【messy】

風俗嬢にエロと癒やしと「ワンチャン」を期待して通う男性たち

2016/02/25 20:00

先日、「風俗嬢にとっての『いいお客さん』『悪いお客さん』の違い」について書きましたが、今回は、現役性感エステ嬢の私が今まで出会ってきたお客さんの中で、特によく覚えている人たちのエピソードを書いていきます。

まず先に、性感エステは、風俗の業種の一つで、一般的なプレイ内容は、女性キャストがアロマオイルなどを用いて男性客に全身マッサージを施し、最終的に手コキなどで性的サービスを行うというものです。私が所属しているお店は、「何もしなくても気持ちよくなれます」を売り文句に、男性客が完全に受け身になるプレイ内容になっていて、キャストの体に触れることはNG、キスやフェラチオなどのオプションもなく、それを女性に強要することも禁止しています。

◎新婚の自宅に風俗嬢を呼ぶお客さん

私はデリバリー型のお店で働いているので、ドライバーさんの車でお客さんが宿泊しているホテルや御自宅に伺ってお仕事をします。

幽霊が出そうなくらい古びたラブホテルに呼ばれることもあれば、一度は泊まりたいと夢見ていた高級シティホテルに呼ばれることもあります。おかげで、デリバリー圏内のホテルであれば、お手洗いの場所やエレベーターの場所はほぼ把握しています(笑)。

御自宅に呼ぶお客さんも多く、そのほとんどが独身の方や単身赴任の方ですが、中には奥さんや彼女と住んでいる部屋に呼ぶ強者もいます。そんな時は、「髪の毛一本落とせない」、「万が一、奥さんが今帰ってきたら私包丁で刺されるかもしれない……」と、気が気ではありません。本当に勘弁して欲しいです(泣)。

一度、明らかに新婚さんの部屋に呼ばれたことがありました。

玄関を開けたらベビーカーが置いてあり、リビングには子供のおもちゃが散らかっていて、寝室にはそのお客さんとウェディングドレス姿の綺麗な女性が写った写真(どう見ても最近の写真)が沢山飾られてありました……。

「奥さん、どこかに出掛けてるんですか? 突然帰ってきたりしませんよね?」とお客さんに怯えて聞いたら、「大丈夫。実家に帰ってるから」と一言……。「実家に帰っているというのは奥さんのトラップなのでは……」とか、「新婚さんのベッドでこんなことしたらバチが当たりそう」と、プレイの時間中ずっと良からぬことを考えてしまい、生きた心地がしませんでした(泣)。

奥さんや彼女がいても風俗を使いたいのなら、せめて自宅ではなくホテルで呼んで欲しいと心底思います。

◎お金を出せば何でも出来ると思っている迷惑な客

「お触り禁止やフェラ無しは建前で、チップを渡せば過剰サービスを受けられる」と誤解しているお客さんはよくいます。「1万円あげるから舐めてよ」とか「3万円あげるからHしよう」というセリフは耳が腐る程聞いてきました。それなら最初からそういうサービスがあるお店を使えばいいのに、といつも呆れてしまいます。

以前、部屋に入るなり、「10万円あげるよ。出来る?」と言われたことがあり、今でもその人のことを思い出すと腹が立つのでここで愚痴らせてください(笑)。

以下、その人との会話です。

客「10万円あげるよ。出来る?」
私「どういう意味ですか?」
客「お金欲しいんでしょ? 生が嫌ならゴムつけてあげるし」
私「私はお店のサービス通りのことしか出来ません」
客「どうして? 10万円稼ごうと思ったら5、6人は接客しなきゃいけないでしょ?」
私「そうです。5、6人接客すれば稼げるので、お断りします。そういうお店じゃないので」
客「硬い子だなぁ。悪いけど、俺、手じゃイケないから」
私「そうなんですか? 悪いですけど、私、手しか使えないですから」

無理に体を押さえつけられて本番を強要されたわけではないので、そのままマッサージを始めましたが、あたかも私が悪いというような相手の態度に怒りが爆発しそうになるのを必死で我慢しました。

日々何かしら過剰サービスを要求されて、それを受け流すことに慣れきっているからか、その瞬間に相手に恐怖心を抱くことはあまりありませんが、「もし本当に無理やり体を押さえつけられでもしたら、逃げられるかな?」と考えると、やはり怖くなります。

結局この客は、「手コキでイクのはもったいないから、普通のマッサージだけでいい」と言ってきたので、素直に従ってあげました。手コキのお店で何を言っているんだって感じですが。

「所詮風俗嬢なんてお金を出せば簡単にヤれる」と思っている人だったんでしょうし、世間の多くの人からもそう思われていることは重々承知です。ですが、私は業務にないことをする気は一切ありませんし、こちらにも選ぶ権利があると声を大にして言いたいです。

