[官能小説レビュー]

結婚15年目のW不倫発覚――それでも「愛してる?」と夫に問う妻に“安心感”を得るワケ

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『それを愛とまちがえるから』(中央公論新社)

 「愛しているからセックスをする」などと、愛とセックスを一括りにしてしまうから、夫婦間はこじれてしまうと常々感じている。もちろん恋人同士だった頃は、性的に相手を求めていただろうし、「愛している」の言葉の先には、当然異性としての気持ちもあっただろう。しかし、ひとたび結婚をし、1つの家庭を築き上げ、生活を共にしていく2人が交わす「愛してる」という言葉は、恋人同士の頃に囁きあったそれとは少し質が変わってくる。そこには、共に生きていくための“覚悟”が伴われるのだ。

 今回ご紹介する『それを愛とまちがえるから』(中央公論新社)は、結婚生活15年を迎えたアラフォー夫婦のダブル不倫の話だ。何事もない、普段と同じ平凡な朝、専業主婦である主人公・伽耶は、夫の匡に「あなた、不倫をしているでしょう」と問う。肯定も否定もせずに家を出た匡だが、伽耶の携帯電話に電話をかけ、君にも恋人がいるのではないか、と質問した。2人は長年セックスレスで、お互いに恋人が存在していたのだ。

 匡の不倫相手は、若くて小柄で可愛らしい顔立ちの鍼灸師・朱音だ。匡は朱音に惚れていて、いつも丁寧なセックスをする。対して伽耶の不倫相手は、漫画家の誠一郎。同じ大学出身で、匡も知る男である。

 お互いの不倫がバレた後も、何事もなかったように変わらぬ日々を過ごす伽耶と匡。けれど、そのことに違和感を覚えた伽耶は、ヒステリーを起こし始める。

 その後、伽耶と匡の夫婦間は次第にこじれ、お互いの恋人を交えて奇妙な関係を築くようになる。匡が、伽耶の留守中に朱音を自宅に招いたところ、3人は鉢合わせとなったが、そのまま呑み明かすことになり、伽耶も誠一郎に電話をする。そして、伽耶は「4人でキャンプに行こう」などと突拍子もない提案をし、事態はますますややこしくなるのだが――。

 伽耶には誠一郎、匡には朱音という恋人がいながらも、伽耶はたびたび匡に対して「愛してる?」と尋ね、匡は「愛してる」と答えている。そのやりとりに、2人は、それぞれの恋人の存在を知ることで、「夫婦としての愛」に疑問を持ち始めてしまったのではないかと感じた。

 男女4人の想いが交錯する本作を読むと、「愛している」というのが、非常に曖昧な言葉であることに気づくが、同時にそれは、人間関係の中でさまざまな形に変化し、気づいたときには自然にあるべき場所に落ち着いているのだと思わされる。

 ただ、伽耶と匡のように、葛藤しながらも愛を求めて彷徨う大人の物語は、読者に「誰もが愛に翻弄されているのだ」と感じさせ、ある種の安心をもたらすのではないだろうか。
(いしいのりえ)

ご近所のウワサ好きとしては、面白しかない案件

しぃちゃん

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