触られない風俗、ソフトサービスという業種の難しさ

先日、「風俗店の体験入店を辞退したら『法的処置も考える』と脅された、とある風俗嬢の話」という記事で、転職先の風俗店を探していたときに引き起こしてしまったトラブルについて書きました。今回はどのようにして所属するお店を決めるのかを詳しく書きながら、いくつか面接を受けているうちに経験した「あれ? このお店、言ってることが求人情報に書いてあることと全然違うじゃん」というエピソード、いいお店と出会えたことで起こった自分自身の意識の変化についても書いていきたいと思います。

◎性感エステ店との出会い

私が初めて働いた風俗店はオナクラでした。プレイ内容は、男性客の自慰行為を見ているだけ、または手コキで手伝う。こちらの体に触られることはないという本当に風俗初心者向けのものです。

最初はそれだけでも抵抗はありましたし、知らない男性と二人きりで密室の中で過ごすことに対して「怖いな」とも思っていました。ただ、事情があってお金が必要でしたし、「この程度なら我慢出来る」と自分に言い聞かせて、この業界に足を踏み入れていきました。

その後、オナクラよりも高収入でなおかつソフトサービスのお店はないかと思って選んだ業種が性感エステでした。お店はいくつか移りましたが、それ以来ずっと性感エステという業種に従事しています。

性感エステ店の一般的なプレイ内容は、女性従業員がアロマオイルなどを用いて男性客に全身マッサージを施し、最終的に手コキなどで性的サービスを行うというものです。基本的に女性が受け身になることはなく、マッサージ主体のプレイ内容であることから、風俗業界の中ではオナクラと同じくソフトサービスに分類されています。ただ、お店によっては女性が脱ぐオプションがあったり、上半身へのタッチやキスはOKだったりと、プレイ内容に少し違いがあります。

私の場合、自分が受け身になるよりも男性客を攻めるほうが得意というか向いていると思うので、今所属しているお店も、今までも、男性客が女性の体に触れることを禁止とするお店で働いてきました。ただ、このように男性が完全に受け身のお店はそれほど多くはなく、探すときはとても苦労しました。

◎鵜呑みには出来ない風俗の求人情報

私がお店を移るときはいつも、紹介やスカウトは利用せずに自分自身で風俗専門の求人サイトなどを見て探します。

というのも、そもそも風俗の仕事をしている友人や知り合いがいないので紹介は期待出来ませんし、スカウトは何となく怖くて……。

風俗店はどこも集客のために新しい女性を求めているので、求人サイトには膨大な数の求人情報が載っています。某サイトでは全国で約6500件、関東だけでも約2800件あります。そのうち性感エステ店は約300件でした。

その中から、働くエリア、業種、給料など自分の求める条件のお店をサイトの検索機能を使って絞り込んでいくんですが、いろいろと条件をつけて絞り込んでも70件近くあったりして。

その検索結果を一つ一つクリックして条件やプレイ内容などを見ていくんですが、求人情報に書かれてある内容をそのまま信じて面接に行くと、「求人票に書いてあることと全然違うじゃん……」ということが何度かありました。

求人情報には、「脱がない、舐めない、触られない」と書かれてあったのに、実際に面接に行くと、「ソフトサービスのお店は稼げないからこっちで働いたほうがいい」と系列のヘルス店を勧められたり、「オプションでキス、オールヌード、フェラチオ、ソフトタッチがあるから。働いてる女の子は皆OKにしてるし、君だけNGにしちゃうとお客さんつかないよ」と言われたり……。結局は脱ぐし舐めるし触られるんですね、みたいな(笑)。

おそらくソフトサービスを売りにした求人広告を出せば、「これなら私でも働けるかも」と風俗未経験の女性の応募が増えるため、お店側にとっては業界に染まっていない初々しい女性を確保することができ、お店のコンセプトに合うように一から教育出来るというメリットがあるのだと思います。また、未経験女性の初々しい接客はお客さんにとっても新鮮で喜ばれやすく、指名も集まりやすいようです。

◎触られなくて済む風俗の難しさ

女性が受け身にならないで済むプレイ内容は、女性にとっては精神的にも肉体的にも負担が少なく、とてもありがたいのものなんですが、やはり目の前に下着姿の女性がいれば「触りたい」というお客さんがほとんどです。それを上手くかわしつつお客さんを満足させる努力が女性側には必要ですし、お店側もそれが出来る女性を育てていかなければなりません。でも、上手にかわすこと、出来る女性を育成することは困難であるため、何かしらのオプションをつけているお店が多いのだと思いますが……。

徐々にこのあたりの事情が分かってきてからは、面接に行って無駄足になることがないように、先にインターネットを使って自分なりに調べてから面接予約を取るようになりました。

