『「嵐」的、あまりに「嵐」的な』・『Hey! Say! JUMP 9つのトビラが開くとき』出版記念

「嵐の授業」の関修氏とコラムニスト田幸和歌子氏が語る、SMAP騒動、そしてジャニーズ再編

2016/01/30 19:00
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関 嵐は一人ひとりを見ると、SMAP・木村拓哉やkAT‐TUN・亀梨和也のように崇めたくなるほど魅力的なメンバーはいません。すごくかっこいいわけでもないし、すごく芸能人としての能力が高そうにも見えない。だからどうでもいいのかというと、どうでもよくない、なぜか気になってしまう。AKB48もそういうところがあるので、脱アイドル的なものが求められる時代性もあるのでしょう。

田幸 NHKは以前はSMAPにおんぶに抱っこの状態だったのに、『紅白歌合戦』の司会に嵐を起用したあたりから、嵐にシフトチェンジして、NHKの考える「国民の象徴」のようなものを嵐に背負わせるようになった印象があります。

関 それは危険ですね。国民の象徴を背負わされると、政治的に利用されることもある。

田幸 SMAPのような崇める存在じゃないからこそ、よき隣人像として利用しやすいんですよね、嵐は。

関 2015年末の日本郵便のCMも、アイドルが上から目線で「年賀状を出そう」と呼びかけるのではなく、お隣さんが「年賀状もらうとうれしいよね」「年賀状、ください」と言っている感じがあった。

田幸 むしろ上から目線で「出せよ」と言ってくれた方が「お前に言われたくないよ」と反発できます。横から「ください」とじわじわ来る方が逆に危ないですね。嵐には、この流れに抗ってほしい。

関 東京オリンピックもね、オリンピックは政治的なものだから、関わらない方がいいと思う。音頭取りになるのは避けてほしい。

田幸 今回、SMAPがあのようなことになったわけですが、将来的に嵐の解散はあると思いますか?私は、嵐こそSMAP以上に5人であることに意味があるので、どんなことをしても解散はないと思います。

関 僕も解散はないと思う。芸能活動にこだわらず、櫻井翔くんが国会議員になったり、大野智くんがアーティストになったりすることはあっても、年に何回か“嵐”として5人が集まるようになるのでは。

田幸 新曲を出してヒットドラマに出て……、ということが、嵐において重要ではないですもんね。

■ジャニーズと国民的アイドルは両立できるか

田幸 今やっと売れてきているHey!Say!JUMPは、しきりに「嵐のようになりたい」と言っているのですが、メンバー同士の仲のよさやワチャワチャ感は似ていても、根本的な部分では嵐的ではないと思うんですよね。

関 そもそも9人って多い。このまま9人でいくんでしょうか?後に2つに分かれたりするんでしょうか。

田幸 9人でいくと思います。1人抜けると、次々に抜けていっちゃうことも多いので、それを誰もが想像しましたが、むしろみんなにプロとしての自覚が芽生えたきっかけだったので、このままいけると思います。

関 田幸さんは、「コンサートに来てほしい」と著書の中で書いていますね。9人全員が揃う機会がメディアだとなかなかないけれど、コンサートでは揃う。そこでグループとしての良さがわかる、と。

田幸 残念ながらまだバラエティ番組では、Hey!Say!JUMPの本当の良さがわかるとはいえないんです。やはり最大の魅力はコンサートでのパフォーマンスです。

関 僕はコンサートの楽しさがよくわからないので、コンサートはやらない方がいい派。家でPVを見ていれば、自分ひとりのものになっている気がするけど、コンサート会場では自分が何万人のうちの1人として埋もれてしまうじゃないですか。虚しい気持ちになってしまうんです。それに、規模も大きく、セットなどにも気を取られてしまう。PVの方が魅力が凝縮されているように思う。

田幸 アイドルオタクが「小さいハコで見たい」と思うのと似ているのかもしれません。本人たちはお茶の間の人気者を目指しているから、精いっぱい応援したいけれども、どんどん大きくなっていってしまうのは寂しいというジレンマがあります。コンサートから和太鼓などの「ジャニーズ的」なアイテムがなくなっていくのも悲しい。

関 SMAPや嵐は一般化したことで売れたけれども、それがジャニーズファンから見て「いかがなものか」といわれても仕方がないところもあるのは事実。ただ、嵐がよかった点は、大きくなって国民的になっても、ファンが納得できる状態だったこと。Hey!Say!JUMPは、大きくなったらグループの質が変わってくるような気がします。

田幸 「ジャニーズ」とは違うものになってしまうでしょうね。でも、彼らが「売れたい」と望むなら全力で応援していくしかない。それで違うものになってしまったら、Jr.に降り続ける方向になるのだと思います。

関 それもまたジャニーズ的ではあるね。

(後編につづく)

最終更新:2016/01/30 19:00
『「嵐」的、あまりに「嵐」的な』
たしかに、ジャニワの世界を嵐ができるかっていうとナイな
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