『結婚しない男たち 増え続ける未婚男性「ソロ男」のリアル』著者・荒川和久さんインタビュー(後編)

結婚しないと一人前になれないのか? ソロ男が語る未婚男性への「ソロハラ」と幸せの多様性

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博報堂ソロ活動系男子研究プロジェクトリーダー・荒川和久さん

(前編はこちら)

■ソロ男だけでなく、ソロ女も増えている

――職業以外で、ソロ男を見分けるにはどうしたらいいのでしょうか?

荒川和久さん(以下、荒川) 「束縛されたくない」「ひとりの時間を絶対に確保したい」「何かがあっても他人に頼らず、自分でなんとかする」。この3つの質問の答えが、全部オールイエスだったら、ソロ男度数が高いですね。中でも、3つ目の「自分でなんとかする」項目について、チェックしたほうがいいですね。不測の事態が起きた時が一番わかりやすいんですけれど、たとえば予測できないような何か事故が起きたとする。それをまず自分でどうしようかと先に考えようとする人なのか、「どうすればいい?」と先に誰かに連絡したり、相談しようとするのか。先に自分でなんとかしようとする人は、ほぼソロ男確定です。

 そうは言っても、ソロ男を好きになってしまう時もある。付き合った後で、ソロ男だったということが往々にしてあるわけですね。そうなった時、簡単なのはあきらめること。世の中の半分以上はソロ男じゃないのに、なぜそこに行くのか、という話じゃないですか。そうなる前に、早めに3つのことを質問したり、観察して、ソロ男なのかを見極めることをおすすめします。

――“ソロ男的な女性”というお話が出てきましたが、“ソロ女”も増えているのでしょうか?

荒川 本を読んでいて、こういう女性いるいると思いませんでしたか? 我々の周りや、映像プロダクションに勤めている女性のディレクターやプロデューサー、ウェブのプログラマーなど、わんさかいますよ。「わたしのことかと思った」と言われたこともありましたね。「もはやソロ男じゃん」みたいな(笑)。

 職業別の生涯未婚率を見ると、女性の場合、芸術家やデザイン業などは24%、広告業は27%、映像、広告、新聞業に至っては34%です。男性も、これらの職業は生涯未婚率が高いです。なお、家事手伝いなんてやってる子は、ほぼみんな結婚しますよ。

■結婚していないから昇進できない“ソロハラ”

――荒川さんは、40歳を過ぎて未婚でいることで、生きづらいと思ったことはありますか?

荒川 男は結婚して一人前だといっているガラパゴスな人たちが、世の中には本当にたくさんいますからね。「俺は世の中のことを柔軟に見ているんだ」とか言いながら、そういう人に限って、「結婚もできない奴は人間的に欠陥がある」と言うわけですよ。うちの会社は、個人的なプライバシーについては侵入してきませんが、インタビュー調査によると、「お前、結婚してないから課長への昇進ナシな」ということを平気で言われる会社もあるみたいですよ。

 女性に対して、「結婚しないの?」はセクハラになりますよね。同様に、男性に対して、「独身でいるうちは半人前だから昇進ナシ」というのも問題だと思うんです。“ソロハラ”です。そんな人たちには、考え方を変えてもらいたいんですけど、なかなか変わらないでしょうね。彼らは「ソロ男は所詮変わり者だからさ」という一言で片付けるんですよ。まっとうではない、とハナから拒絶してしまうんです。

 彼らは「結婚して、子どもを持って、家族を養ってこそ一人前である」という価値感で人生を歩んでいます。自分が信じてきた価値観だから、崩されたくないんですよ。これまで家族のため、子どものために小遣い3万円、ランチは300円のかけそばだけで我慢し、それを美徳として生きてきた。それなのに、好きなことにお金を使って、ひとりで生きていきます~と楽しそうにするソロ男を認めたくないわけです。

■1万人いれば、1万通りの幸せの形がある

――結婚する、しない、どちらが幸せなんでしょう? 

荒川 〈結婚すべき/すべきじゃない〉とか、〈結婚したほうが幸せ/幸せじゃない〉とか、二択の話ではないと思うんですよ。1万人いれば、1万通りの幸せの形があります。それなのに、このルートが正しくて、このルートは間違っていると決めてしまうのは、おかしいような気がします。「結婚することが幸せ」というなら、「結婚して離婚した人はどうなの?」という話になりますよね。今や3組に1組は離婚しているんです。

 幸せの形は多様だと思うし、結婚して、子どもを持って、家族で暮らすという従来の形が幸せと感じる人もいるでしょう。それは否定されるものではありません。けれど、それだけが幸せの形じゃないし、みんながみんなそれを目標にしなくてもいいと思うんです。それとは別に、ずっとひとりだけれども、趣味を楽しんで仲間といたり、旅行へ行ったり、そんなひとりで生きていくことも幸せの形なんです。それをはたから見て、「孤独だね、寂しいね、孤独死するよ」と決めつけることが大きな問題なんです。確固たるものを持っていれば、人が何を言おうと、それが幸せの形です。

 そういう人同士が付き合って、「ちょっとだけ一緒にいようか」って始まった関係が、「おじいちゃん、おばあちゃんになっても一緒にいたね」という結果論も人の幸せですよ。もっといえば、途中で子どもが生まれたので「結婚しようか」という人も、いるかもしれないですよね。人の幸せには、いろんな道があると思いますよ。
(上浦未来)

荒川和久(あらかわ・かずひさ)
博報堂ソロ活動系男子研究プロジェクトリーダー。1963年生まれ。早稲田大学法学部卒業。博報堂入社後、自動車・飲料・ビール・食品・化粧品・映画・流通・通販・住宅など、幅広い業種の企業プロモーション業務を担当。プランニングだけではなく、キャラクター開発やアンテナショップ、レストラン運営も手がける。従来、注目されなかった独身男性生活者に着目し、2014年より「博報堂ソロ活動系男子研究プロジェクト」を立ち上げた。自らも「ソロ男」である。

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