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『不機嫌な果実』(文藝春秋)

 SNSやネット掲示板などを見ていると、芸能人はもちろん、一般人の「女の不倫」は、男だけでなく、同性からも異常なほどのバッシングを受けている。不倫をしている彼女らがどういう過程を経て「不倫」という結果に行き着いたのかを語ることすら許されないほど、女たちは「不倫」という言葉に対して嫌悪感を抱く。その集団攻撃は、傍から見ていると少々行き過ぎではないかと疑問を抱くほどの異様な狂気を感じさせるのだ。

 しかしその半面、テレビドラマや映画、小説などでも「不倫」は長年描かれ続けているテーマである。中でも今回ご紹介する『不機嫌な果実』(文藝春秋)は、20年も前に発表されたにもかかわらず、今期テレビドラマ化となった、長年愛されている作品だ。同作は、映画化のほか、1997年にも別キャストにてすでにテレビドラマ化されている。なぜこの作品は、これほど長い間人々を引きつけているのだろうか。

 結婚6年目になる32歳の主人公・麻也子は、バブル時代、キャンペーンガールをするほどの美貌を誇る女性だが、セックスレスでマザコンである夫に不満を持っている。ベッドへ入る夫に、たまに手を伸ばしても、うんざりした声で手をはねのけられる毎日だ。

 高収入で温厚でハンサムな夫に、毎日“女”である自分を拒否され、鬱積していた麻也子は、性欲と空虚な気持ちを満たすために不倫をしてみようと思いつく。

 安全に楽しめる相手をと思案したときに浮かんだのが、社会人になったばかりの頃に出会った野村だ。大手広告代理店に勤める既婚者の野村は、高価なスーツをまとい、羽振も良く、金も時間もたっぷり使って若かりし頃の麻也子を愛してくれた。

 そんな野村に久しぶりに連絡を取り、数回のデートを経て、麻也子は「不倫」への道に足を踏み入れた。野村と高価な食事やシティホテルでの逢瀬を重ねるうちに、不満を持っていた夫にも優しく接することができるようになったのだ。しかしひょんなことから、野村には、麻也子以外の若い女性の存在がいることを知り、麻也子の気持ちは途端に冷めてしまう。

 そんなとき、勤務先の所用先で、音楽評論家の道彦と知り合った。クラシック音楽を愛する道彦は非常に情熱的で、麻也子の周りにはいなかったタイプだ。レストランでワインを注文する時に、見栄を張らずに安いワインを堂々と注文する道彦を見て、麻也子は、彼は自分を女として見ていないのだろうかと不満に感じつつも、次第に彼に惹かれてゆく。そしてついに、道彦ともベッドを共にしてしまうのだが――。

 本作には、麻也子の空虚な気持ちが淡々と綴られている。元キャンペーンガールという美貌の持ち主である麻也子が、「夫から拒否される」という日々は、彼女の女としてのプライドを傷つけ、いつしか夫との間に深い溝を作ったのだろう。

 とはいえこの物語には、私たち女が「不倫をする女」を嫌悪するポイントが隠されている。それが、作中に何度も出てくる「自分だけが損している」という台詞だ。都会に住み、家柄も良く安定した職業に就いている夫を持ち、自由になる金もたっぷりある麻也子が、それでもなお自分を「損をしている」と評価することに、反感を抱かざるを得ない人は少なくないだろう。

 しかし、拒絶反応を起こす半面、密かに共感してしまう女もいるはずだ。妻や母として生きていく上で、数々の我慢や諦めなければならない場面がある。例えば夫とセックスレスで不満があった場合、ほかに楽しめることを見つければいいと、何か趣味を見つけたり、あるいは1人で自分を慰めるなどをしてやり過ごすだろう。しかし、実際に求めているのは、ヨガでも自らの指でもなく“セックス”なのだ。

 理性を盾に“不倫”という禁断の道へ踏み入れることを多くの女がとどまっているにもかかわらず、堂々とその道へ突き進んでいる、不倫をしている女たち。その無邪気さが傍観者を苛立たせ、かつ好奇心をあおるのではないだろうか? 今も昔も、理性と衝動の間で揺れる女の思いは変わらない。麻也子の奔放な不倫劇は、いつの時代も女のやるせない嫉妬と怒りをか立てるのだ。
(いしいのりえ)

『不機嫌な果実(文春文庫)』 「不倫をしていない私は正しい」という自画自賛大会に見える amazon_associate_logo.jpg
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