減少傾向にあるラブホ。セックス目的「だけ」では生き残れない?

 前回は「アダルト向け市場に関する調査結果 2016」をもとにアダルトグッズはほんとうに売れているのか、女性の需要はほんとうにあるのか、について考えましたが、この調査結果、いろいろ興味深いのです。

 巷ではアダルト系の産業はいま、たいへん厳しい状況にあるといわれています。エロ本、ピンク映画、ストリップなど〈オールドメディア〉的なものは軒並み風前の灯で、AVもいまやネットに落ちている無料動画を見て済ませている人が多いでしょうし、性風俗業界もデフレ化が著しいといわれて久しく、それの大きな原因として若者のセックス離れが挙げられています。

 同調査では、「風俗施設・サービス市場(ラブホテル、ソープランド、ファッションヘルス、デリヘル)」という項目があります。なぜ主にカップルで利用するラブホと、主に男性が性サービスを求めて利用する性風俗とが一緒くたにされているのか……。調査項目を作った方からするとこれらはすべて同じカテゴリーなんでしょうか? そんな疑問を胸に残しつつ、市場規模の推移を見てみましょう。

 2010年度 2兆8861億円
 2011年度 3兆3099億円
 2012年度 3兆4235億円
 2013年度 3兆5037億円
 2014年度 3兆5775億円

 さすがに、アダルトグッズ業界とはぜんぜん規模が違いますね。しかし、「結局、このうち性風俗はどのくらいで、ラブホはどのくらいなのよ?」とモヤッとした感じが強く残ります。

 一方、動向と今後の展望を見ると、〈市場のカギを握るのは女性で、将来的には外国人を取り込まなければ〉とあり、その点はアダルトグッズ業界と一致していることがわかります。

・昨今では、ラブホテルは「ファッションホテル」「ブティックホテル」と称するようになり、あくまで女性に向けての雰囲気、アメニティ、さらには食事のクオリティなどで差別化し、セックスを意識せずに楽しめる空間という打ち出し方が増えている。また、「女子会」の需要を、シティホテルから奪っている事例もある。

・2020年のオリンピックイヤーまで、訪日外国人客は爆発的に増えるが、シティーホテル、旅館のキャパシティーが圧倒的に足りない状態が続くため、新たな訪日外国人客の宿泊先として、ラブホテルが受け皿になる可能性がある。また、ブティックホテル、ファッションホテルとして、「女子会」需要も取り込み、当面成長してゆく見込みである。

◎ラブホ利用客の移り変わり

 以前、テレビで「中国人観光客のあいだでラブホに泊まるのが人気! ファミリーで泊まる例も」といった内容の特集があり、その需要に特化したホテルも増えていると報じられていました。小学校低学年ぐらいの中国人の男の子がカラオケや、ジャグジー、浴室のテレビに大興奮している光景はなんだか不思議でした。

 でも私、実際にラブホ街で女性だけのグループも、スーツケースを転がして入っていく外国人も見たことないんですよね。もちろん、自分で利用するほかは、アダルトショップがあるためラブホ街にはちょいちょい足を運ぶ程度で、定点観測しているわけではありません。自分で見たことのない現象を「ないもの」とするのは浅はかなので、ここは専門家に話を聞いてみることにしました。スマホでできるラブホ予約サービス「BuonaNotte(ボナノッテ)」を運営する、永山正樹さんです。

ーーこの調査結果からはラブホ業界単独の動きがわからないのですが、実際はどうなのでしょう?

永山さん「ラブホはこれまで風営法の『店舗型性風俗特殊営業の4号』の届出をして営業するところが中心でしたが、そうした店舗は年々減っています。一方、旅館業法で届出をしているホテルも多いので、『ラブホの統計』は正確にはわからないものなんですよね。でも、オーナーさんの高齢化、店舗の老朽化で廃業するホテルも多いので、近年の傾向としては減少している実感があります」

ーーじゃあ、そんな厳しいなかで生き残りを図って女子会ニーズに答えたり、外国人を積極的に呼びこんだりするホテルは増えているってことですか?

永山さん「男女のカップルが利用することを〈カップルユース〉といいますが、全体的に見ると郊外型、都心型の差は多少あるにしても、まだまだお客さまの9割はカップルユースですよ。でも、オーナーさん自身は現状に不安を感じているケースが多いように見えます。若者はラブホ離れしているし、利用してくださるお客さまは高齢化しているし。そこで、若手オーナーや大手グループ店舗などでは、ビジネスユース(出張などでの利用)やレジャーユース(家族や友人と旅行などでの利用)を取り込みはじめています。もちろんインバウンドを狙って、外国人旅行客も積極的に受け入れています。これは決してネガティブな動きではないと思いますよ」

 永山さんが「僕もよく利用します」といって見せてくれたホテルグループのサイトには、「ビジネスホテルより断然お得!」というキャンペーンの告知があり、ビジネスユース客、レジャーユース客を盛んに呼び込んでいるのがわかります。しかもチェックインが17時や19時に設定されています。

◎ラブホのエロスは失われるのか

 最近はどこのビジネスホテル、シティホテルも満室なうえお値段も上がっていて、なかなか部屋が取れないといいます。おまけにビジネスホテルは部屋も浴槽も狭いので、だったらラブホに宿泊って選択肢、悪くないですよね。同グループでは、女子会プランももちろん用意されています。6名で宿泊(平日19:00~翌11:00まで最大16時間)の料金がひとりあたり1200円~って、すっごくお得じゃないですか!?

ーーでも、個人的には「ラブホってエロいことする空間であってほしい」という願望もあります。調査には「セックスを意識せずに楽しめる空間」とありましたが、それってなんだかなぁ。男女がそのためだけに部屋を借りて時間を過ごすって、それだけで官能的なのに。カップルユースを増やす努力ってあまりされていないんでしょうか?

永山さん「若い女性に喜ばれるような、アメニティ、スキンケアグッズなどを取りそろえるところもあれば、スマホ用にHPを作ったり予約システムを取り入れているところもあります。スマホをよく利用する若い世代に来て欲しい意図ですが、若者のセックス離れを打破するような決定打はいまのところ出ていないように見えます」

 生き残っていくためには、何か別のアプローチが必要ということですね。近い将来、ラブホはエロい目的だけの場所ではなくなってしまうかもしれないけど、ラブホそのものが衰退するのはもっと悲しい。日本独自のセックスカルチャーを象徴するもののひとつでもあるので、これ以上さびれてほしくはありません。そうしないためには、まず自分から率先して利用しなければ!

■桃子/オトナのオモチャ約200種を所有し、それらを試しては、使用感をブログにつづるとともに、グッズを使ったラブコミュニケーションの楽しさを発信中。著書『今夜、コレを試します(OL桃子のオモチャ日記)』ブックマン社。

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