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 「彼女のなだらかなキュウリョウをうっとりと眺めた」
 「きみのエキスをチュウシュツして飲み干したい」

 駿台予備学校の著者・霜栄氏による、『生きるセンター漢字・小説語句』(駿台文庫)で使われている例文に多数の性的な表現が使われており、ネット上で、「セクハラ」ではないかと話題になっています。

・駿台文庫のセンター試験用漢字問題集 「胸のデカさに俺はキョソを失った」など例題の文章が下品すぎると話題に

 Togetterにもまとめられているように、こうした例文が多数収録されています。

「教授と私のミッセツな関係を誰にも気づかれてはいけない」
「一定スイジュン以上の女の子しかここには入れないんだよ」
「夫婦間の家事ブンタンなんて幻想だ」
「私の人生に男性はフカケツなの」
「葬式にて坊主がコジンを『いい人』に仕立て上げる」
「ああ、あの、生え際がだいぶスイタイしてる人?」

 ウェブで複数の媒体が記事にしたことで現在プチ炎上中となっていますが、本件について出版社の駿台文庫に問い合わせしました。

◎自主回収へと対応を変更

―― 本書出版の意図は。

「本参考書は、『生きるセンター漢字・小説語句』ということで、変化の激しい現代において、生きている言葉を使うことで、生徒に役立ててもらうことを意図している」

―― 参考書の性質上、誤字脱字など含めて厳しいチェックがあるかと思うが、差別的な表現などの規定や検討は無かったのか。また報道では検証の際に女性スタッフも参加していたとあるが、問題視する声はあがらなかったのか。

「企画の段階で精査している。女性スタッフの参加もあった」

―― チェック体制は性差別的な表現のチェックが甘かったという見解でよいのか。

「行き過ぎた表現がありご不快な思いをさせてしまったことについてはお詫び申し上げる」

―― チェック体制の見直しを検討する予定は。

「規定の変更や表現について精査することを検討している」

―― 過去に本書籍について同種の指摘はなかったのか。またどの程度の問い合わせがあるのか。

「なかった。主にネット上で議論されているもので、今もマスコミ関係者からの連絡はあるが、一般の方からの問い合わせは無い」

―― 著者である霜栄氏の授業についてクレームなどはあったか。

「広報では特に聞いていない」

―― 自主回収という報道があるが、今後の対応に変更はないか。

「書店への新規出荷停止をした上で、既に書店に並んでいるものについては自主回収を行うことにした」

―― 既に出版されている他の書籍についても確認する予定は。

「刊行されているものも含めて、チェック体制を見直して精査する」

◎差別的でないユニークを

 問題発覚後には、アマゾンレビューやtogetterで肯定派と否定派がそれぞれの見解を述べているのですが、発覚以前から同種の指摘はなされていました。一方は「まじめな例文ばかりの面白くない参考書より目立つ。アダルト系も充実している」という評価であり、もう一方は「面白いが、くだらない。オーソドックスな使われ方を示して欲しい」という評価に分かれています。

 共に「面白い」ことは一定程度評価しているようです。問題となった『生きるセンター漢字・小説語句』の著者である霜栄氏のその他の参考書(『生きる現代文読解語』『生きる漢字・語彙力』)もユニークな例文を使った問題が多数あり、広報担当者の「生きている言葉を使うことで、生徒に役立ててもらうことを意図している」という回答は、「ユニーク」である点を指しているのであろうと思われます。しかし当然ながら「ユニーク」であればなんら問題ないというわけではありません。

 本件を「問題視しなくともよい」とする人たちからはこんな意見がみられます。

「問題集の目的は点数をとらせることにある」
「駿台トップの講師が書いている以上、そういったことを考えていないはずがない」
「こんなもんにまでイチャモンつけるのか」
「性欲と結びつけることで学習効率を高めていて合理的」

 参考書の価値は、受験勉強での使い勝手でかなりの部分が決まるのでしょう。その意味で、たとえ性差別的な表現が使われていようがいまいが、「使えるならいい」とする人は一定数いるのかもしれません。しかし、それが「差別的表現を使っていい」ことにはならないのは当然です。ある問題を解決するために、別の問題を軽視していいはずがありません。特に性差別は往々にして優先順位が下位とされ、疎かにされることが度々あり、「ユニークさ」が「差別的な表現をしないこと」に優先されてしまっている現状は、社会の構図を反映しているのだろうと思います。

 特に本書は学習参考書という性質上、多くの女子生徒が使用しています。こうした不愉快な表現によって使用を敬遠する人もいたかもしれません。本書の特徴である「ユニークな例文」が有用であると駿台文庫が考えているのであれば、性差別的な表現を使うことで、損をしていることになります。「ユニークであること」と「差別的でないこと」は両立しますから、チェック体制を見直して、広く有用な参考書を出版していただきたいですし、また著者の霜栄氏は、現代文の講師なのですから、より社会の情勢に敏感であって欲しいと思います。

(門田ゲッツ)

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