ピンク映画界の巨匠・浜野佐知監督インタビュー(後編)

「デカくて固くて長持ち」の男なんて迷惑! ピンク映画の巨匠が描く女性主体の性

hamanosachi4_mini.jpg
浜野佐知監督

(前編はこちら)

 ピンク映画作品を数多く制作してきた浜野佐知監督の根底には「男のためにではなく、自ら欲情する女性を描く」という大きな目標があったという。女性の性、社会全体での性の意識はどう変わってきたのか、話を聞いた。

■セックスは一番小さな男女共同参画

――浜野監督はどういう思いで映画をつくっているのですか?

浜野佐知監督(以下、浜野) 2001年に発表した『百合祭』という作品は一般映画で、高齢女性のセックスを描いたたぶん世界でも最初の作品だと思いますが、それまでの男社会ではババァのセックスなんて全く考えられなかった。セックスは生殖とイコールで、女の膣にザーメン撒き散らして子どもをつくること。だから閉経した女は性の対象にあらずということで、小説や映画で老人のセックスは描かれたことなんてほとんどない。稀にあったとしても、ジジイと若い女の組み合わせで、ババアのセックスなんてタブー中のタブーですよ(笑)。

 だからこそ、私は『百合祭』という映画で「70歳になっても80歳になっても死ぬまでセックスしたい」という女の欲望を描きたかった。閉経したからって女は枯れないし、年を取ったからって性欲がなくなるわけじゃない。逆に生殖から解き放たれたからこそ、自由で豊かなセックスがあるのではないか? だって、妊娠の心配がないんですよ。女にしてみればヤリたい放題(笑)。今こそ、男たちが都合よく奪ってきた女の性を女の手に取り戻す。それにはババアのセックスが一番効き目があるんじゃないかと。主演が吉行和子さんとミッキー・カーチスさんで、ため息が出るような素敵でいやらしいセックスシーンを演じてくれました。
 
 ピンク映画で言えば、男の性の思い込みをどう覆していくか、をテーマにしています。その時代時代の男のセックス幻想をぶっ壊す映画をつくる。

 例えば、10年以上前に撮った作品ですけど、酔って帰ってきた夫が寝ている妻に「ご主人様がやりたいときにやらせるのが女房の役目だろう」と無理やりセックスして、怒った妻が「これはレイプだ!」「私はもう気持ちいいセックスしかしない」と宣言してヤリマンツアーに出かけてしまうんですが、夫は自分の行為に何の問題があるのか全くわからない。ラストは、妻を探し出した夫が「許してやるから家に帰ろう」と言うんですが、妻は「あんたは何にもわかっていない」と離婚届を突きつけて繁華街を颯爽と歩き去っていく、というストーリーなんですが、セックスの強制はたとえ夫婦間でもレイプになる、というメッセージを込めています。

 まあ、男の監督が作るピンク映画だったら、夫が迎えに来た時点で仲直りして、夫婦和合のセックスで、めでたしめでたし、となるところなんでしょうが、浜野ピンクはそうはいかない。徹底的に男を叩きのめす(笑)。ピンク映画の観客は男ばかりですから、映画を通してセクハラやDVに潜んでいる男の幻想や思い込み、男にとって都合がいいセックス観を全部ぶち壊していく、というのが私のピンク映画かなと思っています。

――女性向けAVが流行するなど、女性の性に対する意識は変わってきた気がします。

浜野 女にだってエロを楽しむ権利はある。ただ今までそういう場がなかっただけなんですよ。

 私のピンク映画も女性たちがツアーを組んで見に来てくれますが、女がポルノを楽しむようになって、つくる側も女の描き方が男のために股を開くだけの客体ではなく、自ら欲情する女のセックスを撮るようになった、というのはあると思います。私のピンク映画もそうですが「自ら欲情する」ことこそ女性たちに伝えたいことなんですね。現実のセックスでは「早く終わってくれないかな〜」なんて思いながらセックスする女性が案外多い。「じゃあ、なんで股開くの?」と聞くと、断ったら彼氏に嫌われるからとか、男の欲望に応えるのが女の役目だからとか、女性も間違ったセックス観を刷り込まれているんですよ。
 
 私は「セックスは一番小さな男女共同参画」と言っていますが、男と女が対等に、自分のやりたいことを相手に要求し、お互いが一番気持ちの良いセックスをするためにどうすればいいか、ということを2人できちんと考えたら、本当の意味での良い関係が生まれると思います。

ババアはやりたい放題!

しぃちゃん

今、あなたにオススメ



サイゾーウーマンのSNS

  • 「いいね!」「フォロー」をクリックすると、SNSのタイムラインで最新記事が確認できます。

関連リンク

アクセスランキング

  1. 三浦春馬、写真流出の裏である豪語
  2. 菊地亜美の会見がド修羅場に
  3. 野村周平のアンチが急増しているワケ
  4. 結婚ハイで好感度大暴落のタレント
  5. 突然の「亀と山P」結成の舞台裏
  6. 『スター名鑑』スピード打ち切り舞台裏
  7. 『めちゃイケ』ジャニーズにモザイクの怪
  8. 「タウリン配合」はまったく意味ナシ!
  9. 芦田愛菜が合格した名門私立は?
  10. ザ・ウィークエンドの新曲がエグい!
  11. 『嘘の戦争』制作発表が修羅場に
  12. 栄養ドリンクで疲労は一切とれない
  13. 『まいジャニ』で盛大にドヤる永瀬廉
  14. 三代目JSB・山下の恋人にファン大混乱
  15. “もう終わった”イケメン俳優3人
  16. 今月号もひどい「CLASSY.」の恋愛企画
  17. 城島の「柿」ダジャレに苦笑、国分の自虐にツッコミ! 『鉄腕!DASH!!』の山口達也は大変だ
  18. ジャニーズ生写真売り上げ【1月】
  19. 田口淳之介、異例メジャーデビューの裏
  20. ベン・アフレック夫妻、やっぱり離婚へ

ジャニーズの人気記事

  1. 突然の「亀と山P」結成の舞台裏
  2. 『嘘の戦争』制作発表が修羅場に
  3. 『まいジャニ』で盛大にドヤる永瀬廉
  4. ジャニーズ生写真売り上げ【1月】
  5. 田口淳之介、異例メジャーデビューの裏

カルチャーの人気記事

  1. 今月号もひどい「CLASSY.」の恋愛企画
  2. 逮捕された元警部が語る覚せい剤と刑務所
  3. あの子に赤ちゃんを殺される! ボールをぶつけ、階段から突き落とす5歳女児に恐怖
  4. ノンケが「レズ風俗」に行ってみたら
  5. 植本一子「理想の家族像」から解き放たれて

海外ゴシップの人気記事

  1. ザ・ウィークエンドの新曲がエグい!
  2. ベン・アフレック夫妻、やっぱり離婚へ
  3. 「ラーメン大好き」キアヌ・リーブス、日本でお気に入りの店が判明! ファンに神対応も
  4. 50セントが半年で25億円の債権を返済できたワケ
  5. ビヨンセ、夫の浮気の怒りをアルバムにぶつける!