[女性誌速攻レビュー]「Domani」8月号

「Domani」の「母・妻・女」分類が溝を深める!? 噛み合わない母と女の“保活”議論

2016/07/24 16:00

 で、最後を締めるのは「東京の暑さからエスケープ!ひんやり満喫のご褒美デート」を吉田鋼太郎さんと。ホテルでランチを食べたり、中華の名店で冷やし中華を食べたり、怪談本を立ち読みしに行ったり。はて、これはどんな関係? ただの年上の友達?

 いや~、誰に向けてのページだったのかまったくわからず! 「Domani」が母妻女を対象に作ってることが災いして、妻目線(浮気相手)なのか女目線(彼氏)なのか、どっちに立って楽しめばいいのかわからないままでした。いっそのこと、毎号冒頭で華々しく展開している企画「女妻母 働く女の『木曜14時』」のように、ガツンと女妻母で分けてくれた方が読む方も妄想しやすかったな~……っと、スミマセン。ちゃんと企画の1ページ目にありました。「ドマーニ世代の3人の女性に登場いただき(略)妄想してもらいました」として、片瀬那奈、たんぽぽ・白鳥久美子、放送作家・勝木友香の3人が“TOKYO妄想女子”として協力したことが。ちなみに鈴木亮平さんは白鳥さん妄想、千葉さんは片瀬さん妄想、吉田さんは勝木さん妄想とのことで、立場的には女女妻……? ああ、やっぱりややこしい!

■分断させた方が広告収入的においしいのだ!
 え? 遅くない? とタイトルを見て初っ端から思ってしまった企画「女妻母 それぞれの『保育園落ちた日本死ね!!!』」。女性政治家センセの意見なども載っていましたが、この記事自体が「お主、政治家か!?」というくらい当たり障りのないものに仕上がっています。名前や顔の見えない「女妻母」の意見の羅列ばかりで、今更書かれなくても、こんなありきたりな意見ならもうネットで出尽くしてるよ! 以下、そんな「Domani」サポーターズ(読者)からの意見を抜粋。
 
 (女)「高くなるばかりの税金に悲鳴!せめて有意義に使って」
 (女)「子供を育てるのは大変そう。私にはやっぱり無理かも…」
 (妻)「保育園に入れることがゴールじゃない」
 (妻)「現在不妊治療中。保育園待機の悩みすらうらやましい」
 (母)「妊娠中から20園を回ってなんとか仕事に復帰」
 (母)「男性も含めた長時間労働を改善しないとどうにもならない」

 ほかにも「女」意見として「ワーキングマザーが職場にいると、時短勤務や育休中のシワ寄せをかぶるのはなぜかいつも独身女性。モヤモヤします」という、よく聞かれる意見も載っていたのですが、これに対して「“母”であるエディターSは、子供を盾に権利を振りかざすまいと肝に銘じてきたし、周囲の母親たちも同様だと感じる。でもこうして“不公平感”を募らせている女性がいることに、改めて軽いショックを受けた」という言葉で返答。「ショックを受けた」って、子どもの絵日記のような言葉にこっちの方が絶句ですよ! 話がまったく噛み合ってない!

 このやりとりがなんとも象徴的といいますか、「母」たちは、「子どもを産み育てるのは社会のため。自分は子育てでさまざまなことに耐えている。迷惑をかけないよう努めている」と思っており、「女」代表は「いやいや、シワ寄せ、こっちにきているんですよ~。仕事が増えても給料上がらないのですよ」と思いつつも、公には声を出さず。試しに言ってみたら、上記のように「私はちゃんとやってる」「ショックです」「男の仕事環境も変えないと」と「母」からは噛み合わない返答……。もちろん、これは極端な一例ですが、こうしてどんどん両者の溝が深まっていく光景が浮かびます。

 その溝が生まれる一端に、「母」「妻」「女」と女たちをセグメントして、企画も都合よく「母用」「妻用」「女用」で分け、かと思えば勝手気ままに「女」でひとまとめにする「Domani」も加担していない、とはいえないのでは……? しかし、母向け雑誌、妻向け雑誌、女向け雑誌とある中で、それら全部をターゲットにする「Domani」だからこそ、溝に呆然と立つ女たちをつなげる可能性もあると、期待していますよ!
(白熊春)

最終更新:2016/07/24 23:20
『Domani(ドマーニ) 2016年 08 月号 [雑誌]』
なぜ分類するのかホントわからんちん
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