[官能小説レビュー]

アイドルの夫とセックスに耽る――中学生の生み出す妄想が眩しい『官能と少女』

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『官能と少女』(早川書房)

 子どもから大人へと変化する過程である“少年少女”の恋愛は、しばしば官能の題材として使われる。彼らの最大の魅力は、性への知識と興味が、成長途中の心と体に伴わないため、独特の“危うさ”を発するところである。

 保健体育の授業や、クラスメイトたちとの会話、テレビ、ネットなどで得るセックスの知識を「試したい」――そんな無邪気な性への好奇心と行動力は、キラキラとした宝石のように眩しく感じられる。

 今回ご紹介する『官能と少女』(早川書房)には、10~20代の、心と体が幼い少女や若い女性たちを主人公にした短編がつづられている。中でも『光あふれる』は、10代の少女のふわふわとした危うさと儚さ、そして特有のいやらしさが描かれた物語だ。

 主人公・亜由の夫は、人気アイドルグループのメンバー。日々忙しく働いているが、久々に帰ってきたときには、激しく亜由を抱く。甘いルックスが売りの彼からは想像もできないほどの過激なセックスを受け止め、亜由は愛を実感するのだ。

 しかし、この「24歳、アイドルの妻、亜由」という女性は、14歳の中学生である亜由が、頭の中で思い描いている想像上の自分の姿であった。

 両親に見放され、1人自宅に取り残された亜由。生活費も与えられずに置いてけぼりにされたため、援助交際でお金を稼いでいる。そのつらい現実を忘れるため、テレビや雑誌の中でしか見たことのない男性アイドルとの新婚生活を妄想して、何とか毎日を生きているのだ。亜由は妄想の中で、夫との子どもがほしいと願い、彼はその気持ちを「うれしい」と受け止めてくれる。

 そんなある日、亜由の通う学校の教師が、彼女が1人暮らしをしていることを知り、家庭訪問にやって来る。現実に引き戻されることに怯えた亜由は、「夫」の特集が組まれている雑誌を片手に自慰に耽る……すると、彼女の手の平からは真っ赤な血が滴ってきた。動揺した亜由は叫びを上げ、病院に搬送されることになるのだが――。

 亜由が、妄想の中で作り上げたアイドルとの夫婦生活は、理性が利いておらず、荒唐無稽で痛々しくも思える。しかし同時に、性の衝動を感じたとしても、抑制できる理性を持つ私たち大人には、純粋さに溢れた妄想にも見えるかもれない。亜由が作り上げた夫は、彼女を深く愛し、妻を激しく求め、彼女の全てを受け入れる……その様子はまるで、恋愛やセックスのママゴトのようである。
 
 最後まで現実の愛に恵まれず、妄想の中での愛を追い求める亜由の姿は、読んでいて胸が痛くなるほど切ない。しかし、未熟な少女ならではの瑞々しい性を描いた官能小説は、現実と空想の区別がついてしまう大人の私には、うらやましく映った。
(いしいのりえ)

少女じゃないが、アイドルとの新婚生活を妄想してる人挙手

しぃちゃん

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