ドラマレビュー 2015年総括

『お兄ちゃん、ガチャ』『問題のあるレストラン』ら、2015年ドラマベスト5を選出!

 『下町ロケット』(TBS系)や『デスノート』(日本テレビ系)など話題作が登場した2015年のテレビドラマ界。そこで、今年のベスト5作品をドラマ評論家・成馬零一が選出する。

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『お兄ちゃん、ガチャ Blu-ray BOX』/バップ

☆1位『問題のあるレストラン』(フジテレビ系)
 日本社会に蔓延する女性差別に立ち向かう女性たちの群像劇。脚本は『最高の離婚』(同)の坂元裕二。セクハラ描写が生々しく、第1話が終わった後の反響がすさまじかった。男を悪役にしているだけのドラマなんじゃないか、という厳しい目もあったが、そういった批判は後半に行くほど減っていった。テーマへの切り込み方も素晴らしいが、テンポのいい会話劇や、極端な長台詞を駆使して役者の演技力を極限まで引き出す、ドラマならではの楽しさも十分堪能できた。

☆2位『アンダーウェア』(Netflix/フジテレビ系)
 下着業界を舞台にした職業ドラマ。脚本は『リッチマン、プアウーマン』(同系)の安達奈緒子。衣装の華やかさと仕事に対する真摯なメッセージが両立されていて、ドラマとしての密度がとても濃い。Netflixで放送されたドラマなので、入れるべきかどうか迷ったが、地上波でも特別編集版が放送されたのであえて入れた。しかし特別編集版は時間の関係で省略されたところがあり、若干テンポが崩れていたため、これから見る人は、是非、Netflix版で見てほしい。

☆3位『ど根性ガエル』(日本テレビ系)
 マンガやアニメで有名な作品だが、何より、VFXを用いることで平面ガエルのピョン吉を実写ドラマの中で表現したことに驚かされた。ピョン吉の声を担当した満島ひかりはもちろんのこと、松山ケンイチや勝地涼といった俳優による、漫画のニュアンスを再現する演技力に圧倒された。マンガ原作モノは批判されがちだが、岡田惠和の脚本は、ただ原作をなぞるのではなく、舞台を16年後にすることで、大人のドラマに読み替えていた。

☆4位『お兄ちゃん、ガチャ』(日本テレビ系)
 お兄ちゃんが欲しい少女がガチャを引くことで、次々と理想の“お兄ちゃん”が登場してくるが、最終的に少女は“お兄ちゃん”を否定して「返品」するという、寓話的なドラマ。CGを駆使した、ポップでありながらも、どこか毒々しいビジュアルに圧倒されるが、ジャニーズアイドル批評をドラマでやってのけたことに驚かされた。脚本の野島伸司は、本作と同じジャニーズドラマ枠で『49』(同)という傑作青春ドラマを生み出した。近年の野島はジャニーズの男性アイドルをうまく使うことで面白い作品を作り出している。

☆5位『偽装の夫婦』(日本テレビ系)
 1月クールに放送された『〇〇妻』(同)のラストがひどかったために、脚本家・遊川和彦はもうダメかもしれないと思っていたが、10月クールに放送された本作で見事に復活した。人に心を開けない女性が、大学時代に恋人だったゲイの男性と偽装結婚するという導入部こそセンセーショナルだが、遊川が確信犯的に用いてきた、不快感を煽ることで視聴者を引きこむ手法は、封印されている。その結果、同性愛をモチーフにしながらも差別的にならないコメディを作ることに成功した。もっとも、最終話は「人間は孤独なんだ」という遊川の本音が漏れ出してしまい、賛否は真っ二つに別れたが、そのぶち壊し感も含めて遊川ドラマらしかったといえる。

【総評】
 視聴率では、『マッサン』『まれ』『あさが来た』(いずれもNHK)の連続テレビ小説の一人勝ち。民放では『天皇の料理番』や『下町ロケット』(ともにTBS系)の日曜劇場が突出していた。

 朝ドラと日曜劇場が話題になるというのはテレビドラマが若者向けでなくなっていることの象徴だろう。フジテレビの「木10」枠もそうだが、今のドラマは30代以上の大人を対象としたものが中心となっている。

 そんな中、奮闘したのが新たに作られた日本テレビ系日曜午後10時半枠。EXILEドラマの『ワイルド・ヒーローズ』や『デスノート』、『エンジェル・ハート』といった漫画原作モノを中心としたドラマ枠には若い世代の注目が集まっている。

 純粋な作品の面白さだけなら、坂元裕二、野島伸司、岡田惠和、遊川和彦といったベテラン脚本家が円熟したテクニックで先鋭的なドラマを発表していた。逆に『デート~恋とはどんなものかしら』(フジテレビ系)、の古沢良太や、『天皇の料理番』の森下佳子といった本来もっと冒険してもいいはずの中堅脚本家の方が保守的に見えた。そんな中、安達奈緒子の『アンダーウェア』は意欲的な作品だったが、それができたのはNetflixという有料動画サイトでの配信だったからだ。本作が今の月9で作れないことが、今のフジテレビの苦しさだといえる。

 深夜ドラマ枠は今年も増加し、復活したフジの土曜ドラマ枠のように1話30分弱のものを4~5話で終わらせるような短いドラマが増えた。特に好評だったのは、ドラマ24枠を筆頭とするテレビ東京のドラマ。中でも山下敦弘と松江哲明が監督した、『山田孝之の東京都北区赤羽』は大きな話題を呼んだ。

 ほかにも石井裕也の『おかしの家』(TBS系)や井口昇の『監獄学園-プリズンスクール-』(同)など、映画監督が深夜ドラマを撮るケースは増えている。それらの作品は完成度こそ高いが、どこか小さくまとまって見える。むしろ『HiGH&LOW THE STORY OF S.W.O.R.D』(日本テレビ系/Hulu)のようなEXILEドラマの方が未踏の可能性を感じる。
(成馬零一)

20年たってもやっぱり野島センセは最高ダゼ~

しぃちゃん

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