[連載]海外ドラマの向こうガワ

D・トランプのような痛快キャラが「強い国アメリカ」を求める人にウケた、ドラマ『Empire』

2016/05/01 19:00

 一方、タラジが『ハッスル&フロウ』で演じたのは、体を売ることでしか金を稼いだことがなく、妊娠したことでDのお荷物になったと負い目を感じていた娼婦シャグ。自分を卑下し、常におどおどしているキャラで、『Empire』のクッキーとは正反対。シャグは常にノーメイクで疲れた顔をしていたが、クッキーは派手なメイクで「アタシの黒いケツにキスしな!」と強烈な目力でタンカを切る。前回テレンスと共演した時のキャラとは正反対の“強い女”を演じていることに、多くの女性ファンが爽快感を得ており、「どんな役でも演じこなせるのはタラジならでは」「タラジがいなければ『Empire』は面白くない」と大絶賛されているのである。

 2人の強烈なキャラクターのほかにも、「誰もが憧れる大金持ちなのに、どこか下品で成り金感がプンプン漂っている」こと、「金持ち一族ならではの権力闘争」「裏の裏では、白人富豪に支配されている音楽業界」「刑務所の中の世界」がリアルに描かれていることも、視聴者を魅了している。

 人種差別、ゲイ差別、女性蔑視が問題視されているアメリカのエンタテイメント界に喝を入れるような、痛快ドラマ『Empire 成功の代償』。映画『プレシャス』のリー・ダニエルズ、人気ドラマ『24』シリーズのブライアン・グレイザーが製作総指揮を務めており、予測がつかない展開にハマる人が続出するのもうなずける。

堀川 樹里(ほりかわ・じゅり)
6歳で『空飛ぶ鉄腕美女ワンダーウーマン』にハマった筋金入りの海外ドラマ・ジャンキー。現在、フリーランスライターとして海外ドラマを中心に海外エンターテイメントに関する記事を公式サイトや雑誌等で執筆、翻訳。海外在住歴20年以上、豪州→中東→東南アジア→米国→台湾を経て、現在は日本に帰国。数年後に来るだろう海外生活を前に、日本での生活を満喫中。

最終更新:2016/05/01 19:00
Empire/エンパイア 成功の代償 DVDコレクターズBOX
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