアを受けながら、隣人から少しの手助けがあればやれることを担って、できるだけ長く住み続けることは可能だと考えていますし、本人の代わりにヘルパーさんが掃除などの当番を果たすなどは、話し合いで決めることもできます」(同)

 コレクティブハウスとは、1970年代、女性の社会進出が早かった北欧で、ワーキングマザーたちが家事や子育てをシェアできる住宅として広まったといわれる。ようやく日本でも認知度が高まり、興味を持つ人も増えてきている。

「一部のハウスは『退去者待ち』の状態です。聖蹟は少し空きがあるので、ぜひ見学会にいらしてください」(同)

 暮らし方の選択肢のひとつとして、コレクティブハウスは期待できそうだ。

(蒼山しのぶ)

特定非営利活動法人コレクティブハウジング社

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