30代で投資用のマンションを購入した女性いわく、「不動産購入は女性が強く生きるために有効です」

 不動産購入というと、高額すぎて手が出せないと思っている人も多いのでは? かくいう私自身も、「毎月の収入だっておぼつかないのに、何千万円単位のローンを組むなんて無理!」と、思っていました。

 でもふと考えてみれば、家賃って積み上げると相当な額になるんですよね。たとえ月々の家賃が6万円だとしても、10年経てば720万円。生きている間ずっと家賃を払いつづけるとなると、20歳~80歳なら4千320万円。つまりは、ほとんどの人が住まいに何千万円も払っているのが実情なのです。

 家賃に費やす数千万円、もっと有効に使えないものか……。そう考えるのは、至極真っ当なこと。そこで今回は、「すごくお金持ちというわけではないけれど、不動産投資に踏み切った!」女性にインタビューします。

◎ブラジリアンワックスサロン経営者・井原さんの場合

 井原さんは、自宅でブラジリアンワックスのサロンを経営している女性。2年前、38歳のときにご自身の住居兼サロンである中野新橋の賃貸マンションとは別に、千歳船橋に投資用の不動産を購入しました。当面は現在住んでいる賃貸を引き払う気はなく、最初から運用するつもりで購入したそう。

 お話をうかがった当初は、「自分のサロンを持っているのだし、きっと稼いでいらっしゃるのね~」と思ったのですが、井原さん曰く、そんなことはないようで……。.。

【井原さん&お部屋のプロフィール】
井原さん:東京出身の40歳。現在両親は広島在住。現在恋人なし。ブラジリアンワックスのサロンを経営。マンション購入時は38歳。ブラジリアンワックスの施術は部位によって2千円~8千円ほど。ブラジリアンワックス施術者に対するレクチャーも行っている。現在は家賃月9万円の賃貸に住みつつ、3200万円のマンションに投資。

●購入マンション=投資
所在地:東京都世田谷区・千歳船橋徒歩10分
専有面積:約60㎡
築年数:5年
間取り:1LDK(間取りは約12帖のLDK、約6帖のベッドルームにバスとトイレ)
価格:3200万円 
管理費と修繕積立金:1万2千円
月々のローン返済:月々約14万円 35年ローン

●賃貸マンション=居住兼ワックスサロン
所在地:東京都中野区・中野新橋
間取り:1LDK(本人は8帖のLDKに住み、6帖のお部屋ををブラジリアンワックスのサロンとして使用)
家賃:9万円 
管理費:3000円

――家賃が9万円で、分譲で購入した物件のローンが14万。管理費も入れると月々住まいに支払うお金は24万5千円ですよね。それは、かなりの高額です。

井原「私だって、25万近くも住宅費に支払うことはできないです。経営しているブラジリアンワックスのサロンは、継続的に利用してくれるファンがいるので順調ですが、そもそも安価に設定していますし…..。平均収入からすると9万円の家賃で少し余裕があり、15万円だと予算オーバー。多分そこそこの企業のOLをしている人と、変わらないんじゃないでしょうか。ただ、発想を転換し、購入した物件を運用すれば、今の収入で望める以上のレベルの部屋が手に入ることに気がついたんです」

――普通なら購入した物件に住んで賃貸の家賃を払う感覚で、ローンを返済していきますよね。

井原「リフォームしたばかりのときが、運用のチャンスですよ。きれいな部屋でないと、なかなか借り手は見つかりませんから。私の購入した物件は、今の状態なら賃貸価格は15万円が相場です。ですから今のうちに運用し、家賃でローンを返していくつもりです。自分が住むとしても、古くなって借り手が見つからなくなってきたらでいい。私は“元金均等返済”でローン返済しているので、時間が経てば返済額が安くなるんです。しばらく賃貸などで回したあとで移り住めば、自分でもローンを返せる金額になっているはずです」

◎民泊で稼いで、ローンを返済

“元金均等返済”とは、借り入れた金額を返済年月で均等に割り、そこにローンの利息を上乗せする方式。未返済の残高が減っていくに従い利息額も減っていくので、当初の返済額が一番多く、将来の返済額は少なくなっていきます。毎月の支払額を一定にする“元利均等返済”に比べて、始めの負担は大きくなりますが、総返済額が少なくなるのが利点です。

――家が古くなり、借り手が見つからなくなった頃にはローンの支払いもお手頃になっている。計画どおりに行けば、賢い選択ですね。

井原「購入した部屋に住むものだという、固定観念を捨てました。部屋を借りてもらう人に、ローンの返済を助けてもらうイメージです」

――ということは、今お部屋は他人に貸しているんですね。

井原「私の場合、もっとアグレッシブに運用したかったので、今はAirbnb(エアービアンドビー)のオーナーになっています。1LDKのうち6帖の1室は友人に住んでもらい、12帖のLDK1室をAirbnbに登録して活用しているんです」

