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前回までで、女性の昇進、昇給差別、「女性の仕事」と括られている職種の扱いなど、幅広い問題に疑問を投げかけながら、ざっくりと私の考える女性の労働問題について触れてきました。

今回は、ちょっと男性を擁護してみたいと思います。

これから女性管理職の数は少しずつでも増えていくかもしれませんが、「上げ底」などという批判をされないように頑張ろうというプレッシャーや気負いなど、男性管理職であれば感じずに済む問題も出てくるのではないかと思います。

こうした状況は、どんなに男性上司が「これからは女性も活躍するべきだ」とサポートしようとしていても、そして女性がどんなに頑張っても、個々の努力や思いだけではなかなか変えることができません。

◎管理職・役員職に女性がいない

役員や管理職に女性がいないのは、そもそも年功序列の風土が残る日本企業で、勤続年数が役員レベルまで到達する女性の数が圧倒的に少ないことが最大の原因です。

1972年に公布・施行された勤労婦人福祉法を改正し、1986年に施行された「男女雇用機会均等法」は、今年で30年を迎えます。1975年の国際婦人年、1976年の国連女子差別撤廃条約の裁決など、1970年代は世界的に男女の不平等を改正しようとする動きが生まれた時期でもあり、1980年代に入ると、様々な分野に女性も進出していくようになります。

日本でも、均等法施行により企業は幹部候補である総合職にも女性を受け入れるようになりました。この時期に総合職に就いた、いわゆる第一期総合職女性がその企業に残っていれば、現在五十代前半。ちょうど役員に任命され始める年齢です。しかし、共同通信が大手28社に対して行った調査によれば、昨年10月時点で女性総合職第1期の80%が退社しています。つまり、ほとんどの第一期女性総合職が役員になっていない。年功序列の日本企業で、管理職・役員職の年齢層に達する社員の中に、女性の絶対数が少なすぎることがわかります。

◎絶対数が少ないゆえ、女性の働きやすさを考える理由がなかった

そもそも、女性には総合職になれる人材が少なかったのでしょうか?

大卒が総合職入職条件だと考えて、まずは女子卒業者数の推移を調べようと思ったのですが、卒業者の男女比率はウェブ上で詳細な数値が公開されていませんでした。そこで今回は代わりに、大学在籍者数を見てみたいと思います。

【グラフはmessyで!】

戦後、順調に差が縮まってきたとはいえ、均等法が施行された1986年はまだまだ男女で大きな差が開いています。この当時総合職として就職した大卒女性たちは、まさにエリート中のエリートだったはずです。そんな選ばれし女性たちの8割がこの30年の間に離職してしまったのはなぜでしょうか。

均等法が施行された当時、男女が同じように高い教育を受ける」「男女が同じように働く」ということを想定している人は少なく、「男性と同じように働く」ことに門戸が開かれても、そこに入っていく女性はまだまだマイノリティでした。また、総合職として入職しても、受け入れる側の男性が女性総合職と補助的な仕事をする女性の差を意識していたでしょうか? 何よりも、数が少ないマイノリティの都合(セクハラ、産休、育休など)を考える理由など、マジョリティ側にはありません。男性が中心の企業側には彼女たちを受け入れる体制がなかったのです。

しかし初回で書いたように、現在では女性の勤続年数は長期化しており、雇用者のうち女性の平均年齢40.0歳/平均勤続年数8.9年、男性の平均年齢42.5歳/平均勤続年数13.2年と、今や男女の会社在籍年数に大きな差はありません。雇用の流動化により、男性も一社で長期勤続する時代ではなくなっています。リクルートが実施するワーキングパーソン調査によれば、20代、30代に至っては過半数が転職経験者、しかもいずれの世代でも男性の方が転職経験率は高いのです。「女性は結婚・出産でやめる」というより「男女とも20,30代で過半数がやめる」のです。

◎課題は女性登用よりも、若年者登用

一方、正規雇用者数の数には未だに男女で大きな開きがあります。

【グラフはmessyで!】

JILPTのレポートによれば、1980年代と比較して、平均勤続年数と所定内給与の男女差はいずれも10%程度縮まりましたが、男性を100%としたときにはいずれも60%強の水準にとどまり、いまだに大きな差が開いています。

