【醜聞!世界の女性富豪家】

中華系モデルが「石油女王」へ! 美と金で“我が世の春”謳歌、成り上がり女への批判

2016/10/15 19:00

◎オイルマネーの女王に君臨
 キャリーはモデル時代に培った、とろけるような笑顔とバツグンのスタイルを武器に、世界各地を飛び回った。主に夫の故郷フランスの旧植民地だ。旧宗主国の人間であれば、税制面などビジネスに有利な仕組みがあるのだ。

 とりわけアフリカ西部のガボン共和国に、ペレンコは力を注いだ。油田の探査から、採掘、精製、輸出に至るまで一貫して請け負うシステムを作りあげ、ガボンを資源国に押し上げたのだ。見返りとして夫婦は莫大な資産を手にする。

 ガボンをきっかけとしてペレンコは世界中で油田を掘削しまくった。コンゴ、カメルーン、グアテマラ、コロンビア、ベトナム……発展途上国で油を掘っては売りさばいていくその姿は、叩かれもしたが、油田を開発する技術力や経済力のない国を狙って、次々と進出していったのだ。

 他国の資源を切り売りしたカネで、夫妻は人生を謳歌する。3人の子宝にも恵まれ、それぞれ仕事を手伝うようになる。年を経てもなおキャリーは変わらぬ美貌を誇り、これに注目した経済誌フォーブスが「モデル富豪」と特集を組んだりもした。多趣味な夫はポロとアートのほかにワインにハマり、ボルドーの広大なぶどう園を買収。ここで生産されるシャトー・ラベゴルスは、日本のファンにも知られたブランドだ。14世紀から続くワイナリーだという。

 圧倒的な勝ち組ライフを送っていた一家はしかし、2006年、悲劇に見舞われる。多趣味が災いしたのか、夫がアルプスをトレッキング中に事故死してしまうのだ。独り身となったキャリーは、社主としてさらに仕事に打ち込んだ。だがその結果、待っていたのは世間からのさらなるバッシングだった。

◎強まる批判もなんのその
 エクアドルではペレンコ社による強引な開発が、大規模な環境破壊を引き起こしていると問題になった。エクアドル政府は、オランダ・ハーグにある常設仲裁裁判所に提訴をしている。

 またペルーではペレンコ社のヘリコプターが墜落し多数の死者を出した。アフリカやベトナムでは、やはりオイルマネーを目的に進出してきた中国企業とバッティングし、対立が深まっている。さらにペレンコ社は紛争中のイラクにまで進出。クルド人自治区で石油の生産を行っているのだが、油田を「イスラム国」から守っているのはクルド人の民兵たちだ。戦争を背景に金儲けをしていると罵られて当然かもしれない。この影響もあってか、「フォーブス」の世界富豪ランキングでは、15年の149位から大きく順位を下げている。

 それでも、キャリーは今日も還暦を過ぎたとは思えないチャーミングな笑みを振りまいている。いまはイギリスに移住し、悠々自適な老後を送りつつ、会社に指示を飛ばす。シンガポールからはじまり世界中を股にかけたサクセスストーリーは、まだまだ続きそうだ。
(室橋裕和)

最終更新:2019/05/21 16:47
『めざせ、オイルマネー!―国際派証券マン世界を駆ける』
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