駅弁・腰痛・インポ…チョコボール向井、AV全盛期を語る/インタビュー【1】

「本名は“向井山”でしてね。山までついたらお相撲さんみたいでしょ。だから、短くしたんです」 「小さい頃は、わりと体が弱くて、病気にかかってばかりだったから、鍛え始めて」

 がっしり色黒な見た目は昔のままに、ソフトな口調で身の上話から始めてくれたチョコボール向井さん。90年代のAV界で、「駅弁スタイル」で個性派男優として人気を博し、プロレスラーとしても活躍していた男性です。現在は、新宿2丁目でバー『チョコボールファミリー』のマスター。お店を始めて今年で10周年目、そして、ご自身は50歳を迎える節目の年に、“向井山さん”は、今“性”とどう向き合っているのか、お話を伺いました。

◎「アソコがチョコボールみたい」でトントン拍子

――最初に、チョコさんがAV男優なる前のことを教えてください。プロレスラーを目指していたんですよね?

チョコ 高校を卒業してから、新日本プロレスの入団テストを受けて、練習生として少しやって。まぁ、すぐ辞めました。人間関係もキツくて。ま、子供だったんでしょうね。すぐ逃げて。

――AVの世界に出会ったのは、プロレスを辞めた後だったんですか?

チョコ 辞めた後。すぐ逃げちゃったけど、夢は持ってたんですね。いつかまた、プロレスラーをやれる時が来るんじゃないかなと。だから、18歳から3年間ほどは身体を鍛えていましたね。やり直しのきっかけを待っていたような日々でした。

――フリーターをしながら?

チョコ そう、転々とバイト。住み込みで働いたり、日雇いのバイトばっかり。ラブホテルとか、パチンコ屋とか、ヘルスとかソープのボーイとか……風俗関係が多かったですね。20歳の頃、そろそろ身の振り方を考えなきゃと思いました。当時、体重が90kgくらいあって、体型も丸々してたんですけど、ボディビルの鍛え方に出会って、大会に出たりもしていたんですよ。今みたく設備の整った大きなジムなんてないし、パーソナルトレーナーとかもいない、町の中にポツンとある小さなジムで、トレーナーみたいなバイトをしながら自分の身体も鍛えて。ボディビルの大会に出るために肌を焼かなきゃいけなかったんで、週に2回は日焼けサロンで焼いてましたね。もともとは、どっちかというと白いほう。だから、“チョコボール”の原型を作ったのは、ボディビルの世界だったかもしれない。

――というと?

チョコ AV男優の面接を受けたときに、斉藤修さんという名監督が「キミのタマタマの色がチョコボールみたいだね」。それで芸名がチョコボール向井になった。

――そのお名前は「タマタマの色」だったんですか! それにしてもどうしてAV男優の面接を受けることに?

チョコ ジムトレーナーのバイトに落ち着いていたけど、エロイのも好きだったんでね、風俗業界のことも忘れられずに、何となく雑誌をパラパラとめくってたら『AV男優募集!クリスタル映像』って出ていたんですよね。AV男優の募集って、珍しいなと思って。あとで知ったんですけど、そういう求人広告で男優を集めることはあまりないんですよ。

――普通は、どんな流れで男優になるものなんですか?

チョコ 人のツテが一番多いです。この世界、ただのやりたがり、SEXしたい、女優さんとしたい、気持ちいいことがしたい、お金が貰いたい、そういう安易な動機で飛び込もうとする男が多いんですよ。最初の動機は、皆そうなんですけど、それを仕事として捉えるのがAV男優でして。

――大勢の人前で、演技しながらタイミング良く勃起して射精しなければならないですもんね。チョコさんは、そのクリスタル映像の男優募集に応募して、すぐに合格したんですか?

チョコ 新宿で面接を受けて、連絡先交換して、1カ月後にスタジオに行って、AV男優の一歩を踏み出し始めました。やってみたら、すごく自分に向いてるって思って。20人くらい応募者がいて、私だけ、チョコボール向井だけがデキました。

――デキたというのは、撮影で勃起→射精をキメることが?

