女性を騙してハメ撮り、中出しHするには? オヤジエロ雑誌の呆れた世界

 messyの人気連載「論男時評」では、「オヤジ雑誌群が、いかに『男のプライド』を増長し続けているかを、その時々の記事から引っ張り出して定点観測」されている武田砂鉄さんが、鋭く、格調高く、それでいて丁寧にこれらの雑誌から透けて見えるさまざまな問題点を私たちに教えてくれますが、オヤジたちが勝手なことをいっているのは総合週刊誌や社会派の雑誌ばかりではありません。そうした雑誌はまだ少ないながら女性の読者もいますが、エロ雑誌では女性が見ていないという前提もあるため、ま~好き勝手なことが書き散らかされています。

 エロ本(コミック系も含む)自体は、もはや絶滅危惧種です。web上に無料エロ画像&動画が無数に落ちている時代、読者層の中心はそうしたものを使いこなせない年配の男性が中心となっていますし、コンビニをはじめとする売り場もどんどん縮小されています。雑誌自体が18禁とはいえ、子どもも出入りするコンビニのようなところに扇情的な表紙が並ぶのはいかがなものか、と私も思います。コンビニでバイブが販売されていたら、たとえそれが男根型からほど遠く、一見してそれとわからないものでも大問題となるのに、女性を商品化してヌキ目的以外の要素が一切ないものが堂々と陳列されているって何かヘン。そんな違和感も、ここ数年のうちに過去のものとなるのでしょう。

 ここで採り上げる『目からウロコのSEXテクニック』(鉄人社)は漫画を多様しながらわかりやすくセックスにおける豆知識のあれこれを伝える内容のため、ヌードグラビアが中心のいわゆるエロ本とは別モノですが、いやいや、こちらのほうが何倍もゲスいです。グラビアによって満たされる「きれいな女性を見て興奮したい」「それによって妄想を刺激されたい」という願望は、私にもわからないわけではないです。でも、表紙に「どんな女も120%悶絶」とあるように、俺たちのテクで女をイカせてやるぜ、ヒャッハー! という価値観はまったく共有できません。

 細かいテクニックが次から次へと出てくる本書。「射精した後、すぐまた勃起するには、タマを氷水で冷やせ」「女を落とす香りは香水ではなくダウニー」という、勝手にやってれば? というレベルのものから、女性を傷つけ、その尊厳を貶めるものまでと実に多様です。ここでは私が読んでいて青ざめたほどの案件をランキングで紹介します。

◎WORST4 アソコのにおいは何がなんでも消す

女性の性器のにおいをとにかく忌み嫌うようですが、じゃあ自分たちがにおわないとでも? と訊きたくなりますね。歯磨き粉をはじめ、「コレで洗うとにおいが落ちる」というものがいくつも紹介されていますが、女性のデリケートゾーンを何だと思っているのでしょうか。一般的なボディソープで洗っても粘膜のバランスがくずれ、ひりひりするのです。得体のしれないものなんて、付着させたくもない……。誰にだってにおいがあるんだから、お互い受容しましょうよ。

◎WORST3 女性を騙してでもハメ撮りしたい!

 リベンジポルノ法が国会で成立して約1年が経ちました。もちろん撮影そのものは法に触れませんが、女性の社会生活を壊滅しかねない犯罪につながる可能性がある行為として男性の自覚も高まりつつ……なんてことは一切ないんですね。ここでは、いやがる女性をいかにして写真、動画に収めるかのテクが複数、紹介されます。

「最初は顔を隠して撮影、うまく口車に乗せれば顔出して撮らせれくれるようになる」というのはまだ序の口、麻薬レベルの睡眠剤を海外から個人輸入し、それを女性に飲ませて昏睡しているあいだにハメ撮りしようというものにいたっては、はっきり犯罪です。夫婦間であっても、準強姦罪に相当するでしょう。実行する人なんていないと信じたいですが、メディアで紹介されたものに対して「こういうのもアリなんだ」と思う人がいないとはいい切れません。

◎WORST2 フェラが下手な女なんて価値がない

「セフレができたけど毎回セックスするのは面倒だから、フェラ抜きだけさせて帰る方法」を提案していたり、その技術の巧拙によって人間性まで否定するような言い回しが散見していたり……。読んでいて、萎えに萎えてしまいました。ちなみに前者の解決法は、「女性がフェラをしながら、自分で自分のクリを刺激する。それで満足するだろ?」だそうです。

 では、口内射精をしても飲んでくれない女性にはどうすれば? 答えは、「射精と同時に女性の鼻をつまむ」です。そうすると苦しくて口に出したものを嚥下するしかなくなるって……。こんな考えをする男性を片っ端から去勢していい権利が私にあったら……と本気で考えてしまいました。

◎WORST1 俺らによる俺らのためのナマ中出し

 ナマが気持ちいいのは私も知っています。でも、特に女性にとってあまりにリスクが大きいというのは、説明するまでもありません。男性だって、相手を大事にしてセックスで傷つけることがないよう、または自分の身の安全を自分で守るべく、コンドーム着用をする人は大勢います。〈中出し〉となると、さらにハードルが上がります。なのに現実には、「なんとか女性を騙して、ナマ&中出しセックスをする方法」をメディアで提案し、それを読んで妄想を膨らませて喜んでいる男性たちが少なからずいるようです。こんな世の中、ほんとに大丈夫ですか? これって一部マニアのための本ではなく、コンビニやAmazonで誰もが簡単に入手できる雑誌なんですよ?

 呆れるほど多くの「騙しテク」が紹介されているのですが、ここではそのうち4例を挙げます。

・W不倫相手の女に「中に出しちゃった」とウソをつく → こっちから謝ったら、女も開き直る → 女は「妊娠の不安と快感、罪悪感などが入り混じり、いい感じに乱れてくれる」 → 本当に中出ししても受け入れてくれる

・コンドームにハサミを入れ、輪っかの部分だけ残してあとは捨てる。この部分だけ装着しているように見せれば、あとはナマで入れても女は気づかない!(バレたら、もう二度と会わない)

・ネットで購入したアフターピルを飲ませる

・ネットに落ちている、ニセの「精子検査報告書」を見せて、無精子症だと思い込ませる

 ……ここでの私の感想は控えます。読んだみなさんそれぞれが憤ってください。女性だって、そんな簡単に騙されるわけはありませんし、これまた実践しようというアホな男もまずいないのでしょう。が、こんな悪意だらけの企画が成立するというだけで、私は具合が悪くなります。

「おいおい、何を真に受けているんだよ、ただのファンタジーじゃないか」「俺たちだって現実世界とは区別して楽しんでいるんだから」と反論する男性もいるかもしれません。でも先週、日活ロマンポルノ鑑賞をきっかけに考えたように、フィクションだったら何をしてもいいとは私は思いません。まして本書はハウツーの体裁をとっています。そんな女性を傷つける方法をエンタメとして享受する読者のことも、まったく理解不能。そんなことに、女性を使わないでいただきたい。

 こんなふうに、男たちの内輪ウケ的世界でまかり通っていて女性たちが知らずにいること、まだまだたくさんあるのでしょうね。微力&遅ればせながら、今後も可視化していきたいです。

■桃子/オトナのオモチャ約200種を所有し、それらを試しては、使用感をブログにつづるとともに、グッズを使ったラブコミュニケーションの楽しさを発信中。著書『今夜、コレを試します(OL桃子のオモチャ日記)』ブックマン社。

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