オンナの深度は、私が決める☆ 膣育成ダイレーション

人類がまんこに加えてきた、美白・脱毛・装飾などなどの“まんこカスタマイズ”の歴史をふりかえる連載「まんこカスタマイズAtoZ」。今回は、「膣」のお話です。(連載・全10回予定)

まんこはキツければキツいほどいい、みたいな風潮ってありますよね。逆にユルいまんこは、「ゆるマン」などと蔑まれたりもします。でもキツいまんこって、いったい誰にとって「いい」ものだっていうんでしょう。

現実には、膣が狭い・小さいために、性行為や婦人科検診を苦痛に感じる人がいます。こうした苦痛を手術なしで取り除くために、「ダイレーター」という器具が考え出されたのは約80年前のことでした。トランスジェンダー女性の間ではカジュアルに「ダイレ」と呼ばれたりするこの器具について、今日は進化の歴史から最新ダイレーターのデザインまでを一挙公開します!

◎ダイレーター、こんな時には頼りになるかも

ダイレーターとは、直訳すれば「拡張するもの」という意味です。さまざまな色・サイズ・素材が取り揃えられた棒状の器具で、挿入することにより膣を徐々に拡張したり、狭くなることを防いだりするもの。基本的には医師の指導下で使用する医療器具です。

ダイレーターはたとえば、下記のような場合に使われます。

(1)膣に何か入れるのは痛い、不快だ、膣けいれんを起こしてしまうという人の練習

膣に何か入れることに強い抵抗感や恐怖感がある人の場合、膣周辺の筋肉が無意識に強く緊張し、そのせいで余計に痛みや不快感を増してしまっている場合があります。これを「膣けいれん」、別名で「ワギニスムス」と呼びます。こうした場合はダイレーターを使って、膣周辺の筋肉を自分の意思で締めたりゆるめたりする練習をします。小指程度のごく細いダイレーターから始めて、なにかを挿入することに慣れ、心理的な抵抗感を取り除くという狙いもあります。

(2)婦人科がんの治療後、膣の形を保つために

婦人科がんで骨盤領域に放射線治療を受けた後は、膣の粘膜が炎症を起こし、癒着しやすくなることがあります。また、膣が狭まる「膣狭窄」につながることもあります。こうした場合にはダイレーターを使用すれば、治療以前の形を保つことができます。

(3)性別移行手術で膣を作った後、ふさがってしまうのを防ぐために

いわゆる性同一性障害などで、膣を作る手術をしたあとは、せっかく手術でできた膣がふさがってしまうのを防ぐためにダイレーターを使用します。

(4)先天的な膣欠損の手術後、もしくは手術をせずに膣を拡張するために

生まれつき膣・子宮・卵管がなかったり、また膣が途中でふさがっていたりすると、「性分化疾患」と総称されるMRKH症候群、アンドロゲン不応症などの診断が下されることがあります。この場合、手術で膣を作ったあとにダイレーターを使用することもありますが、ごく細いダイレーターから徐々に大きいダイレーターへステップアップしていくことによって、性行為が可能な深さにまで膣を広げる治療法もあります。(※1)

もともとダイレーターは、この(4)の先天的膣欠損治療に尽くしたある医師が世に広めたものであるようです。ちなみにこのお医者さん、女性の身体に起こるあの症状を“発見”した人でもあるようで……続いてご紹介します!

◎ダイレーター誕生物語

手術なしでも、膣は拡張できるのだ。そう証明してみせたのが、ニューヨークの産婦人科医であるロバート・ティルデン・フランク医師(1875‐1949)でした。彼は1938年、生まれつき膣が欠損していた6人の患者に対し、一日に2~3回、各回15~20分ほどガラス製のダイレーターを挿入することで手術せずに膣を拡張する治療を行ったのです(※2)。結果、6人のうち5人は膣拡張に成功し、うち3人は性行為を楽しめるまでになりました。

ちなみに、このフランク医師、今でいう月経前症候群(PMS)の存在を医師としてはじめて指摘した人物でもあります(※3)。1931年にフランク医師が「女子のだるさ、つらさって、たぶん生理のせいだよね?(要約)」という指摘をしたことで研究が進みはじめ、1953年にイギリスのカタリナ・ダルトン医師によってようやく「月経前症候群(PMS)」という名前が付けられるにいたりました。ありがとう……ありがとうフランク!! フランク医師の愛称は「ボブ」だったらしいですが、ボブまじリスペクト。そんな気持ちです。

しかしながら、ボブのダイレーター治療法にはある問題がありました。

「ダイレーターをずっと手で押さえてなきゃいけないから疲れる」

まったくとっても根本的な問題ですが、これを解決するアイディアが出されたのは、実に43年後、1981年のことでした。

「別に手で押さえなくても、入れて座っとけばいいんじゃね?」

ということで、イングラムさんというお医者さんが、ダイレーターを入れたまま自転車のサドルみたいな椅子に座っておくという「イングラム・メソッド」を発表するに至ります。またイングラム医師は、素材としてガラスではなくプラスチックのダイレーターを用いていました。そうだね。ガラスだとなんか、入れる時「ひゃっ」ってなりそうだからね。まあ夏はいいかもしれないですけど。

◎色も、形も、今はいろいろ!

フランク医師ことボブさんとイングラム医師の尽力もあり、2016年には本当にいろいろなダイレーターが作られるようになりました。形こそ、このふたりのアイディアをベースにしていますが、素材やデザインの面では飛躍的な進歩を遂げています。

たとえば、医療用シリコン製のダイレーター。挿入時もやわらかくて、ごつごつ当たらず、なおかつ消毒も簡単という優れものです。またアクリル製のダイレーターも使われており、こちらは軽くて安価であるというメリットがあります。

それから、サイズごとに色分けされているダイレーターも。「もうピンクは卒業! 明日から紫にしよっと」などと、ちょっぴり前向きにダイレーションを楽しめるのではないでしょうか。

なお、膣形成手術後に行うダイレーションの体験記は、ミス・インターナショナル・クィーン2015で受賞したさつきぽんさんのブログ「さつきぽんの性別適合手術(SRS)体験談」で読むことができます。手術後でもそうでなくても、ダイレーターは医療器具ですから、まずは婦人科医師に相談するところからはじめましょうね。

まんこは、育てられるんです!

■牧村朝子/1987年生まれ。タレント、文筆家。2013年にフランス人女性と同性婚、現在フランス在住。セクシャリティをテーマに、各種メディアで執筆・出演を行う。将来の夢は「幸せそうな女の子カップルに”レズビアンって何?”って言われること」。

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