『ドロメ』内藤瑛亮監督インタビュー

「マッチョイズムとか気持ち悪い」『ドロメ』内藤瑛亮監督に聞く、女子と男子とおじさんの自意識

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内藤瑛亮監督

 男子校と女子校の両演劇部による合同合宿を舞台に、合宿所である男子校校舎で巻き起こる奇怪な出来事、彼らの過去や秘密、そして友情や恋を描いた青春ホラー映画『ドロメ』(公開中)。物語を男子生徒の目線から見た「男子篇」と、女子生徒から見た「女子篇」の二部作で、主人公の颯汰と小春、男女それぞれの視点で進行するダブルアングルムービーになっている。監督は、公開当時に各所で“問題作”として話題になった映画『先生を流産させる会』(2012年)の内藤瑛亮監督。同作は愛知県で実際に起きた事件をもとに、妊娠した女性教師を流産させようとする女子中学生を描いたが、今作もホラーでありながら、大人と高校生男女の対立が浮き彫りになっている。息子を束縛する母親、男性教師と女子生徒、そして自意識。なぜ内藤監督は、これらのテーマに惹かれるのか、うかがった。

■おじさんと女の子、その自意識が気持ち悪い

――映画に登場する高校生たちのカラっとした物事に動じない姿と、顧問教師や颯汰の母親など大人たちが醸す、ジメッとした鬱屈的な感情が印象的でした。

内藤瑛亮監督(以下、内藤) 怪奇現象やトラブルが起きても一般的なホラーのようにあまり深刻にならず、普通の高校生だったらむしろワーキャー言って楽しむんじゃないかと思ったんです。演劇部顧問の先生や主人公の母親といった大人は、そんな高校生と真逆にいる、人間関係や日々の出来事にズルズルと執着してしまう姿を描きました。

――顧問の男性教師・桐越先生が、部員の小春だけを名字で呼んだり、頭をなでたりする特別扱いのシーンや、リップクリームを塗る動作などは見ていて鳥肌が立ちましたが、意図的な演出ですか?

内藤 桐越先生の気持ち悪さについては自戒の念を込めています(笑)。「トップの俺が下っ端の君を大事にしてあげているんだから、君も喜んでいるよね」と、おっさんが年下の女の子を特別に可愛がることってあるじゃないですか。可愛いがられる当人は全然喜んでないし嫌悪感しかないので、おっさんは完全にピエロ状態なんですが、一番の問題として本人に自覚症状がない。そういう気持ち悪いおっさんには絶対になりたくないなと思うんです。

 リップを塗るシーンは打ち合わせ中にプロデューサーがスティックではなく缶タイプのリップを指で塗っていたのを見て、「これだ!」と思って採用しました。そもそも以前から、しょっちゅうリップを塗っている男って、なんか“準備”をしている感じというか、何のために潤いを持たせようとしているんだよと、すごく気持ち悪いと思っていました(笑)。そういう意識で描いたディテールは、男性の観客はまったく気付かないのですが、女性の観客は気付いてくれるのでうれしいです。

――とても客観的に男性を見ているんですね。

内藤 例えば、“滅びの美学”とか“忍耐”とか、男性が「かっこいい、ロマンだ」と言っていても、女性は「あれは気持ち悪いよね」と冷めた目線を持っていることって多いですよね。その違いは面白いし、取り入れたいと思っています。僕自身が、昔からマッチョイムズとか気持ち悪いし嫌だなと思ってきたのもあります。中高生の時友達がいなかったので、女子とも男子とも話さず、どちらのことも引いた目線で見ていたので、男性的な価値観にもちょっと距離があるのかもしれません。男同士で話すのも緊張するから嫌だったんですが、今は気を許せる男友達もできて、男だけでくだらないおしゃべりをするのが楽しめるようになりました。男子特有のそういうワーキャーしたノリは、今回書いていてもすごく楽しかったです。

ジャージに寄せる信頼、厚すぎでしょ!

しぃちゃん

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