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映画『桜の樹の下』監督インタビュー

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インタビュー

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(C)JyaJya Films、だいふく

 映画『桜の樹の下』は、神奈川県川崎市の公団住宅に住む老人たちの日々をクローズアップしたドキュメンタリー。下流老人や孤独死といった言葉で報道されることが多い昨今の高齢者ですが、この映画の登場者には、それらの言葉は当てはまりません。20代でこの作品を撮影した田中圭監督に、3年にわたる撮影を通じて見えた彼らの姿、生きることについて語っていただきました。

――映画の舞台になっている公営団地は、単身高齢者や障がいを持つ方の受け皿として機能しているそうですね。ここに住むご老人たちに、田中監督が興味を持たれたきっかけを教えてください。

田中圭監督(以下、田中) この団地の存在は以前から知っていて、前を通るたびに、ほかの団地にはないエネルギーを感じていたんです。日焼けしたおじいちゃんとおばあちゃんが、トイレのお掃除に使うペッタンする用具を杖代わりにして歩いていたり、フリフリの日傘をさして歩いているおばあちゃんがいたり。「ここはどこ?」と思うような独特な世界がこの団地にはあって、それで「ここを撮ろう!」と思いました。

――作品には、個性の際立つ4名が登場します。関口ことじさん(79)と岩崎びばりさん(71)のおばあちゃん2人組、自治会副会長の川名俊一さん(72)、障害者年金で暮らす大庭忠義さん(65)。それぞれ個性が強くて魅力的でしたが、出演はどのように決まったのですか? 

田中 まずは団地で草刈りをしていたおばあちゃんに声をかけて、「この団地で映画の撮影をしたい」とお願いしたんです。その方が、自治会副会長の川名さんに話をしてくれて、協力していただけることになりました。出演する方については、置かれている状況がそれぞれ違う人を望みました。まずは、目が不自由で障害者年金で暮らしている大庭さん。孤独死についてや、「食べていけない」と仕事の苦労を語る川名さん。仲良くなったりケンカしたりを繰り返している関口さんと岩崎さんというように、異なる環境の方を絞っていったのです。

――出演者のみなさんは、家の中を撮らせてくれたり、身の上のことなど何でも語ってくれていますが、撮影中に大変だったことは?

田中 映画の中で岩崎さんが捨てられていた洗濯機を部屋に運ぶシーンがあるのですが、それを撮影していると、ほかの入居者の方から「撮らないで!」と言われました。「団地の恥だから」と言われて。あと、岩崎さんは物を捨てられない人で、足の踏み場もないくらい物にあふれた部屋に住んでいるので、周囲の方から苦情も多いんですね。そういうことに対処していくことは大変でした。でも自治会の会長さんや副会長の川名さんが説得してくださって、撮影を進めることができたんです。


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――確かに、岩崎さんの家は横になる場所がないほど物があふれていましたね。70歳を過ぎて、あのような部屋に住むのは体を休ませることができずつらいと思うのですが、岩崎さんはとてもお元気ですよね。

田中 はい。岩崎さんはお話が好きで、息子さんの話をしだすと止まらないんです。最初にお会いしたときは5時間もお話ししていました(笑)。だから岩崎さんを撮影するときは、いつも最初の1時間はおしゃべりタイムなんです。カメラは回さず、自由に話してもらって、落ち着いたら撮影に入るようにしていました。

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