爆発的ヒットの裏側を検証

もうメイクだけでは「旬の顔」になれない! 2015年の美容業界は「健康との組み合わせ」がトレンド

2015/12/30 19:00

3)オイルイン化粧品が豊作

 「ココナッツオイル」に代表されるオイルブームは、美容業界にも見られ、今年はオイル商品が豊作だった。オイルインシャンプーや、オイルボディパックなどさまざまな商品が発売され、全身くまなくオイルでケアすることが可能に。また、オイルブームを象徴しているのが化粧水で、オイル層と水層をシェイクして混ぜて使うタイプが発売された。以前は、メイクアップリムーバーのような商品でよく見られた形状だが、今年は化粧水としてオイルを可視化できるような商品が出てきたことが特徴的。高級ブランドコスメから、プチプラコスメまで幅広くオイルイン化粧水が発売された。その一例を見てみよう。

■ゲラン「オーキデ アンぺリアル ザ ナイト D-x エッセンス」125ml 3万240円(税込み)
ハリと透明感を引き出す美容成分を含むウォーター層と、五感に働きかける心地よいオイル層の2層をブレンド。

■草花木果「ゆずの恵み 美容オイル」50ml 2,916円(税込み)
有機栽培のゆずの精油を配合した、“100%植物オイル層”と“ゆずの美容液層”の2層からなる美容オイル。ブースターオイルとしても効果を発揮。

■ウテナ「ルミーチェ ハリつやローション」
200ml 1,080円(税込み)
保湿成分のアルガンオイルと、トマトエキス、コラーゲンをはじめとするハリつや保湿成分を配合したノンシリコン保湿化粧水。

 一昔前に「オイルカット化粧品」がはやったのがウソのような、オイル系コスメの人気。食べるオイルの流行により、オイルの肌や髪への効果が見直された結果だろう。オイルによる自然なツヤ感は、健康的に見えることから、一度使うと手放せないアイテムといえる。“食べてよし塗ってよし”のオイル美容はまだまだ続きそうだ。

☆コスメだけで「美」は作れない時代に

 「ヘルシー」と「ビューティー」がいつになく近くなった2015年、内側から感じられるエネルギーや、健康的な美しさが求められるようになってきたと感じる。だからこそ、メイクのテクニックだけで形作る顔が、「旬の顔」でなくなってきた。メイク自体も流行的には徐々に薄くなってきており、素の美しさや健康的なツヤ感を感じさせるような、シアーな仕上がりのメイクが多い。メイクで全てを隠すのではなく、自然なツヤ感を付加して、本来持っている魅力をより輝かせるようなイメージだ。

 だからこそ問われるのは、ライフスタイル。例えば、ヨガやランニングの愛好者のように、定期的に体を動かし、食べ物も含めた内側からのケアをしている女性は、健康的でハツラツとしている。肌もキレイな女性が多い。その結果、覆い隠すようなメイクをする必要がなくなり、もっといえばそのようなメイクに息苦しさすら感じるようになってくるのかもしれない。結果、メイクテクニックがなくても健康的で自然な肌そのままに、艶のある“今っぽい”旬の美しさを手に入れている。

 化粧品だけに頼らず、心身の健康を高め、足りないものを食べ物で補うことで生まれる「美」は、“生きた美しさ”だ。今後は、化粧品だけで美しくなるのではなく、その人の生き方を感じさせる健康的な「生(なま)美人」がもてはやされる時代になるのかもしれない。

恩田雅世(おんだ・まさよ)
コスメティックプランナー。数社の化粧品メーカーで化粧品の企画・開発に携わり独立。現在、フリーランスとして「ベルサイユのばらコスメ」開発プロジェクトの他、様々な化粧品の企画プロデュースに携わっている。コスメと女性心理に関する記事についての執筆も行っている。
■公式ホームページ「オンダメディア」

最終更新:2019/05/22 20:26
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