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<連載のはじめに>
 母と娘、姉と妹の関係は、物語で繰返し描かれてきました。それと同じように、他人同士の年上女と年下女の間にも、さまざまな出来事、ドラマがあります。教師・生徒、先輩・後輩、上司・部下という関係が前提としてあったとしても、そこには同性同士ゆえの共感もあれば、反発も生まれてくる。むしろそれは、血縁家族の間に生じる葛藤より、多様で複雑なものかもしれません。

 この連載では、そんな「親子でもなく姉妹でもない」やや年齢の離れた女性同士の関係性に生まれる愛や嫉妬や尊敬や友情を、12本の映画を通して見つめていきます。

■『プラダを着た悪魔』(デヴィッド・フランケル監督、2006)ミランダ×アンドレア 


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 仕事に真剣に取り組めば取り組むほど回りの人に嫌われる、ということがある。いや、仕事に真剣な人は皆に歓迎されるでしょうって? そうとは限らない。

 自分の仕事に厳しいから人にも厳しくなり、職場で煙たがられる可能性がある。あまりに有能で嫉妬を買ったり怖れられたりする。仕事に熱中してプライベートがおざなりになり、恋人や家族との間に亀裂が生じる。「仕事ができる」というプライドが滲み出て、あまり他人に親しまれないということもある。

 そこまでいかなくても、仕事に熱中することは多かれ少なかれ、誰かに嫌われることだ。競争の激しい分野であればあるほどそうなるだろう。

 私を嫌う人がいても、私は自分の仕事をまっとうしたい。なぜなら私はここにすべてを注ぎ込んできたのだから。そういう信念と情熱、そして成功体験だけが彼女を支えている。

 『プラダを着た悪魔』(デヴィッド・フランケル、06)は、そんな仕事人間の女性上司が、頑張り屋で頭の良さそうな新人女性の中に自分の相似形を見出して期待をかけるものの、情に流されがちな新人は最終的に「人に嫌われる」ことを引き受けられず、職場を去っていくという物語だ。

 ちょっと待って、そんな話だったっけ? と言いたい人はいるでしょうが、そう受け止めて初めて見えてくるものがあるのです。

 上司・ミランダは徹頭徹尾仕事のために行動し、人に嫌われるのを厭わない女。部下のアンドレアは仕事のためよりは正義感や人情で動き、嫌われる耐性の(まだ)ない女。「別れる」のは必定だった。その観点から物語を振り返ってみよう。

『あなたたちはあちら、わたしはこちら』 なぜ嫌われたくないのか? の自問から自意識が見えてくる amazon_associate_logo.jpg

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