[女性誌速攻レビュー]「婦人公論」9月13日号

日常に疲れた「婦人公論」読者を救う、若手俳優たちの妄想への受容力

2016/09/04 14:00

 息子部門で興味深いのは「息子」と「娘の夫」で若干テンションが異なるところ。息子枠は「オードリー若林 ちょっとひねくれているところが、また可愛い」「遠藤 お釜いっぱいにご飯を炊くお相撲さんの母になりたい」など、自分が世話を焼きたい対象。一方、娘の夫枠には「堺雅人 左遷などされなそうだから、将来も安心」「福士蒼汰 性格が良く、家族全員とうまく付き合えそう」など家族としての幸せを求めるよう。欲張り!!

 さらにすごいのは妄想ストーリー。「東方神起 コンサートのDVDに映り込みたい」「氷川きよし いつものようにコンサート会場に行き、歌に酔いしれていたら、いきなり私の名を呼ばれ、『結婚してください』といわれた」などは序の口。「ゆづは平安時代の王子様。1000年後の現代に母上とともに、大地震があることを伝えに来ました……」から始まる壮大な歴史絵巻を紡ぐ59歳がいたり、はたまた「サッカーのブラジル代表として活躍する息子のネイマールが帰宅し、家族は大喜び」と妄想が国籍も飛び越える59歳がいたり。意外にも性を匂わせるものは少数派で、いくつになっても女は少女まんが的世界観で生きていたいものなのだなぁと痛感しました。

■「やりすぎ」くらいがちょうどいい

 そして乙女たちのそんな妄想を具現化したような対談を見つけてしまいました。綾野剛×妻夫木聡「お互いが、家族みたいに大切で」。9月に封切りとなる映画『怒り』で共演した2人。しかもその役柄が「発展場で出会い、同居する」という設定。ゲイを隠して生きる妻夫木演じる優馬と、ある夜発展場で出会った謎の青年・綾野演じる直人。妻夫木と綾野はちょっと珍しい役作りをしていたようで……。

妻夫木「役の上だけでなく僕らも一緒に住もうということになったのは、初日の発展場のシーンを撮った後だったっけ? 確か剛がタバコを吸うのに僕が付き合っているときに……」
綾野「『一緒に住みたいんですけど、どうですか?』と僕が切り出しました。すると『実はまったく同じことを思ってた』ってすぐに応じてくれた」

 まさかのプライベートでも生活を共にしていたと。その会話は本当に恋人同士そのもので……。

妻夫木「しかし、あれだね、あなたは朝ホントに起きられない人なのね」
綾野「でも、毎朝起こしてくれたじゃない」
妻夫木「だって、剛のアラームで目が覚めちゃうからね。いつまでも起きてこないから、いいかげん遅刻するぞと思って、『おい、剛』って起こしたら『んー?』って、かわいい顔で言う(笑)」

婦人公論 2016年 9/13 号 [雑誌]
「婦人公論」世代は、男を性的に消費することを抑圧してそう
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