チョコ そうです。やっぱり普通、勃たないんですね、緊張で。いくら、綺麗な女性が相手でも、周りに人がわんさかいると、男って気が散って勃たない。でも、私だけは勃ってた。チョコだけはビンビン。そういう経歴でAV界に入ってですね、90年の1月にAVデビュー。タイトルは『男優さん、いらっしゃい』。その時の相手がまた良くて。90年代を代表するAVスターの樹まりこさん。当時の大スターと共演できた事が、私のラッキーなところでして。

――そこからはチョコさんご自身も男優スター街道に。

チョコ もともとの素質もあったんでしょうね~。あの当時は何を見ても勃ってましたから。自分では、とりわけ性欲が強いなんて思ったことは一度も無くて。でもAV界に入ってハッキリとわかったんですね。勃ちがいい。とにかく人が見てても、誰が見てても勃つ。連発で勃つ。ただ、今振り返ると、当時は雑、というか、テクニックなんて考えてなくて、バンバンやっては勃って、間を置かずにやって、だった。

――ちなみに、そのオーディションを受ける以前、衆人環境で勃起したことはあったんですか?

チョコ ないです。初めての世界。何にも意識していなかったんですね。撮影がどうとかじゃなくて、何にも考えてなかったんでしょうね。AV自体もそこまでは好きじゃないというか、樹まりこさんも、有名なのは知っていたけど、作品を見たことはなかったですね。

――よく知らなかったから、緊張せずにやれたのかもしれませんね。デビューしてからはトントン拍子だった?

チョコ トントン拍子。とにかく異常な勃ち方だったんで。当時は、モザイクが大きかったから、本番をする必要がなくて、実は男優はそんなに勃たなくてもよかったんですよ。そういう中で、最初から勃ってたんですよねぇ。そして、勃ったまま萎えない。そういうのがAV男優に向いたんでしょうね。非常に良く勃つ男優が入ったという噂がすぐ業界内に広まって、いろいろなメーカーさんから「うちの作品にも出てください」ってひっきりなしに仕事が舞い込んできましたね。当時、マッチョな男優はいなかったんです。色黒もいなかった。異質で珍しかった。

――パワフル系の男優さんがいなかった中、重宝されたんですね。

チョコ ありがたいことに。最初はボディビルトレーナーのバイトをやりつつ、男優のバイトをしようくらいの考えだったんですけど、次から次に仕事がきて、デビューした1カ月後くらいにはジムのほうの仕事を辞めざるを得なくなりました。AV一本でやっていこうって決めて。デビューの半年後には、月に大体20~25本のペースで出演するようになっていました。

――ボディビルのトレーナーよりも、AV男優の方が給料は良かったですか?

チョコ もちろんですよ。フィットネス産業が成長してない時で、ただの受付のお兄ちゃんみたいな感じのアルバイターがもらえる給料なんてたかが知れていて、一カ月毎日ずっと入ったって20万円くらいにしかならないです。これはずっと続けていたら、ダメだなと思ってました。かたや、AV男優の世界は初任給3万円。本当は1万円から始まって、中堅で3万円、トップの人でも1本出演して5万円です。

――なぜチョコさんは3万円スタートに?

チョコ 人前で本番ができた。勃った、挿れた、出した……これは自分何気なくやった動作なんですけど、普通出来ないんですよね。出来たからこそ、3万円男優からスタートできたんでしょうね。3年目の頃には、もうチョコボール向井っていうキャラクターが確立されていましたが、その当時、AV男優という存在が注目されていない中で、突出して取材されることが多かったですね。特異なキャラクターで。まぁ、運がよかったなぁと。

――そこからスタートして……

チョコ 20年やりました。90年から2010年になるまでだから。

――42歳までってことですね。飽きたりスランプに陥ったりすることなく20年過ぎましたか?

チョコ 最初の頃は面白かったですからね。毎日のように撮影があって、裸になることに抵抗がなかったんですよね、全く。脱ぐでしょ、撮影前にシャワー浴びるでしょ、監督と打ち合わせして、女優と話をして、「はい、始めましょう。よーいスタート!」とカメラ回るとですね、その瞬間、女の子「ア~ン」ってなって。いきなりフェラとかされちゃうし、こんな面白い世界ないなと思ってね。もともとそんなにAVを見るほうじゃなくて、全てが新鮮だったから出来たんでしょうね。プライベートの女性経験にしても、どちらかというと奥手な方だったかもしれないです。

◎AV男優3年目にして、インポと急性腰痛の窮地

チョコ 男優3年目の時にちょっとだけ、スランプに陥りまして。慣れすぎて、何を見ても、仕事では、勃たなくなっちゃったんですね。最初の頃は、どの撮影行っても、新鮮だったけど、月間20本撮影ペースだと、女の人の体見ても、何を見ても面白くないっていうか、何にも感じなくなっちゃう。

――今でいうバイアグラ的な医薬品は、当時なかったんですか?

