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キャサリン・ジェーン・フィッシャー氏をご存知の方もいるかもしれません。彼女は2002年に、神奈川県横須賀米国海軍基地近くで米軍兵士にレイプされ、さらに日本の警察や官僚機構によるセカンド・レイプを受け、そこから12年間、正義を求めて日本やアメリカなどと戦い続けた、日本在住のオーストラリア人女性です。彼女は今年、この12年間の戦いを記録した『涙のあとは乾く』(講談社)という手記を出版しました。

彼女の本を読んだ後、ぜひこの人と対談したいと出版社を通じて申し込んだのですが、彼女から返ってきた答えは「ノー」でした。

諦めきれず粘った結果、一度お会いする機会を設けていただくことができました。そして今週の火曜日に、キャサリン・ジェーン・フィッシャー氏とお話をしてきました。

彼女は申し訳なさそうに、しかしはっきりと「このインタビューをお受けすることはできません」と私と、私の編集担当に言いました。メッシーの「ポルノのような広告バナーの横に、私の対談が載ることは、私の仕事、この本のイメージや品位を貶める」と言われてしまったのです。

メッシーは「女性が縛り付けられている様々な規範にノーをつきつける」という使命を掲げている媒体です。しかし、同時に「セックスのことばかりの媒体」という誤解も受けやすく、私自身も知人から「せっかく良いこと書いてあっても、この広告バナーだから、オフィスや電車で開けない」と言われることがあります。

フィッシャー氏には「メッシーという、誤解されやすい媒体に載ることで、私の仕事や本が誤解される可能性、セックスとレイプは同じなんじゃないかと誤解する人が出る可能性が1%でもあるならば、それは私が引き受けるべき仕事ではない」と言われました。

私も、そして担当編集もその一言で、これ以上の交渉を諦めました。残念ながら、メッシーでの対談は実現できませんでしたが、読者の皆さんにはぜひ彼女の著書を手にとってもらいたいと思い、今回は彼女の著書のレビューを書きたいと思います。

◎性暴力被害者を保護しないことこそが、セカンド・レイプではないか

この本は、レイプという性的、物理的、精神的暴力のみならず、フィッシャー氏という一人の人間・女性に対して、アメリカと日本という二つの国家権力が行った人権侵害との戦いの記録でもあります。

2002年4月、フィッシャー氏はボーイフレンドをバーで待っている間に、飲み物に薬物を盛られ、車に連れ込まれて見も知らぬ米兵にレイプされました。レイプ犯の名はブローク・ディーンズ。フィッシャー氏は事件そのもののショックやトラウマのみならず、セカンド・レイプとしか言いようのない日本の警察による事情聴取にも深く傷つけられました。

セカンド・レイプというのは心理的なレイプとも言えるものです。性暴力被害者に対する事情聴取や診察において、医師や警察官が「なんで一人で夜道を歩いていたんですか」など、被害者に責任があるかのような発言をすること、好奇の目で被害者を見ることなどで被害者を二重に傷つけることをセカンド・レイプと言います。また、犯人を批判することを目的とした報道や裁判でも、その事件が話題にされること、被告人のために行う弁護のための主張や尋問が被害者を傷つけることもあります。

レイプされた直後、日本の警察がフィッシャー氏に対して行ったことは、ボロボロになった彼女を保護したり、病院に連れて行ったりすることではありませんでした。警察は、レイプ犯によって下着も脱がされ、あざだらけになっていた彼女を、レイプされた車まで連れていき、その中でどのようにレイプされたか再現させたり、執拗に尋問を繰り返し、挙げ句の果てには「信ぴょう性にかける」などと言い放ったのです。 警察官たちは温かい慰めの言葉ひとつかけるでもなく、「病院に行きたい」という彼女の訴えを無視して、何時間も「事情聴取」という名のセカンド・レイプを行いました。

数時間後にやっと連れて行ってもらえた病院では簡易な診察しか行われませんでした。驚くことに「レイプキット」、つまり被害者の膣内からレイプ犯の体液を採取し、法医学的証拠を採取するためのキットすらなかったのです。