求人サイトを見て気になるお店があれば、そのお店の男性客向けの営業用HPもチェックして、求人情報に書かれてあるプレイ内容と相違がないか、繁盛していそうかなどを見ていきます。求人情報には「女性が受け身になることはありません」と書かれてあっても、営業用HPにはキスやソフトタッチなどのオプションが記載されてあるということはよくあります。

逆に、「女性の体に触れることは禁止しています」とはっきり書かれてあれば、そのお店は男性が完全受け身のお店なんだなと判断出来ます。

このプロセスに従って実際に面接に行くお店を絞り込み、直接お店に連絡を取って気になる点やオプションの有無などをもう一度よく確認し、何も引っ掛かることがなければ面接予約をお願いします。

事前にこれだけ入念に確認しておけば、面接に行って「求人に書いてあることと全然違う」ということはほとんどありませんでした。

あとは、面接で採用してもらい、そのお店に馴染んで頑張るのみですが、お店のコンセプトと自分が合っていなかったり、スタッフとの相性が悪かったりすると、せっかく入店しても長続きしないので、何店舗か面接に行き、その中から一番自分に合ったお店に決めることが理想です。たとえば、在籍している女性が20代前半ばかりのお店にアラサー女性が入店してしまうと、「プロフィールに載せる年齢は……、22歳にしよっか」などと、無茶ぶりな年齢詐称を強いられてしまうこともあるからです(笑)。

◎いいお店との出会い

こうして自分に合うお店を見つけたら、そのあとはそのお店でしっかり稼いで、なるべく早くこの業界を辞めるのが理想だと思っていたのですが、私はかれこれ4年も続けてしまっています……。私は正直この仕事が好きではありませんし、「お金を貯める」という目的のためだけに続けているので、「早く稼いで早く辞めたい」と常々思ってきました。今もその考えに変わりはありません。

しかし、時々どうしようもなく仕事がイヤで仕方なくなってしまうときがあり、お店に行こうとしても接客のことを考えると吐き気がしてしまい、しばらく出勤出来なくなってしまうことが何度もありました。ソフトサービスのお店で働いているとはいえ、見知らぬ男性と二人きりになって性的なサービスを行うということは、私にとって決して楽しい仕事ではなく、ストレスも感じます。

お金のためと自分に言い聞かせてきたけど、お金のためにこんなにストレスを溜めて働くのはおかしいんじゃないのか、昼職でも努力してお金を貯めている人はたくさんいるのに自分は一体何をやっているのか、この先もずっと周りに風俗の仕事をしていることを隠したまま生きていくのか……。

自分の意思でしている仕事なのに、こうした思いに囚われて思い悩むことはしょっちゅうあります。幸い今は環境のいいお店で働けていますし、辞めたあとのキャリアについてもはっきり決めているので、卒業に向けて全力で頑張っているところです。

私のように周りに風俗勤めを隠している女性は多いと思いますし、特殊な仕事でもあるので、そのぶん精神的に病んでしまったりする子も多く、そんなときにスタッフが味方になってくれるお店は心強いです。心が折れそうになったときはゆっくり話を聞いてくれて、「しばらく休みたい」と申告すれば「元気になったらいつでも戻っておいで」と了承してくれ、目標を達成して卒業していく女性のことは温かく見送ってくれるスタッフがいるお店。

こういうお店なら女性も安心して働けて、前向きに卒業に向けてひた走れるのではないかと思います。

私も未来が見えなくてモヤモヤとしていた時期がありましたが、運良くいいお店、頼れるスタッフの人たちと出会えたので、今は「ここまで来たら中途半端に辞めたくない」、「風俗で働いたことをマイナスだと思ったまま生きていきたくない」と思っています。それに、業界に入る前は肩もみすらまともに出来なかった私が、お店のマッサージ講習のおかげで「お昼は普通のエステ店で働いています」としれっと言えるレベルまで腕が上達しました(笑)。

はっきりした数字は出ていないようですが、現在日本には約1万店の風俗店があるとされ、そこで働く風俗嬢は約30万人いると言われています。どうしてもネガティブなイメージがつきまとう業界ではありますし、実際に違法営業をしていたり、辞めたいと言った女性を脅して働かせるというようなお店も少なからずあるようです。

風俗業界にいる身としては、やはりそういうお店は無くなってほしいですし、一人でも多くの風俗嬢がいいお店と出会って、「嫌なことばかりだったな」と思って辞めるのではなく、「いい出会いもあったな」と前向きに卒業していってくれたらいいなと願わずにはいられません……。まだ現役の私が言うのもおかしい話かもしれませんが(笑)。
(朝比奈ゆきえ)

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