仁科友里の「女のためのテレビ深読み週報」

あのショーケンに上から物を言う妻・冨田リカ、その奔放すぎる生き方の妙

2016/06/02 21:00

 ショーケンと3度目の結婚をした冨田を、私は「きっと男性の目線を気にするタイプ」と勝手に思っていた。しかし、冨田のブログを見ると、その予想が外れて、むしろ自分に興味を向けているタイプであることがわかる。野菜中心の食生活、ショーケンの番組出演情報などの合間につづられるのは、アインシュタイン、オードリー・ヘップバーン、マリリン・モンロー、ウォルト・ディズニーなど“生き方”や“成功”に対する偉人の名言、脈絡なく織り込まれる英語の日記、そして自分の哲学だ。2015年9月15日の一部を抜粋してみる。

今日を迎えるまで、後ろを振り向く暇などない。
センチメンタルに浸る気分とは、とっくにさよならしてる。
人生の逆算法で、時が止まらない限り、私も止まれない。
幸福の基準は、自分を鏡に映しても見えない。
側にいる大切な人がわが鏡となり、映し出される。
永遠とは、今この瞬間のことなのだから。

 正直、何を言ってるんだかよくわからないが、おそらく「前に進みたい」と言いたいのだろう。同様の哲学は頻繁に語られており、冨田が“生き方”に一家言あることがわかる。

 女性誌が定期的に「〇〇という生き方」といった特集を組むことから考えても、冨田のみならず、一般女性も“生き方”について興味がある女性が多いということだろう。ひとくちに“生き方”に興味があるといっても、良しとする方向性は2つに分けられる。それは「自分の思い通りに生きたいタイプ」と、「人にそしられることなく、あこがれられて生きたいタイプ」で、両者の意見は、基本的に交わらない。

 例えば、離婚。前者は思い通りに生きることが美徳であるので、離婚に躊躇はなく、それを“成功”とすら考える。一方で後者にとっては、離婚をいまだにマイナスと捉える人がいなくはないという意味で、“失敗”なのだ。故に後者のタイプにとって、2度の離婚と子どもを手放した冨田の生き方は“失敗”したように感じられる。しかし、冨田は同時に、3度目の結婚相手が一番ステイタスの高い大物芸能人というあこがれポイントも稼いでいる。つまり、冨田の生き方は、例外的に「思い通りに生きたい」派と「あこがれられたい派」両方の支持を得ることができるのである。オオモノとの結婚が、冨田の支持層と自信獲得に一役買っているのだ。

 また、矛盾するようだが、「思い通りに生きたい」派こそ、法的な妻に収まることが重要であると冨田は教えてくれる。5月27日放送の『ダウンタウンなう』(フジテレビ系)にショーケンが出演したが、大物の出演に司会のダウンタウンや坂上忍も気を使っている様子が見て取れた。収録に立ち会っていた冨田は、坂上に「直してほしいところはないか?」と聞かれると「腰にシップをはるときに音がすることがある」「臭いからやめてほしい」とショーケンの放屁癖を暴露。ショーケンは怒ることなく「気を付けます」と謝罪していた。ダウンタウンや坂上が気を使う人物に、上から物が言えるのは、あの場では冨田だけであり、収録現場とショーケンを「思い通り」にしているのは、冨田なのである。その権利があるのは、「妻として、ショーケンのお世話をしているから」であり、単なるガールフレンドではこうはいかないだろう。

 飲酒運転、恐喝、大麻の所持など警察のお世話になったこともあるショーケンだが、還暦をすぎて落ち着き、最近は仏教に研究もしているようである。冨田の影響で、食生活の改善や肉体トレーニングに励んでいるようだが、健康には留意していただきたいものである。だって、「思い通り」にならなくなったら、奥さんにポイ捨てされちゃうよ、過去の2人の夫のように。

仁科友里(にしな・ゆり)
1974年生まれ、フリーライター。2006年、自身のOL体験を元にしたエッセイ『もさ子の女たるもの』(宙出版)でデビュー。現在は、芸能人にまつわるコラムを週刊誌などで執筆中。気になるタレントは小島慶子。最新刊は『間違いだらけの婚活にサヨナラ!』(主婦と生活社)。
ブログ「もさ子の女たるもの

最終更新:2016/06/02 21:00
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