[女性誌速攻レビュー]「婦人公論」12月8日号

“近しい関係だからこそウソが大切”と説く、「婦人公論」の義理家族特集

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「婦人公論」12月8日号(中央公論新社)

 今号の「婦人公論」(中央公論新社)の表紙は、女優・桃井かおりです。現在は活動の拠点をアメリカに移し、映画監督としても活躍している彼女。今年の1月にはほぼ事実婚状態だった恋人と正式に結婚していたことも話題になりました。インタビュー「人とちゃんとつながりたいと、求めていたんだと思う」は、全編この恋人(夫)とのノロケ話。学生時代にバレエ留学中のロンドンで出会い、向こうから告白されるも「少女の頃からブス系だから」と本気にできず、それから何十年もたったロサンゼルスのパーティに歌手アン・ルイスが偶然連れてきて再会……というウソのような本当の話。前号で「50代からの運命的な出会い」についての記事がありましたが、桃井も50代で運命を感じてしまったようです。

 「新人として扱われる幸せ、味わってます(笑)。鍛えられてます。いま桃井かおりは『しらふ』で生きてるという感じですかね。日本にいる時は桃井かおりという女優は、ため息をつくように嘘をつき、“嘘から出た真嘘”って感じで生きていた」と一人称「桃井」でしみじみ語る彼女。桃井さん、「結局、信じられるのって素肌だけ」という文句は、あれだけはウソじゃないですよね……全国のSK‐II信者の心の叫びが聞こえてきそうです。

<トピックス>
◎桃井かおり 人とちゃんとつながりたいと、求めていたんだと思う
◎特集 これからの暮らしのために「残す」「手放す」片づけ術
◎義理の家族

■捨てられない言い訳をしながら終える人生

 日本での確立された地位を捨て、単身アメリカで新人として活動することを選んだ桃井。その結果、人生の伴侶となるパートナーと出会うんですから、人生なにが起るかわかりません。さて、今号の特集は「これからの暮らしのために『残す』『手放す』片づけ術」。桃井が大女優としての地位は捨ててもSK‐IIのCMは手放さなかったように、ただ捨てるだけじゃない、なにを残すかを見極めることが「人生の充実には不可欠」であるよう。

 例えば最近何かと話題の「親家片」(おやかた)。「『親家片』で目指したい、介護を見すえたレイアウト」というページによると、「『親が不用品をため込む』『ゴミが捨てられない』という話をよく耳にしますが、これは判断力の低下が原因の一つ」とのこと。片づける体力だけでなく、捨てるか残すかの判断力も年齢は奪っていってしまうのですね。「婦人公論」が片づけ特集を繰り返す意味も少しわかる気がします。

 しかし、モノが溢れた部屋の住人たちはただ判断力を失くしてしまっただけなのでしょうか。今回、最も心をつかまれたのは「読者体験手記 人はそれをゴミと呼ぶが」です。仕事部屋に生ゴミを溜めては実の姉に眉をひそめられているというこの女性。「好きで部屋に生ゴミを置いているわけではない。裏庭に通じるドアの鍵が壊れ、生ゴミを外に出せなくなったからだ。キッチンに持っていくのも億劫。でも臭いなんて、部屋に入って1分もすれば慣れる」と、言い訳をします。そう、基本的にこの記事は捨てられない言い訳で埋め尽くされているのです。

 その最たるものが、この女性が長く生業にしていたが、今では物置と化してしまったピアノについて。姉からピアノの処分を提案されると、「私とて、このままでいいと思っているわけではない。いつかピアノのふたを開ける日が来る。そのときにはきっとこの部屋のすべてのモノがあるべき場所に収まり、私の奏でる音に耳を澄ませてくれるだろう。それまでは、ゴミに埋もれて、もぐらのように、日がな一日閉じこもることにしようと思っている」。この一節に込められた「捨てられない」人間の魂の叫び、いや魂の言い訳。叶わない夢を見続けるために、現実をゴミで目くらます。そこに少し共感を抱いてしまうのは、私が片づけ不得手な女だからでしょうか。

哲太、紅麗威甦時代の荒ぶる魂を思い出して!

しぃちゃん

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