大学卒業者の男女差は縮まっているのに、「働く」ことについては差が縮まらないのはなぜなのでしょうか。

均等法施行当時、企業は学歴を使って一般職のみの採用を行うなど事実上の女性差別をしていました。また、総合職として採用された女性にとっても、セクハラ、昇進や賃金の差別、長時間労働文化、家事育児を分担できない夫、保育園不足など、家でも会社でも様々な足かせにより、長く働き続けられる状況ではなかったはずです。

第一期総合職女性が80%も退社しているのはそうした状況から導かれたものと推測されますが、人々の意識は変わりつつあります。イクメン、バリキャリという言葉が普及する程度には「男女が同じ条件で同じように働き、生活する」ことも珍しい光景ではなくなってきています。

一方、現実として管理職・役員の年齢層の女性が非常に少ないので、これから数年で女性管理職の数を劇的に増やそうと思ったら、若い人を登用するしかありません。こう考えていくと、女性登用が可能かどうかよりも、年功序列の日本企業で若い人の登用が可能なのかどうかという方が、課題設定としては適切でしょう。

◎社会的正義よりも、社会全体の新陳代謝を

当然のことですが、企業はボランティアや社会正義のためではなく、利益を上げるために動きます。顧客企業にしてみれば当然のことながら実績のある人と仕事をしたい。そして、仕事を引き受けている側は、顧客満足度を上げるためにも、確実に成果を出すためにも、やはり実績のある人をアサインしたいでしょう。

男性上司が「女性にも活躍してほしい」と思っていても、経験のある人に任せることで確実に案件を成功させたいと思えば、結果的に層の厚い年次が上の男性をアサインすることになります。つまり、年功序列だけではなく実力主義だとしても、「実績や経験のある人」を中心に仕事を回そうとすると、層の厚い年次が上の男性に仕事が偏っていきます。40代以上の総合職女性の絶対数が少なく、該当する女性が圧倒的に足りないからです。

つまり、この「経験値の問題」は女性だけの話ではなく、若い男性にも言えることなのです。

高度成長期は労働人口に占める若者の数が多く、会社の中でも未経験の若者の占める数が多かったため、誰にも経験を積む機会が与えられていました。ところが、労働者の平均年齢は年々上がり続け、今はわざわざ若い人にチャレンジさせるようなリスクを犯さずとも、ある程度経験のある中高年男性だけで仕事を回せてしまいます。

すでに経験のある人にさらに仕事や成長機会が集まる環境では、若い人の成長機会が限られます。年功序列システムの下では、今の30代が50代になったとき、今の50代よりも仕事の経験値が少ない可能性があります。

今、政府が推進している「女性活躍推進」は、女性を活躍させる点に注目が集まりますが、男女不平等の是正という社会正義的な観点よりも、「日本企業に人材登用におけるリスクテイクを促し、経営の活性化を促す」こと、そのことにより社会全体の新陳代謝が促されるかもしれない可能性にもっと注目が集まるべきです。

今、日本企業の女性役員比率は1.2%で、先進国の中ではダントツの低さですが、内閣府は2020年までにこれを30%にすることを目標にしています。この数値の実現可能性はさておき、女性管理職・経営者を増やそうと考えるのなら、短期的には若い女性を中心に採用数を増やし、彼女たちに積極的にチャンスを与えていくこと、長期的には役員・管理職に入っていく年齢を下げ、実力よりもポテンシャルを重視する登用が必要です。

女性管理職・役員比率をあげるという施策は、人材の若返りを通じて、日本企業の競争力や永続性を高める試みと言えるでしょう。女性管理職・役員の数を増やす試みは、高齢化が進み、社員の平均年齢も上がっている中で、経験値の少ない層の挑戦環境を整え、人材の新陳代謝と世代交代を促すことになるのではないかと、私は少なからぬ期待を持っています。

(参考)
内閣府男女共同参画局 「2020年30%」の目標の実現に向けて
日本労働組合総連合会 労働力構成(元データは賃金構造基本統計調査)
共同通信『2016/1/23 女性総合職1期の80%退社 雇用均等法30年、定着遠く』
浅尾 裕、2009、『男女間賃金格差問題読本―「説明されるべきもの」から「女性従業員の活躍度を示す指標」へ』独立行政法人労働政策研究・研修機構
リクルート『ワーキングパーソン調査2014』

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