覆面調査員が行く!

夢の美肌マシーンは「ぼったくり」!? 美容クーポン客を引っかける“数字トリック”に要注意

2016/07/17 19:00
facebottakuri.jpg
Photo by Shumpei Sano from flickr

お安い金額で、イイことしたい! 得したい!」という女の欲望を刺激する、「クーポン雑誌」「クーポンサイト」が巷に溢れまくっている現代――。しかしあまりの安さに、「こんなに安くて大丈夫?」「逆に損するなんてやーよ!」と、クーポンに半信半疑の人もいるはず。そんなあなたに向けて、女が特に気になる「美容・健康クーポン」を、世界で最も「安い!」に弱い大阪出身の女性ライターが、覆面調査員としてレポートしちゃいます!

 「はみ肉が ワタシのパンツ 紐にする」と五七五の川柳を詠みたくなるほど、腹回りの肉がひどい。しかしクーポンサイトを開くと、未知の施術メニューがいくつも目に飛び込んでくるので、「これなら、私の腹肉もなんとかなるのでは?」と希望がわいてくる。というわけで今回は、 “初体験”の施術にチャレンジしてみることにした。

潜入その1
「エンダモロジー」初体験は苦い思い出に……/渋谷・R
【メニュー】頑固なセルライトを撃退! 理想のボディラインを♪ 全身エンダモロジー&キャビテーション1部位 計90分コース
【クーポン価格】2,000円(89%オフ)

 今回潜入したのは、全国展開するエステティックサロンRである。メニュー名にある「エンダモロジー」とは、アメリカの政府機関FDAの認可を得ている医療機器の1つで、セルライトの解消や脂肪吸引後のケアを目的として開発されたという。ローラーを使い、脂肪を「揉み」「ほぐし」「吸引」してくれるそうだ。基本的に、ストレッチやマッサージ効果がメインで、脂肪吸引のような直接的な痩身効果は期待できないが、とにかく代謝アップにつながるのだとか。

 またエンダモロジーを使うと、血行やリンパの流れも良くしてくれるそう。その結果、老廃物のデトックスにつながり、コラーゲンやエラスチンの分泌を高める効果もプラスされるといい、エンダモロジーとは、まるでダイエットと美容の神様のような存在なのである。そんなエンダモロジーの全身施術がこの値段で! しかもキャビテーションのオマケ付きというクーポンに、思わず飛びついてしまった。

 期待に胸を膨らませ、予約時間よりかなり早くサロンに到着。名前を告げると「今、ほかの方を施術中なので、しばらくお待ちください」とのことだったが、待てど暮らせど誰も来ない。もちろん、早く来てしまった筆者にも非があるものの、30分以上も待たされ、思わず従業員の女性に、「あの、30分後においでくださいと言ってもらった方がよかったです」とチクリ。しかし、筆者の言葉は完全スルーされ、出鼻をくじかれてしまった。

 さて、ようやく個室に案内されたわけだが、従業員から「これに着替えてください」と渡されたのが、白ストッキング風の全身タイツ。着替えてみると、食品売り場にゴロンと陳列されているハムそのものといった具合である。

そんな珍妙な格好で施術台に上がると、従業員がエンダモロジーを器用に動かしながら、全身を解していく。初体験のエンダモロジーは、眠くなるぐらい気持ちよく、このままハムとして、ローストされてもいいと思えるほどの心地よさだったが、なんでも従業員いわく「人によっては、死ぬほど痛みを感じることもあるんですよ……」。その言葉を聞いて、途端に「効いていないのでは?」と不安になってしまった。

 35~40分程度のエンダモロジーが終わると、腹の脂肪ケアのためのキャビテーションがスタート。しかし、それはたったの20分ほどで終了。クーポンのメニュー名には、確かに「90分」とあったのに、実質1時間程度の施術だった。カウンセリング、着替えなどの時間を合わせて90分ということなのかもしれないが、クーポンでそんなみみっちいカサ増しをするのはいけすかない。よりお得感を味わいたいと、「施術時間の長さ」を美容クーポン選びの基準にする人も少なくないと思うが、ぜひ注意してもらいたいものだ。

 帰りに、「当店ではお客さまが初体験されるメニューは半額になります」とチラシを渡された。しかし、このエンダモロジーで結果を出すにはどうすればいいのかを聞いてみると、「早く結果を出したいなら1週間に2回が目安。10回以上から目に見えた効果を感じることができます」とのこと。通常価格(1万9,440円)×10なんて、筆者には支払う能力はないため、「リピートはなし」の結論に至った。即効性のない美容クーポンはなかなか新規客をつかみづらいのかもしれない。

クーポン満足度評価/★☆☆☆☆
リピーター思案評価/★☆☆☆☆
※待ちぼうけを食らったので、満足度はマイナス☆×2

『統計の9割はウソ:世界にはびこる「数字トリック」を見破る技術(一般書)』
お初のサロンに4万ぶっこむ人なんていねーから!!
アクセスランキング