爆発的ヒットの裏側を検証

なぜ、今“Over60”の女性たちに惹かれるのか――美魔女ブームの疲弊と「私は私」の風潮

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『OVER60 Street Snap ―いくつになっても憧れの女性』(MASA&MARI、主婦の友社)

 今年2月に、東京・渋谷で行われていた『NYマダムのおしゃれスナップ展』に行ってきた。『Advanced Style~ニューヨークで見つけた上級者のおしゃれスナップ~』(アリ・セス・コーエン、岡野ひろか訳、大和書房)という“Over60”の女性に焦点を当てた写真集からピックアップされた写真展で、写る人の言葉とともに飾られた笑顔はどれも魅力とエネルギーにあふれ、会場はすごい熱気。特に、20~30代の若い女性が目立ったのが印象的だった。

 今年7月には58~78歳のパリのマダムたちのスナップを集めた『Madame Chic Paris Snap―大人のシックはパリにある』(主婦の友社)が発売され、2014年に出版された、60代以上の日本人女性のスナップ『OVER60 Street Snap ―いくつになっても憧れの女性』(MASA&MARI、同)が版を重ねるなど、60代以上の女性の美しさに今、注目が集まっている。なぜ人々は、“Over60”の女性たちに惹かれるのか。今回はその理由を探っていきたい。

■年を生かすことで生まれる美

 写真集に収まっている女性たちは、みな個性的で人生を楽しんでいるように感じる。ほとんどの女性が老いを隠そうとはしておらず、むしろ老いを魅力としてファッションに生かしている、といってもいい。自分に似合う色に染めている女性もいるが、ほとんど地毛の色を“自分だけの色”として楽しんでいる。白髪・黒髪の入り混じった髪を洋服の鮮やかな色に合わせている人もいれば、白髪だから似合う髪留めや帽子・ターバンを選ぶ人も。シミ・シワを隠すことに注力せずに、あえてちょっと濃い目のリップや鮮やかな色のチークを選ぶことで、それが肌の透明感やその人ならではの美しさを引き出している。

■潔く突き抜けた「かっこ良さ」

 張りの失われた肌だからこそ、光沢感のある素材を着ても嫌味にならないといったように、洋服選びにも年齢を生かす術が自然に織り込まれている。3冊の写真集には、思い思いのファッションを楽しむ女性たちが登場する。ハイブランドを一瞬の隙もなく着こなしているエレガントなマダム、あえてハイブランドと安いアクセサリーをミックスしているおばあちゃん、『101匹わんちゃん』のクルエラを思わせる魔女のようなコーディネートで突き抜けたセルフプロデュースをしている女性……全てに共通しているのが、自分の好きなものを極めるという“潔いかっこよさ”だ。

 誰にも媚びずに、ただひたすらに自分の美意識と対峙しているその姿は、まるで美しい絵画を見ているようであり、仏像を鑑賞している時のような、魂に訴えかける創造物としての迫力がある。というのも、私たちは「表現したい自分を持ち続ける」ということが、どれほど労力がいることかを知っているからだ。だからこそ、私たちは彼女たちが長く戦い続けてきた年月を愛しみ、尊敬の念を持つのではないだろうか。

「服なんてどうでもいい」という時期を経ての、この輝きよ!

しぃちゃん

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