フィッシャー氏は、日本におけるレイプなど性的暴行、性的犯罪への警察・行政・病院などの対応が彼女の出身国であるオーストラリアと比べていかに遅れているか、いかに被害者をないがしろにするものであるかをこのとき知ります。

レイプ被害者はその直後はもちろん数年以上経っても、トラウマやPTSDなどにより、心に問題を抱えることも多く、自殺の危険性も高いため、24時間体制で被害者を支援する制度が必要です。

しかし、日本にはこうした24時間体制の性犯罪被害者保護センターがありません。フィッシャー氏はこの点について非常に大きな問題意識を持っており、自ら24時間体制の保護センターを設立するための活動をしています。彼女の保護センターは来年初頭に設立予定で、フィッシャー氏は今まさに、そのための準備をしています。

◎何もかもを失った彼女が手に入れた、1ドルという勝利

日本の性犯罪被害者に対するサポート体制の手薄さや、警察・行政・病院でのセカンド・レイプが彼女を、そして日本でレイプにあう人びとを余計に苦しめ続けています。

フィッシャー氏にとって正義を求めるための一番苦しい戦いは、その後でした。

フィッシャー氏はレイプ犯、ブローク・ディーンズを相手取って裁判を起こし、東京地裁は被告を有罪とする判決を下します。命じられた賠償金はたったの三百万円。

しかし、この公判の最中に、被告はアメリカに送還され、そこで名誉除隊となります。アメリカ軍は、この卑劣なレイプ犯に対して、日本で公平な裁きが下されることを妨害したのです。そして、日米地位協定があることから、日本政府もまた彼女の闘いを無視し続け、妨害し続けました。

しかし、彼女は諦めませんでした。アメリカで再び裁判を起こすため、家も財産も失いながら、アメリカに送還されてから行方がわからなくなっていた犯人の居場所を突き止めたのです。その追跡の過程で、ブローク・ディーンズからレイプされた被害者が複数人いること、アメリカ国内においてこのレイプ犯が育児放棄の罪で刑務所に入れられていることが明らかになりました。

彼女はアメリカに渡り、レイプ犯ブローク・ディーンズを相手取って裁判を起こすところまで追い詰めます。

国外で判決が出た事件をアメリカの裁判所が扱うことはこれまで前例がありませんでした。しかし、彼女と彼女の弁護団の粘り強い訴えにより、アメリカの裁判所で審理が行われ勝利をもぎ取ります。フィッシャー氏は、外国で判決が下されたレイプ事件を、アメリカの裁判で闘い、勝訴するという画期的な前例を作り出したのです。

東京地裁の判決がアメリカで執行されることを認める代わりに提示された条件は、賠償金の支払い義務の免除。彼女が受け取った賠償金はたったの1ドルでした。しかし、この1ドルの賠償金こそ、何もかも失い、人としての尊厳さえ踏みにじられたフィッシャー氏がようやく勝ち取った、かけがえのない勝利なのです。

◎レイプ被害の痛みと、執念の闘いを知って欲しい

アメリカ軍はレイプに対して非寛容の姿勢を唱えています。しかし、彼らが世界中で実際に行っていることは、アメリカ軍によるレイプが起こったらとにかく隠蔽しよう、うやむやにしようとしているとしか思えません。

そして、改定されたとはいえ、日米地位協定は相変わらず日米間の不平等条約であり、被害者の救済を第一に考えてはいません。

彼女は、声をあげること、正義を求め続けることを自ら体現し、勝利しましたが、同時にたくさんのものを失い、傷つきました。フィッシャー氏のように闘い、勝利を勝ちとれる人ばかりではありません。日本のレイプ被害者の多くは泣き寝入りをしています。レイプ被害者も、そうではない人も、米軍基地問題に関心がある人も、そうではない人も、すべての人に『涙のあとは乾く』を実際に手にとってもらうことで、レイプ被害者の痛みや、彼女の闘いの何がすごいのか、それを感じ取ってもらいたいと思います。

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