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◎そこに“自分”はあるの?

「実は私、離婚したんだよね」久しぶりに会った友人からの突然の報告。

 30にもなると、周りで離婚するカップルがちらほら出てくる。私は離婚自体にネガティブなイメージはあまりない。もちろん、おめでたいことではないけれど、上手くいかなかった関係を清算して次の道へ進もうという積極的な行為であって、そこに踏み切った彼・彼女らを応援したいと思う。なんなら自分だっていつ同じことになるか分からない。

 とはいえ、離婚は結婚の倍の労力が必要だと聞く。そんな大変な思いをした後だ、「あの人と結婚したのが間違いだったのかなぁ」と愚痴を言いたくなるのも当然の心理なんだろう。でもたまに「えっ」と思うケースに遭遇する。結婚生活が上手くいかなかった理由を周りのせいにするのだ。「親がすすめたから」「紹介してくれた人が『いい人だよ』っていったから」「結婚をせっつかれて焦っていた時にちょうど付き合ってたのが彼だったから『まいっか』と思って」……まるで「親が悪い」「焦らせた周りが悪い」とでも言いたげな口ぶりだった。

 いやいや、今は2016年だよ。戦前じゃあるまいし、別れることになったとはいえ、よっぽどの事情がない限り、一度は「この人を伴侶に」と最終的に決めたのは自分だ。そこに自分の価値判断は存在しないのか?

 結婚に限らず、何かを選択・判断するには基準が必要だ。もちろんそれは理路整然とプレゼンテーションできるようなロジカルなものから、「肌に合う」「しっくりくる」といった直感的なものまで様々だろう。ただ、「幸せだ」と思える決断を下すためには、“自分で”その基準を持っておくことが重要だ。そうすれば、良い方向に物事が進めば自信を深められ、たとえ結果として良くない方向に進んでしまっても、それを自分事として受け止めて、決断の際の基準を省みることが出来る。次の判断は、より「幸せ」へとつながりやすいはずだ。

 じゃあ、この判断の基準をどう定めていけばいいんだろう。基準は自分の価値観から派生する。

◎『仕事ができて、小金もある。でも、恋愛だけは土俵にすら上がれてないんだ、私は。』(ワニブックス)

 自分の価値観をどう醸成させていくかについて恋愛を通じて指南しているのが、2月26日に発売された『仕事ができて、小金もある。でも、恋愛だけは土俵にすら上がれてないんだ、私は。』(ワニブックス)だ。著者の桐谷ヨウさんは、恋愛に悩む人へのブログが大ヒットし、コラムニストとして多くの恋愛系Webメディアで連載を持たれている。そんな恋愛指南のプロ桐谷氏のデビュー作は当然、恋愛エッセイだ。ちなみに表紙に書かれている肩書は『天才恋愛コラムニスト』……自分の肩書に「天才」とつけるケースを、私は『スラムダンク』(ジャンプ・コミックス)の桜木花道以外、知らない。

 内容の話に戻ろう。恋愛エッセイである以上、もちろん恋愛の話が大半を占める。男性目線で男の本音を語り、恋愛のイロハを入門編から分かりやすく解説し、応用編へと展開する。結婚を含む長期のパートナーシップについても丁寧に言及している。著者が長年書いてきたノウハウが詰まっていて、恋愛に悩む女性にとっては学ぶところの沢山ある、うってつけの一冊といえるだろう。

 しかし、この本の真髄はそこではない。

◎自己の価値観の確立と、恋愛における女性像の転換

 この本は、恋愛指南本であり、自己啓発本だ。あくまでも恋愛を切り口にしながらも、表面的なモテやくだらないテクニック論には価値を置かず、“自分の価値観をいかにしっかりと見定め、それにあったパートナーとの関係を築くか”に主眼を置いている。そしてかなりのページ数をさいて、その自分の価値観をどう見定めていくかについて指南する。自分と対峙するための様々なアプローチが紹介されているので、一気にではなくても一つずつ実践していければ、今までボンヤリしていた自分の内面をより正確に認識できるかもしれない。

 この発見が活きるのは、恋愛シーンのみに限られないだろう。家族、友人や同僚との人間関係はもちろんのこと、どこに住みたいか、どんな仕事がしたいか、とどのつまり「どう生きたいか」をクリアにすることにつながる。この軸が(変化することはあれど)見つかれば、そこから派生する一つ一つの判断が、より自分の“幸せ”や“心地よさ”に直結しやすくなるんじゃないだろうか。