チョコ 全くなかったですね。バイアグラが出てきたのは2000年くらいなんでね。だから、全然、ピクリともしなかった。これはヤバイなと思って、その悩んだ時に、AV業界の神と呼ばれる「ヨヨチュウ」(代々木忠)さんという監督に出会いました。ヨヨチュウさんは、チャネリングとか、催眠をかけながら女性が感じるとか、面白い作品を撮っていて。90年代の代表作品『淫乱パフォーマンス』なんて、本当に女優と男優が愛し合う作品なんですよね。本気を撮る人で。見せるためにパンパンってやったり、指でやったりとか、立ちバックとか、私みたいに駅弁やったりとか……派手なことをするのが男優だったけど、ヨヨチュウ監督が言うのは、「ぎっちり抱きしめ合いなさい。相手の目を見て、ちゃんとその人を愛して、瞬間でいいから、好きになりなさい」って。その監督のもとに、修行に行って。ひと皮剥けて、チョコボール向井は開眼できたっていうね。

――ヨヨチュウ監督のもとで修行して、「局部を触らなくても、射精が出来るようになった」と過去にインタビューでお話していましたよね。

チョコ 意識が変わりましたね。無になるんですよ。そこから私の幅は広がってですね。好みが全くなくなって、誰を見ても、さらに勃つようになったの。デブでもブスでもおばさんでも、何でも!そこからですよ、AV界が本当に面白くなったのは。加藤鷹さんもヨヨチュウさんを支持してましたが、みんな、男優たちは影響されたんですよね。

――そこからチョコさん全盛期に突入ですか?

チョコ 開眼して、95年くらいになると全盛期ですね。しかしその頃にですね、初めて腰を悪くして、急性腰痛で。一番最初のピンチでしたね。駅弁をちょっとやりすぎたんですね。駅弁ダッシュや駅弁うさぎ跳び、色んな駅弁のスタイルをやったことで腰を悪くしてしまいました。それからは、駅弁のフォームを変えたり、上手で持ってたのを下から持つようにして。

――腰を痛めても、やはり撮影では「駅弁」を要求され続けたんですか?

チョコ いや、もう駅弁をそれほどやらなくてもいい感じでしたけどね。90年代の終わりには、加藤鷹さんが女優さんに潮吹きをさせる「ゴールドフィンガー」をやり始めたりして、どんどんAV業界は変わっていきました。それまではAVの世界って“擬似”だったので、潮吹きなんてなかったんですよ。指入れさえNGだった。で、僕や加藤さんが出はじめて、「ゴールドフィンガー」と「駅弁スタイル」という演出のある“見せるAV”が作られて。アダルトビデオテープ、この頃が一番、「AVだな」って感じがしましたよね。ただ、98年あたりからセルビデオが出てきて、AVのバランスが崩れてきたように思います。レンタルもあり、セルもあり、VHSからディスク(DVD)になって……。

――2000年頃がVHSからDVDへの転換期だったのでしょうか。

チョコ そう、忘れもしない、プレステ2の頃ですよ。これに合わせてDVDに移行してきたんですね。プレステ2が流行ったのはAVを観るため、みたいなね。あの頃は、DVDデッキがそんなに普及してなくて。でもプレステ2買ったらDVDを見ることができるでしょ。

――なるほど……。

<続くパート2では、憧れのプロレスの世界からも誘われ、名声をほしいままにしていたチョコボール向井さんが、人生最大のピンチを迎えたことについて、お話していただきます。お楽しみに>

☆10周年イベントを11月に開催予定(加藤鷹デー予定)詳細はチョコさんのお店まで!

チョコボール向井の店『CHOCOBALL FAMILY』
東京都新宿区2-12-1 渡辺ビル2F
TEL:03-3358-5113

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