【不定期連載】愛の博打デートスポット

春画、肥桶かつぎ、変装コーナー、ゲーセン……カップルで行きたいパラダイス「熱海城」

2016/02/13 18:00

 六本木ヒルズ、しながわ水族館、東京ディズニーランド、横浜みなとみらい――『デートぴあ』(ぴあ)に載っているド定番のデートスポットでは物足りないあなたへ。サイ女編集部が「カップルの愛を試す」ためのデートスポットを独自調査。ワンランク上のデートをご提案します。仲が急速に深まるか冷え込むかは、カップルたちの度量次第、いちかばちかの“博打”デートスポットはここ!

【第6回 熱海城】

 カップルにしばしば訪れるいくつかの試練。初めての手つなぎ。初めての夜、そして……初めての旅行。その行き先として、もっとも人気のスポットが熱海である(当社の勝手な想像)。

 熱海……。風光明媚な景色と温泉で、東京の奥座敷として発展を遂げた街である。朝夕は温泉で肌を潤すとして、昼の行き先がカップルの行く末を決めることだろう。そしてぜひ昼のデート先として選んでほしいのが、熱海城である。

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お城どーん

 熱海城は、海岸沿いにそびえる錦ヶ浦山頂にある。麓から熱海ロープウェイに乗って山頂へ着くと、そこに熱海秘宝館がある。そしてその秘宝館から徒歩3分のところにあるのが、熱海城だ。ここの山頂には秘宝館、熱海城、トリックアート美術館があり、どの施設に行くかはカップル次第である。

 秘宝館もかなり博打なスポットだけど、あそこは方向性がはっきりしているので、行く前にYES、NOの答えが得られるだろう。問題は熱海城だ。

 カップルの旅行で熱海城……実はオススメだ。女子はとにかくお城が好き。「初めてのときはお城のような海の見えるホテルで♪」とか言う人もいるくらいだし、歴女などという言葉も生まれた今、“お城”にビンビンアンテナ立てちゃう女子も多かろう。和だろうが洋だろうが“お城”への女子の情熱は荒ぶっているのだ(多分)。熱海城には、女子にそんなお城マジックをかけてくれるかもしれない。行け、若人よ。期待に胸ふくらまして熱海城へ行くのだ!

 さて、そんな熱海城は、地下1階、地上6階からなる天守閣だ。歴史的には、北条時行が中先代の乱の際に建立し、新選組が甲州勝沼の闘いの後に逃れてきたのがここ熱海城……というのは大嘘である。熱海城で一番有名な歴史的事件は、ゴジラとキングコングが熱海で暴れて、ここ熱海城を破壊したこと。そう、この熱海城、天守閣風な建物ではあるけれど、まったく歴史には関係なく、ここに城が建っていたという事実もなく、絶賛昭和の建物なのだ。

 しかし眺望(だけ)はいい。熱海の街を一望でき、海の向こうには初島や大島を臨む。ここでたっぷり30分は取ることをオススメする。なぜなら入場料はこの絶景のために払うといっても過言ではないのだから。

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高所恐怖症の彼を連れて行ってここでドッキドキの吊り橋効果だ!

 あとのコーナーはまあなんというか、“夜疲れていいお湯つかるための作業”だと思っていい。なんとも方向性のつかみにくい展示の数々を、めいっぱい堪能するのだ。カップルでやる気になれば2時間は潰せるはずだ!

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マッチで作った城郭だとかーわーすごぉーい
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外国人なら喜べそうな変装コーナー
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肥桶の上手な担ぎ方

 この城で“エンジョイ脳”の能力が低くても楽しめるのは「江戸の判じ絵」コーナーだ。判じ絵とは、絵を見て何を表しているのかを当てるなぞなぞ。ここで、彼氏彼女の頭の柔らかさ加減をチェックしておこう。どれだけ判じ絵の謎が解けるか、辛抱強く解答にトライするか……。こういうところで相手の本性を見極めるのだ。

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茶をガマが用意しているので「茶釜」、「あ」が臭い「さ」を放って「あさくさ」とか。
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思わずそこにいた全員でなぞなぞ解き合戦が始まりました。どのカップルが一番先に解答できるか! ざわ……。

 ここで出題された問題に全問正解すると、1階のお土産屋さんで粗品がもらえるとか。しかし、筆者は一生懸命用紙に答えを書き、全問解いたところでスッカリ全てを忘れて帰ってきてしまいました。粗品……もらった人によると本当に謙遜でも何でもなく粗品だったらしいけど。カップルでもらったならば、どんなガラクタでもいい思い出にしてほしい。

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地下にはお決まりのゲームセンター
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刀剣の展示には鼻息荒くなる女子もいるかも?(たぶんキャラになってる名刀はないけど)

 ところで、もしカップルで熱海に来た目的が秘宝館で、だけど相手を「誘っても大丈夫かな?」という不安がある方は、先に熱海城に行くといい。実は熱海城には「浮世絵秘画館」なる春画コーナーまであるのだ。ここで相手の様子をうかがった上で、大丈夫そうなら秘宝館へ行こう。

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18禁で撮影禁止。いざゆかん!

 暗闇の中で蛍光灯パネルとなって浮かび上がる春画の数々。……すごい、すごいぞ! 春画は熱海にあったんだ! 昨年(2015年)、『春画展』開催前にさんざんモメたというけれど、お城の地下には普通に展示してあるんじゃないですか! ちなみに秘宝館にも春画がズラリ展示してあるので、熱海は日本一春画が常設展示してある地域ではないかと思われる(どちらも蛍光灯パネルだけど)。

 高度成長期に、おっさんたちの慰安旅行先として栄えた熱海。その後、旅行が団体から個人に代わり衰退したけれど、今は若い旅行者をターゲットに生まれ変わろうとしているらしい。熱海城は果たして若い人の心を打つか。博打を打ちたいカップルの心は打つはずだ! 有効活用できてよかった。せっかくの昭和の遺物ですもの。それがたとえ平成の価値観からはずれていようが、がっちり楽しめるカップルが長続きするのでしょう。

 ちなみに、筆者は以前ここに来た彼とはその後さっぱり別れましたが、編集者は熱海城を楽しんでそのまま結婚したそうです。まさに博打デートスポット!

熱海城
【博打デート度】★★★★★
【オススメのカップル】初めての旅行に行くカップル

和久井香菜子(わくい・かなこ)
少女漫画マイスター、文筆家。『少女マンガで読み解く 乙女心のツボ』(カンゼン)が好評発売中。ネットゲーム『養殖中華屋さん』の企画をはじめ、語学テキストやテニス雑誌、ビジネス本まで幅広いジャンルで書き散らす。

最終更新:2016/02/13 18:00
『るるぶ箱根 熱海 湯河原 小田原(国内シリーズ)』
これぞ熱海、これこそが熱海……!!
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