[女性誌速攻レビュー]「婦人公論」12月22日号

共感ならず!? 喜多嶋舞が見誤った、「婦人公論」読者の「妻」「母」に対するこだわり

2015/12/19 19:00

 「『大病したら考え方が変わった』という人もいるのかもしれませんが、お金に関して言えば、私の場合、まったく変わっていませんね。貯蓄や不動産などの財産を持っていないし、今も老後に備えてお金を貯めようという気持ちはない」ときっぱり。とはいえ、病気をしてからは「欲望は最小限に」なり、「まずはちゃんと歩けるようになりたい、健常者になりたい」が最大の願いだったものの、いざなんとか歩けるようになると「美容への欲望がじわじわ湧いてきた。(中略)早くお腹の脂肪吸引がしたい」と相変わらずのうさぎ節をさく裂させていました。

 自分の老後を見ることはできません。見えないから不安になる。だから何度も年金特集が組まれるのでしょう。しかし中村は「先のことを考えても仕方がない」「(人生の)計画に邁進する途中、事故や天災でひどい不幸に見舞われたりもする(中略)だったら、なるようになると思っていたほうが楽」と、保険にも入らなければ、貯金もしない。もちろん買い物依存もホスト狂いも整形も全てを執筆意欲に変えてきた、寓話「アリとキリギリス」でいう、キリギリスな中村だからこその生き方ですが、現代人は自分の人生をコントロール可能なものと思い込みすぎている節は確かにありそうです。「死ぬ間際に何か後悔するとしても、『もっとお金を貯めておけばよかった』とは露ほども思わないでしょう」。貯めるも人生、使うも人生。欲望のままに生きてきたキリギリスを憐れんだり蔑んだりする権利など、誰一人持ってはいないのです。

■「言い訳」にもセンスが必要

 ただ一つ、病後に変わったことといえば「夫婦の関係性」なんだそうです。中村は「今まで、人の世話になる、人に頼るというのは、自分が弱いみたいで嫌いでした。でも、病気によって頼らざるをえない身になり、人に甘えることを覚えた。とくに夫には、とことん支えてもらっています。夫婦の関係性が以前より深くなりました」と語っています。

 このインタビューの後に読むと、より一層陰惨たる気持ちになるのが、本誌の発売前から話題になっていた喜多嶋舞の独占告白「ずっと胸に秘めていた思いを話して 私は、芸能界を引退します」です。もはや説明不要かとは思いますが、元夫で元光GENJIの大沢樹生がおこした実子裁判は大きな波紋を巻き起こし、判決が下ってからも一切メディアの前に出ることはなかった喜多嶋。しかしなぜこのタイミングなのか、遅きに失した感は否めない……と読み進めていくと、どうやら「失した」のは「タイミング」だけではなさそうな様子。

 すでにさまざまなメディアで報じられているように、この独占告白記事で喜多嶋は過ちを一切認めていません。鑑定結果を真っ向から否定し、「再鑑定を行い身の潔白を証明したいと思っています」と言いながら、行う時期は「混乱している息子が成人し、社会人として独り立ちをしたら」と濁すのです。喜多嶋が再鑑定して身の潔白を証明しない限り、息子さんの混乱は終わることはないと思うのですが……。

婦人公論 2016年 1/4 号 [雑誌]
「共感」をビジネスにした途端、人は離れていくのさ
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