――個人の住居を旅行客などに貸すという、話題の民泊ですね! 露骨なことを伺いますが、どれぐらい儲かるものなんでしょうか。

井原「実は思ったほど儲からなくって(笑)。私は12帖に二段ベッドを入れて、シェアタイプにして登録しています。人の入り方を見て調整することはありますが、だいたい1人1泊2500円に設定しています。布団も2組あって、フル稼働すると4人が宿泊するので、最大1晩1万円儲けが出る仕組みです。実は、はじめは1人1泊4000円に設定していたのですが、利用者が少なくて金額を下げざるを得ませんでした。私の物件がある千歳船橋は、住むのにはよい場所なんですが、旅行者には魅力がないみたいです。上野あたりの部屋は回転率も高く、儲けが出ていると聞きますけどね。私はそろそろAirbnbを切り上げて、賃貸に出そうかと考えています。最近住民からのクレームも多くて、民泊がやりづらくなったこともありますし」

――テレビなどの報道を見ると、Airbnbは外国人利用者が引きも切らず、相当な売り上げがあるイメージがあったのですが、全てのケースに当てはまるわけではないと。

井原「宣伝など上手くやればニーズはあると思うんですが、これだけニュースになってしまうと、やりにくいですよ。私に関していえば、マンションの規約にも違反していません。商用で他人を宿泊させると違法になるので、そう見えないように、あえて友人に頼んでAirbnbで貸しているマンションのひと部屋に住んでもらうなど、トラブルを避けるために細心の注意を払っているんです。マンションの規約にも反していませんし、今まで何も問題は起こっていません。私が気にしている法律的な問題も、現状は政府に黙認されているようなので、気にする必要ないかもしれません。でもクレームが怖いんですよね。世田谷のような住宅地では、見慣れない外国人がマンション内を歩いているだけでも警戒する人が多くて……。Airbnbをやるなら人の流動性が高い地域や、オートロックがなく、管理され過ぎていないマンションを選んだ方がいいかもしれません」

 現状Airbnbなどの民泊を商売として継続的に行うことは、厳密には旅館営業法違反。ただ、海外からの旅行者増加による宿泊施設の不足は深刻で、政府は規制を緩和する方針を打ち出しています。具体的には、民泊をカプセルホテルなどと同じ簡易宿泊施設に分類し、いくつかの基準を設ける代わりに合法的に行えるようにするというもの。とはいえ、同じマンションの住民からの反対にあいながらの商売は、確かに難しそう。

――そのお話を聞くと、やっぱり不動産運用ってハードルが高いと思ってしまいます。Airbnbにしても、賃貸に出すにしても、相手あってのこと。もしも誰も借り手が見つからなかったら、ローンの支払いがのしかかって来るんですよね。

◎「私には何も残らない」から不動産購入

井原「確かに住宅を購入したことで、それを運用しなければならないという課題を背負うことにはなります。それでも私が住宅購入に踏み切ったのは、そうしなければ、私には何も残らないと思ったんです。なぜなら、私が女性だから。女性は結婚や出産などライフステージが変わると、仕事を中断しなければならず、途端に肩書きがなくなってしまうことも多い。それでは心許ないですよ」

 仕事柄、井原さんは女性の悩みを聞く機会も多いそう。「離婚したくても、生活力がなくて身動きが取れない」——そんな女性に、もしも不動産を運用する能力があれば救われるのではないかと、井原さんは考えます。

井原「女性が物件を購入して、それを賃貸に出している状態を作っておけば、当座は実質的な支出なく将来に備えることができます。たとえ将来的に分譲した物件に住むことがなくても、家賃収入を得る楽しみがありますし、家族の誰かが使ってもいい。もしも離婚するなどで行き場がないとなれば、それまでキープしてきた物件に住むというセイフティネットができる。自分名義の物件を持つことで、強く生きられると思うんです」

 不動産購入はローンの返済期間が長きに渡るので、購入するなら早く返済を始めた方が楽なのは確か。借り手が付く物件を見極めれば、井原さんが計画するようにローンの支払いを家賃収入で賄うことも、可能かもしれません。ただし厳密には住宅ローンを組んで得た物件を賃貸に出すと、賃貸住宅ローンに切り替えるなどの手続きが必要になります。その際は1万円程度の手数料がかかるほか、住宅ローンに比べて金利が高くなる可能性があるとか。多くの人が住宅ローンのまま賃貸に出しているのが現状のようですが、仕組みを理解し、許容範囲内で運用しないとトラブルになることもあるそうです。

井原「ローンのことや税金のことなど、家を買うと勉強しなければならないことが多いのですが、自分の資産のためだと思えば、やる気も出ます。正直、私が不動産を購入したというと、女友だちから奇異な目で見られることも……。でも私は家賃や、服や、化粧品やらに、何となくお金を使いつづける方が怖い。自分が手に入れた部屋に関して、あれこれ勉強したり苦労したりすることの方が、充実していると感じるんです」

 私たちは人生で、一体何を “自分のもの” にできるのか? 井原さんのお話をうかがって、しみじみと考えました。生きているだけで、お金はなくなっていきます。そして仕事も家庭も永遠ではないとしたら、自分の名義の住宅を、と思うのは自然な気持ちの流れなのかもしれません。

 ただ自分で住むにしろ、運用するにしろ、不動産を手に入れればそれにともなった課題を背負うことにもなります。それに対応するにはリスクを受け入れる強さと、手間を楽しむエネルギーが必要になるようです。

(蜂谷智子)

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