『結婚しない男たち 増え続ける未婚男性「ソロ男」のリアル』著者・荒川和久さんインタビュー(前編)

「結婚しなくてもいいが、子どもは欲しい」もはやマイノリティではない、未婚男性“ソロ男”の生態

2016/02/19 15:00

■結婚はしなくてもいいけれど、子どもは欲しい

――彼らは、本当に結婚したくないのでしょうか?

荒川 「結婚するつもりはない」「結婚しない」と言っている人は、ソロ男の中で46.5%です。年代別にみると、20代は34.8%、30代は47.1%です。ですが、40代になると、41.4%に下がり、50代になると一気に64.5%となってあきらめる。

 この結果でおもしろい点があり、ソロ男はイエスかノー以外の「どちらともいえない」の率が異常に低いんですよ。アンケートで調査すると、普通は3割ぐらい「どちらともいえない」を選択する人がいるんですけれど、ソロ男は10%ぐらいなんです。ところが、40代だけ、「どちらともいえない」が24%に増える。これは、40代になると、「結婚しない」という強い意志が揺れ始めることを示していると思います。

――なぜでしょうか?

荒川 40代になると、若い頃のように無理をして仕事をしていると、だいたいの人が体を壊すんです。決めつけちゃいけないですけど(笑)。そうなってきた時に、入院や会社を休職したりして、ひとりになる。すると、このままでいいのだろうか、子どもがいなくて大丈夫だろうか、と考え始めるんです。だから、46.5%は「結婚しない」という結果が出ている一方で、43%は「子どもは欲しい」との結果も出ている。

 40代だと、今すぐに子どもを産んでもらっても、自分が60歳を超えた時に、子どもが成人してないという計算が成り立ちますよね。そうすると、今、子どもを産んでもらわないと、一生持てないよねとなる。そういうことも考え、揺れ動いてしまう。ソロ男を「非婚」ではなく「未婚」と表現しているのも、それが理由です。

――結婚したい女性が、ソロ男と結婚する可能性はあるのでしょうか?

荒川 まず大前提として、結婚したいなら、ソロ男みたいな人とは付き合わないほうがいいと思います。結婚したくない男といくら付き合っても、時間の無駄ですよ。ソロ男は女性と付き合うし、同棲も全然構わないです。けれど、5年も6年も付き合っても、プロポーズのプの字も出てこない。そのまま墓場まで行っても、なんとも思わないと思います。

 ソロ男は、専業主婦タイプとは合わないかもしれません。自分は他人に依存しない代わりに、他人からも依存されたくない。相手にはちゃんとバリバリ仕事をしてもらって、自立していてほしい。むやみに干渉し合わない代わりに、互いに相手の時間や趣味を尊重し合える関係。だから、ソロ男的な女性だったら、ものすごく気が合うと思いますよ。ソロ男は、家事だって自分でこなしますから。

 結婚は、家という単位に個人が属するという意味合いが強いと思うんです。そうではなくて、まず最初に個人ありきで、個人同士が互いを認め合いながら共同体を作っていく、そういう新しいパートナーシップの関係が、これからは認められていくべきじゃないかと。「家族」や「世帯」という生き物がいるわけじゃなく、「個人」としてみんな生きているわけですから。日本の法律では認められていないのですが、遅かれ早かれ、そういうふうにはなっていくのではないでしょうか。

 ソロ男の身で女性にアドバイスなんておこがましいですが(笑)、まずは自分自身がどういうタイプか見極めて、女性であってもソロ男的な資質を持っているならば、ソロ男とお付き合いしたらうまくいくと思います。依存型だったりとか、会いたくて震えちゃう体質だったら、それはソロ男とはムリですよ。
(上浦未来)

(後編に続く)

最終更新:2016/02/19 15:00
結婚しない男たち 増え続ける未婚男性「ソロ男」のリアル (ディスカヴァー携書)
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