◎風俗店を利用しているのに性的サービスを欲しないお客さん

3日に一回は聞くお客さんのセリフで、「この仕事をしてたらムラムラすることあるでしょ? Hしたくなるんじゃないの?」というものがあります。

一応お客さんには、「うん。接客中は理性がきくけど、あとからムラムラすることはあるよ」と模範回答で答えますが、正直、手コキをしながら「このあと何食べようかな」と考えることはあっても、ムラムラすることはありません。それに、好きでもなんでもない人のチ○コをしごいていて楽しいわけもなく、時々、「私、どうしてこんなところで知らない人のチ○コしごいてるんだろう」と妙に冷静になってしまい、泣けてくるときがあります(笑)。

だから、「Hなマッサージはしなくていいよ。普通のマッサージだけでいいよ。今日は女の子と話したかっただけだから」とか、「一緒にお酒を飲んでくれる相手が欲しかっただけだから、ゆっくりしていってね」と言ってくれるお客さんに遭遇すると、神様のように思えます(笑)。そりゃあ普通のマッサージをするだけでいつもと同じお金が貰えるのなら、そっちのほうがいいに決まっています。

最初はこういうお客さんに対して、「風俗店を利用しているのに、性的なサービスを受けないなんてどうしてだろう」と不思議に思っていましたが、「普段出会うことのないタイプの女性(この場合だと風俗店で働いている私)と話すことで仕事のストレスを忘れたり、癒しを得ているのかもしれない」と、私なりに解釈しています。中には、私のことがタイプじゃなさすぎて勃起しそうにないからという理由の人もいるかもしれませんが(笑)。……笑えないですが。

◎風俗嬢に恋心を抱いてしまうお客さん

性的サービスを求めてこないお客さんの中には、「君は好みのタイプど真ん中だから、話せるだけでいい」と本気で気に入ってくれて、その後も何度か指名で呼んでくれる人がいます。また、結局一度もマッサージをしたことがないお客さんもいました。

前回の記事の中でも少し触れましたが、毎回私の出勤時間全てを貸し切って呼んでくれるお客さんが過去に何人かいました。

こういうお客さんは食事に出掛けることを希望する方が多く(プレイ時間の範囲内で)、お店のスタッフに了承を得て、お客さんが宿泊しているホテルのレストランや近くの飲食店へ出掛けて、残りの時間は部屋でDVDを見たりお酒を飲んだりして時間を過ごします。このタイプのお客さんは、気に入ってくれると毎日のように呼んでくれますが、次第に本気で恋愛感情をぶつけてくるようになり、私がこれっぽっちもなびかないからか、他にお気に入りの女性が出来たからかは分かりませんが、ある日パッタリと呼ばれなくなります。

お店を通して半日近くの時間も私を呼ぶとなると、○十万円掛かりますし、それを毎日のように繰り返すのですから、ある程度お金に余裕がないと出来ません。ですが、遊び慣れた感じはほとんどなく、どちらかと言うとあまり女性経験のなさそうな、しかも風俗店を利用し始めたのはつい最近という人が多かったです。

「キャバクラの女の子と同伴して、オープンからラストまでいたほうがお店によっては安くつくんじゃない?」とバカ正直に疑問をぶつけてみたことがあるんですが、「キャバ嬢は男に貢がせることを何とも思っていなさそうだから嫌だ。ブランド物を買わされそう」と言っていました。偏見ですよね。

そのくせ、私に対してブランド物の鞄や服をプレゼントしてくれたり、「困ったことがあったら何でも言ってね」と、貢ぎ体質を爆発させていたので、結局同じことなのでは……と思わずにはいられませんでした。まぁ無理やり買わされるのと、自ら買ってあげるのとでは気持ちの持ちようが違うんだと思いますが……。

こちらからすれば、性的サービスどころか普通のマッサージもせず、美味しいものをご馳走してもらってブランド物までいただき、その上ギャラを貰えるのですからラッキーとしか言いようが無いですが、さすがに彼氏でもない人と毎日半日近くを過ごして、毎日「好きだ。彼女になって欲しい」と口説かれ続けたら、次第に苦痛になってくるもので……。それが態度に出てしまいパッタリ呼ばれなくなってしまうのかもしれませんが、そうなった時はいつも、寂しい気持ちはありつつも、ホッとする気持ちのほうが大きかったです。

私がもっと駆け引き上手だったら、こういうお客さんをいつまでも飽きさせずに繋ぎとめておくことが出来るのかもしれませんが、なかなかプロにはなりきれません……。

◎男性の下心を利用している仕事

このように性的サービスを求めないお客さんは本当にまれで、もちろんほとんどのお客さんが性欲を発散するためのエロ目的で利用しています。

「マッサージしてもらって、ついでに一発ヌイてもらいたい」とお店のコンセプト通りの目的で利用してくれるお客さんは、こちらもやりやすいですし、前回の記事で書いた「いいお客さん」に当てはまるのですが、「Hも出来たらラッキー」とか、「個人的に会える女の子を見つけたい」といったサービス外のことに期待を抱いて利用するお客さんには、毎回「どうかわせば指名に繋げられるか」と頭を悩ませます。

この仕事は男性のそういう下心を利用した商売でもあるので、続けていく限りずっと直面していく悩みなのでしょうね……。

(朝比奈ゆきえ)

最終更新:2016/02/25 20:00
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