 先ほど述べた“自分の価値観をいかにしっかりと見定め、それにあったパートナーとの関係を築くか”という命題は、自分との対峙以外にも大きな意味を持つと私は感じる。これまで巷に溢れていた恋愛本は、“どうやっていい男に選ばれる女になるか”に主眼が置かれたものが多かった。しかし、上記の命題は、従来の“選ばれる女”から、“自分の価値観をもとに主体的に相手を選び、パートナーシップを築く女”への転換をはかっている。もちろん相手にも選ばれなければ双方向の人間関係は成立しないけれど、「選ばれる女になるために合わせよ、演じよ」という受動的側面よりも「どう選ぶか」の主体的・能動的側面に力点を置いている点で、これまでの恋愛本とは一線を画する印象だ。

 繰り返しになるが今は2016年だ。着飾って待っていれば王子様が白馬に乗ってやってきて幸せにしてくれるなんてことは99.999%ない。女性も意志と価値観を持って、自分の手と足で幸せを築いていく時代だ。

 いま、ちょうど大学生の就職活動の時期である。もし自己分析も企業研究もせず、肩書やイメージや周りのすすめでなんとなくエントリーシートを出し、面接はマニュアル本完全コピーで乗り切って、内定が出たからそこに就職する――そんなスタンスの就活をしたら、実りある社会人生活を送れる可能性は低い。よっぽど運よく相性の良い企業に入るか、「ここで頑張る」と覚悟を決めていない限り、「転職したい……」となるだろう。恋愛だって同じこと。「なんか違う」と思う恋愛を繰り返しているのなら、果たして自分は能動的・主体的に相手を選んできたか、それは自分と相手をよく知ったうえでの選択だったかを振り返ってみるべきだ。

◎他者と関わる大前提とは?

 さて、ここまでは自分の価値観を見定めること、そして主体的に相手を選ぶ重要性について述べてきた。さきほどちらっと触れたとおり、恋愛は双方向の感情があってこそ成り立つ行為。相手と向き合うこと抜きには語れない。ここで、「どう他者と関わっていくか」が問題になる。この点に関して本書のスタンスは終始一貫している。恋愛関係に限らず、すべての人間関係において、『しょせんは他人だから分かりっこない』(p26)と認め、ただしそれを前提に『”それでも分かりあおうとする努力”をお互い続けること』(p26-27)が幸せな人間関係を達成する鍵である、と。

 実際、自分の思うように相手を変えようとするのは勝手なわがままであり、甘えだ。最近の社会のキーワードであるダイバーシティ(多様性)も、まずは、自分は自分、他人は他人としっかり認識して、たとえ他人について理解や共感ができなくても尊重することが第一歩だ。

 本書では“自分を知る”段階と同様、他者と関わることについても様々な視点からヒントを提示している。読んで得た発見を、ぜひそれぞれのやり方で取り入れてみてほしい。

◎さまざまなスタンスの女性が、“自分”“他者との関わり”を考えるきっかけに

 恋愛指南書としても自己啓発本としても示唆にとんだ本書。自分自身との対峙や他者との関わりについて興味・関心の強い人は、自分の考えと照らし合わせながら存分に楽しめるだろう。逆に、これまであまりそういうことについて考えてこなかった、考えているのにうまくいかなかったという人にとっては、もしかすると書いてあることがピンと来ないかもしれない。だからこそこの本はチャンスだ。ピンとこない内容もあるかもしれないけれど、ピンとこないのは、裏を返せば吸収するものが沢山あるということ。もし今以上に、他者との心地よい関係や、自分の価値観に合う恋愛を望むなら、出来ることから一つずつチャレンジしてみるのはどうだろう。

 また、読者によっては賛同できない箇所も出てくると思う。私も、「うーん、ここはどうだろう」と首をかしげたところがあった。人の考え方なんてバラバラなので、それは当然のこと。でもその違和感も、自分の考えの輪郭をクリアにする一助になる。本書に限らず何か違和感を覚えることに遭遇したとき、「私はなぜこれに賛同できないんだろう」と自問自答することは有益な作業だ。

 私は、恋愛至上主義者ではない。結婚もそう。どちらも「したい人が、したいときに、したい相手とすればいい」と思っている。そんな調子なので、恋愛や結婚への強迫観念や焦燥感をあおるような本は好きじゃない。でもこの本は興味深く読めた。「恋愛本」の枠にはおさまらない新しいジャンルの自己啓発本として、未婚・既婚を問わず女性が長く愛読できる1冊だと思う。

 最後に。余談だが、この本の各章の終りには、偉人たちの名言が引用されている。初めて読んだとき私は『恋のから騒ぎ』(日本テレビ系)を思い出した。かつて明石家さんまさんが司会をされた人気番組だ。後日聞いた話によると、桐谷さんご自身も『恋から』を意識されたらしい。やはり。いつか、『桐谷ヨウの恋のから騒ぎ』を観てみたい。弁舌さわやかな桐谷さんのことだ、きっと個性の強い女性たちのトークに、ビシビシ愛あふれるツッコミをいれてくれるだろう(もう10歳若かったら出たかったなぁ)。
(吉原由梨)

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