[女性誌速攻レビュー]「LARME」11月号

ガーリーモデルを乗せた軽トラが東京を走る!! 4周年「LARME」が放つ“浮遊してる”感

2016/10/01 19:00

■モデルの顔が見えないという尖った写真
 「LARME」の特殊性としてもう1つ挙げられるのは、細部まで作り込まれたセットやトリッキーな場所でのロケ撮影でしょう。なかでも内部にモデルが入った特製スノードームでの撮影や、先に触れた無人島ロケなどが有名です。今回は「Floating Syndrome Gray VS Beige」という大胆な企画が最高だったのでご紹介します。

 冒頭で「大気中に浮遊する粒子のように、グレーとベージュはワードローブに欠かせない存在。(略)ベーシックなカラーリングを身に纏っても私たちは浮遊している。まわりに馴染む必要なんてない。」と謳い、グレーやベージュの服を身に纏ったモデルたちが登場します。何といっても演出が特殊です! 東京駅、渋谷スクランブル交差点、原宿、東京タワーやスカイツリーが見える広場など、人通りの多い都内の人気スポットでロケを敢行するのですが……ガーリーなベッドに見立てた軽トラの上や、バブルサッカーで使われるような透明な球体バルーンの中で、モデルたちがクールなポーズをキメているのです。

 上記コピーにある、「私たちは浮遊している」の文字通りの説得力たるや……! 彼女ら、都会でめちゃくちゃ浮いてます。突如あらわれたガーリーな軽トラとその荷台に乗るガーリーなモデルたちをまじまじと見る、ラフォーレ原宿前をゆく通行人たちのあ然とした表情が味わい深いです。

 筆者がこの企画で最も気に入っているのは、原宿駅前で撮影しているページ。モデル2人がバルーンの中でポーズをキメているのですが、まず太陽光がバルーンに反射してモデルの顔がまったく見えません。そして代わりに目線がいってしまうのは、一時期話題を呼んだ、パスワードにまつわるあの巨大な看板広告。情報処理推進機構が、セキュリティー意識の低い10代に向けて、少女漫画でパスワード強化を訴えたものですが、そこには「知ってるか? 本当にお前を守れるのはパスワードだけだぜ(壁ドン)」「俺のパスワードお前の誕生日にしていい?」「それじゃパスワードの意味ないじゃん!!」などのセリフがでかでかと書かれています。……原宿駅から浮いているという意味では、こちらの広告もモデルたちに負けていませんね。この看板を堂々と写り込ませた意図は筆者にはわかりかねますし、というか、モデルを起用した意味ないのでは……と思わずにはいられませんが、ガーリーとウワサのパスワード広告との貴重なコラボは要チェックかも!

 さて、西もなかとの対談では「毎回一冊の本を出すたびに自分の中の100を出し切って0になる、っていうのを繰り返している」と熱く語った「LARME」編集長。4年間の集大成である今号では、4年分の100を出し切り、0にしてくれたことでしょう。ここでひと区切りをつけ、次号からは心機一転、違った路線を持ってくるかもしれませんね。次号が発売される2カ月後が、いまから待ち遠しくてなりません!
(小麦こねる)

最終更新:2016/10/01 19:00
『LARME(ラルム)024 2016年11月号』
ガーリーと軽トラの運命の出逢い
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