【連載】ヨシダ ナギの私が愛した世界のイケメンたち

お姫様抱っこでホテルを移動 ロマンチック系イケメンに出逢える魅惑の国

2016/02/06 15:00

 フォトグラファー ヨシダ ナギが世界中で見つけたイケメンをこっそりあなただけに紹介。

イケメンNo.04
名もなきイケメンinイエメン

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 わたしは中東が苦手だ。どうもノリが合わないことが多い。ただし、イエメンだけは少し違う。

 中東といえば、ドバイやカタールなどオイルマネーで非常に潤っている国を想像する方も少なくないと思うが、イエメンは中東の中では非常に貧しい国にあたる。ソコトラ島という、一説によると『ドラゴンボール』(集英社)のナメック星のモデルになったという地球上っぽくない島があるくらいで、そのほかにはあまり有名な観光名所もないのだが、とにかく人がいいのだ。「旅人がもう一度訪れたい国ランキング」の上位に食い込んでいたのを、なにかで見かけたことがあるくらい、人がいいのだ。

 そんなイエメンの首都にあるホテルに宿泊した際に、わたしは名もなきイケメンイエメン人たちに遭遇した。そのイケメンはホテルのスタッフたちだった。

 このホテルの中で、わたしはほぼ自分の足で歩かず、移動した。「どういう意味?」と諸君は思うかもしれない。ただその言葉の通り、ほぼこのホテルの敷地内を歩くことなく、自室から出入りし、食堂でごはんを食べ、そして出かけたのだ。

 答えは簡単。このホテルのスタッフが、すべてのシーンでわたしを抱きかかえて移動してくれたのだ。しかも、「プリンセス、あなたは自分の足で歩いてはいけない」というセリフつきだ。

 甘ぁぁぁぁ―い‼

 このホテルの甘い話はこれだけではない。まずはなにも考えず、下の写真を見てほしい。

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 いわゆるベッドメイキングサービスなのだが、このホテルはひと味から4、5味くらい違う。バスタオルやシーツを駆使して、花や蝶をアーティスティックに形作るのだ。このおもてなしに心の底から感動したわたしは、次の日出かける前に、「素敵なベッドメイキングをありがとう」と彼らへ感謝の手紙を書いた。ホテルに帰ってくると、前日同様ベッドメイキングアートを用意してくれていた。

 気をよくしたわたしは、「素敵なバラをどうもありがとう」という手紙を残して、その次の日も出かけていった。戻ってくると予想通り見事なベッドメイキングアートが広がっていたのだが、その時は手紙付きだった。

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「プリンセス、あなたが整理整頓をできるようになると、もっと素敵な女性になると思います」

 そんな少しビターなアドバイスまでくれる、甘いだけじゃないロマンチック系イケメンに出逢える魅惑の国、イエメンに幸あれ。

 そんなイエメンは2016年2月現在、内戦状態にあり、外務省からは全土にわたってレベル4の渡航禁止/退避勧告が出ている。あのやさしくて人懐っこくて、ロマンチストな彼らが無事でいてくれることを心から祈る。

ヨシダナギ
1986年生まれのフォトグラファー。アフリカ人への強烈な憧れを幼少期から抱き「大きくなったら自分もアフリカ人のような姿になれる 」と信じて生きるが、自分が日本人だという現実を両親からつきつけられ、10歳の時に大きく挫折する。独学で写真を学び、2009年より単身でアフリカに渡り、憧れの彼らの写真を撮りはじめる。アフリカの裸族と共に裸になったことがさまざまなメディアで紹介され、その奔放な生き方と写真が注目を集める。現在はアフリカや途上国の秘境や僻地で写真を撮りながら、“アフリカ人の美しさ”や“アフリカの面白さ”を伝えるべく、講演会やコラム寄稿などの活動を積極的に行っている。
・公式サイト

最終更新:2019/05/21 16:52
TRANSIT(トランジット)特別編集号 美しきイスラームという場所2015 (講談社 Mook(J))
苦ぁぁぁぁ―い
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